飲み会振る舞い後悔人生『永野&くるまのひっかかりニーチェ』/テレビお久しぶり#139
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日系)をチョイス。
■荻窪大好き『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』
アンタッチャブルとサンドウィッチマンによるバラエティ番組、『アンタウォッチマン!』。今回は、賞レースを制した実力者芸人たちが多数在住する東京・中央線沿線について、中でも荻窪という街の魅力に迫っていく。荻窪在住のウエストランド井口、トム・ブラウン布川がゲスト出演し、荻窪のラーメン、居酒屋、そして思い出について語る。ちなみに私も荻窪に3年ほど住んだことがあるが、ウエストランド井口はよく見かけていた。やはり荻窪在住だったのか。
さて、私も荻窪が大好きだ。中央線沿いの色んな街に住んできたが、一番よかったのはやっぱり荻窪。次に引っ越すなら荻窪に戻りたい。まず分かりやすい理由として、交通の利便性が高いという点がある。中央線が土日も止まってくれる(高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪は、土日は総武線しか止まらないのだ)のは嬉しいし、通勤快速も止まってくれる。荻窪に止まらない電車は中央特快のみだ。丸ノ内線が乗り入れているのも素晴らしい。新宿はもとより、渋谷・池袋方面へのアクセスもしやすい。JRとメトロそれぞれの改札口が同じ構内にある駅というのは貴重で(阿佐ヶ谷と南阿佐ヶ谷、高円寺と東高円寺など、普通はそれなりに距離がある)、私はこの点を非常に高く買っていた(何様だ)。
番組内でもそう語られているように、街に落ち着きがあるのも好印象だ。中央総武線の脂っこい部分である、中野-高円寺-阿佐ヶ谷-荻窪-西荻窪-吉祥寺のあたり。荻窪だけ浮いている。荻窪以外の街には、よそから人が遊びに来るような文化的なイメージが根付いているが、荻窪に遊びに来る人ってあまり想像できない。どちらかといえばベッドタウン的なイメージなのではないかと思うのだが、掘ってみると色々なモノが出てくる……というのも、能ある鷹は爪を隠す的な魅力があるのだ。
駅にルミネがあるのも素晴らしい。私は東京で初めて住んだ街が荻窪であった為、「駅前にルミネがある街に住んでいる」という田舎者根性を多分に含んだアイデンティティを大事に抱え続けていた。歩いて10分そこらであの”ルミネ”に到着する……地元の田舎にいた頃は、10分歩いても、20分歩いても、同じ場所が続くだけだったから、それが奇跡のように思えた。また、「広瀬すずも荻窪を知っているだろう」という、謎のアイデンティティもあった。広瀬すずは、私の地元の町の名前を知るはずもないだろうが、荻窪なら確実に知っているだろうと。広瀬すずも知っている街に住んでいる。それだけで、私のミーハー精神は満たされていった。(ちなみに、実際に用があるのはたいてい隣のタウンセブンだ)
地元を出て10年ほど経った今でも、東京へのあこがれは変わらない。未だに朝起きると「ここは東京だ」と新鮮に思う。外に出るたび、東京が広がっていることに喜びを感じる。東京に、もはやコンプレックスに近いようなあこがれを抱いていた田舎者のミーハー根性は、そう簡単には変わらないものだ。今日、この原稿を書いたら外に出て、荻窪までぶらぶら歩いてみることにしよう。
■文/城戸
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