3月9日(日) 13:50
マイナカードを持っていても、それが直接的に「副業をしている事実」や「勤務先以外の収入があること」を勤務先に知られる原因にはなりません。
マイナンバー制度の主な目的は、行政が効率的に情報を管理し、国民にとって利便性の高い社会を実現することにあります。そのため、マイナンバーを通じて行政が個人の収入や納税状況を把握できる仕組みはありますが、それが勤務先などの第三者に共有されることはありません。
また、勤務先が従業員のマイナンバーを使って収入や納税額は調べられないようになっています。マイナンバー制度は、「行政の効率化」「国民の利便性向上」「公平・公正な社会の実現」など公共の目的に基づいて運用されています。そのため、企業が行政に対して社員の収入や副業に関する情報を問い合わせることも、法的には認められていません。
副業をしていることが会社に知られる大きな要因の一つは、住民税の金額が変わることです。住民税は、勤務先が従業員全員分を一括で支払う仕組みになっており、会社は各従業員の給与に基づいて住民税額を把握しています。
そのため、給与以外に収入が増えた場合、その分の住民税が上乗せされると、会社側で通常の給与額と住民税額のバランスが崩れていることに気付く可能性があるでしょう。
副業による収入が増えると、給与が変わっていないにもかかわらず住民税だけが増加します。この変化は会社から見れば不自然であり、給与以外の収入があることを推測される原因となります。こうした場合、副業が発覚することがあるのです。
また、副業の収入が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税を計算する際には自治体に副業分も含めた総収入を申告しなければなりません。申告を怠ると、自治体が給与額と総収入額の不一致に気付き、会社に追加の住民税請求を行うことがあります。
会社が従業員にマイナカードの提出を求める主な理由は、給与所得や社会保険関連の手続きを円滑に進めるためです。給与所得の源泉徴収票を作成し、税務署や市区町村に提出する際、マイナンバーを記載することが義務付けられています。
給与所得の源泉徴収票の作成や、年末調整事務などを目的に、会社は従業員に対しマイナンバーの提供を求めることがあるでしょう。会社は法令に基づき、従業員から提出されたマイナンバーを源泉徴収票に記載し、税務署や市区町村に提出します。
また、社会保険や労災保険の加入や更新手続きにもマイナンバーが必要です。例えば、従業員が新しく健康保険や厚生年金に加入する際には、「被保険者資格取得届」などの書類にマイナンバーを記載して年金事務所に提出します。
さらに、災害が発生した際、従業員の安否確認や支援が必要になることがあります。会社がマイナンバーと住所情報を紐づけて管理している場合、どの従業員がどのような状況にあるかを迅速に把握し、適切な対応を取ることが可能になるでしょう。
マイナンバーの提出については、法令上、従業員に義務が課されているわけではありません。そのため、従業員がマイナンバーの提出を拒否しても、現時点では何らかの罰則やペナルティが科されることはないでしょう。
とはいえ、会社としてはマイナンバーを基に税務や社会保険関連の手続きを進める必要があり、マイナンバーがない場合には追加の事務作業を行わなければならず、結果的に業務効率が低下する可能性があります。そのため、一度拒否した場合でも、会社の担当者から再度提出を依頼されるケースも少なくありません。
副業が会社にバレる原因は、マイナカードではなく、住民税の金額の変化によるものです。マイナンバーの提出は法律で義務付けられていないため拒否することも可能ですが、会社が年末調整や社会保険の手続きで必要とする場合があります。マイナカードを適切に活用することで、行政手続きの利便性を享受しつつ、副業の管理や申告もスムーズに行えるでしょう。
国税庁No.1900給与所得者で確定申告が必要な人
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
年金受給者が確定申告をしなければならない「収入金額」と「条件」とは?