荻窪大好き『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』/テレビお久しぶり#140
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『叫叫男子~金曜深夜のホラーゲーム~』(テレビ朝日系)をチョイス。
■ホラーは眠くなる?『叫叫男子~金曜深夜のホラーゲーム~』
アルコ&ピース酒井健太が、ゲストと共にホラーゲームをプレイする番組、『叫叫男子~金曜深夜のホラーゲーム~』。今回は、トム・ブラウンみちお、SUPER★DRAGON田中洸希、ゲーム配信者のスタンミじゃぱんをゲストに、ホラーゲーム『散歩 - WALK』をプレイする。
『散歩 - WALK』は、ランドセルを背負った小学生が町に潜む怪異から逃れながら家に帰るという、シンプルなゲームだ。(少なくとも番組内でのプレイで確認できた限りでは)カメラは定点で固定されており、場所を移るたびに画面が切り替わるというレトロな仕様。背景も実写に近く、まるで心霊ビデオを見ているようだと評されているのは、確かに納得がいく。いうなれば、『トロと休日』のホラー版だ。その『トロと休日』にも怪異が映りこんでいるというのはあまりにも有名な話だが、ともかく、この古めかしい手触りが現代のホラーのトレンドにマッチしていて、人気だというのも頷けるゲームだ。
さて、この番組は、夜の工場(作業所?)で撮影されており、番組自体も多少ホラー仕立てになっている(とはいえ、みちおがいる時点で、ホラーにはなりえないだろう)。その演出の一環として音が最低限に留められており、ASMR的に機能している側面がある。現場にはデシベル数を計る機械が設置されており、一定のラインを最も多く超えた者には罰ゲームが下されるためヒソヒソ声が多くなるというのも、ASMRポイントのひとつだ。私はだんだんと眠くなってくる……。
心霊ビデオを見ていると眠くなる。なぜなのだろう。たとえば、心霊ビデオの金字塔『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズで眠くなるのは、名物となっている中村義洋監督のナレーションがやたらに心地良いからだと理由を考察することができなくもない。しかし、彼の関与していない心霊ビデオでも同様に眠くなる。これは、オバケの存在によるものなのかもしれない。
私を眠くするオバケが存在しているという話ではなく、心霊ビデオには「オバケが映る」という約束がある、という話だ。ビデオが再生され、オバケが映るまでの間、私は、オバケを待っている格好となる。この”待っている”という状況が、私を眠くさせるに違いない。もちろん、オバケの映ってない部分は全部退屈だ!なんて言いたいわけではない。心霊ビデオは、オバケの映らない部分にも様々な魅力を持っている。ただ、ゴールには必ずオバケがいて、今は助走をしている最中なのだ。私は、今か今かと、オバケを待っている。どこに映るか分からないから、画面を隅々まで注視する。だんだんと疲れてくる。もしかしたら見逃したかもしれない。でも探し続ける。だんだんと、私は眠くなってくる……。
この番組は、オバケを待っている私と、演者たちの感情がリンクしている。ゲームを実況しているのだから当然だが、これにより、私はさらに、眠りを持ちかけられる。私が目を閉じても、目を開けてくれている人が他にいるのだ。オバケは無事に、人間の瞳に焼き付くことができる。ここまで書いて思ったが、私はライターとしてテレビ番組を紹介しながら、「見ていると眠くなります」と主張していますね。退屈だという意味ではありません。番組は面白かったです。私はバラバラ大作戦が大好きなんです。
■文/城戸
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