3月12日(水) 14:30
日本年金機構によると、老齢基礎年金(国民年金)および老齢厚生年金は、原則65歳から受給できます。しかし受給資格を持つ人が希望するなら、60~65歳未満の間に繰り上げて受給することもできます。
基本的に老齢基礎年金・老齢厚生年金どちらかのみの繰上げ請求はできず、同時に繰上げ請求しなければなりません。
注意点として、年金受給には「10年以上の受給資格期間(保険料を納めた期間、もしくは免除された期間)」が必要となるため、人によってはそもそも65歳で受け取れない可能性があります。
本記事では65歳で受給できる人を想定して解説しています。また「特別支給の老齢厚生年金」については、本記事では割愛します。
繰上げ受給をするメリットには以下のような点が挙げられます。
・65歳になる前に仕事をリタイアしやすい
・65歳前に年金が入り総収入を増やせる
今回のケースでは60歳で定年を迎えて収入が途絶えることを心配しているようですが、仮に60歳から繰上げ受給をすれば、退職後の収入源ができます。
繰上げ受給をするデメリットには以下のような点が挙げられます。
・国民年金の任意加入や保険料の追納ができず年金額アップの機会を失う
・繰上げ請求後は取消不可になる
・受給できる額が減額される
繰上げ受給する場合、減額率は以下のように計算されます。
減額率=0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
受給開始時期を1ヶ月早めるたびに0.4%ずつ減額されます(最大24%)。仮に60歳で繰上げ請求するとなると、減額率は24%です。61歳は19.2%、62歳は14.4%、63歳は9.6%、64歳は4.8%です。
今回のケースでは60歳からの繰上げ受給をイメージしていると思われますが、その場合は年金額が大きく目減りしてしまう可能性があるため、注意が必要です。なお昭和37年4月1日以前生まれの場合、減額率はひと月あたり0.5%(最大30%)となります。
繰上げ受給をするとよいかどうかは、上記のメリット・デメリットや貯金を含む資産などを総合的に考慮して判断するとよいでしょう。
例えば60歳で定年を迎えて貯金を取り崩しながら生活する場合、500万円でどれほど生活費をカバーできるか考えられます。参考までに総務省統計局の「家計調査 家計収支編(2024年)」によると、無職世帯(世帯人数:2人)における1ヶ月あたりの消費支出は25万462円でした。
仮に今回のケースで毎月25万円を使う場合、20ヶ月で500万円を使い果たす計算です。65歳を迎える残りの40ヶ月については、ほかの収入源か資金源がないと生活は厳しいかもしれません。また、20万円の支出であれば25ヶ月で消費します。
このような場合、61~62歳前後で繰上げ受給を検討するとよいかもしれません。ただし退職金が出る場合、その額によっては貯金と併用して65歳まで生活費を捻出できる可能性もあります。月々の支出や退職金の有無など、総合的に勘案することが大切です。
60歳で定年を迎える場合、65歳までにどれほどの支出があるかが大きなポイントです。貯金500万円を全額使えたとしても、65歳までの5年間で使える額は毎年100万円(月に約8万円)です。
支出の都合上、500万円の貯金のみで生活ができない場合は、繰上げ受給がよい選択肢かもしれません。
ただし退職金が加味される場合は話が変わってきます。定年後の資産の流れをシミュレーションして、繰上げ受給の可否を考えるとよいでしょう。
日本年金機構 年金の繰上げ受給
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 表番号3-1<用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 世帯人員別 2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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