今日は待ちに待った結婚式の日。不慮の事故で早くに両親を亡くした私は、代わりにここまで育ててくれた祖父母に、晴れ姿を見せられるのを心から楽しみにしていたのですが……。
結婚式よりも跡取りが大事な義両親
式場に到着してヘアメイクをしていると、義両親がやってきました。遠方に住んでいる義両親と会うのは、結婚の挨拶以来2回目。私が緊張しながら挨拶をしようとすると、義父が「ブライダルチェックは終わったのか？」と一言。

実は前回会ったとき、ブライダルチェックは必ず受けるようにと言われていました。夫が一人っ子ということもあって、跡取りについて心配する気持ちは理解できますが、こんなところで言われるとは思ってもいませんでした。
戸惑いながらも、「はい……」と私が答えると、義父母は納得した表情でその場を後にしました。お世辞でもいいから、かわいいとか綺麗だとか言ってくれてもいいのに……。
夫の子…！？
正直、テンションはすこし下がってしまいましたが、滞りなく挙式を終えて残すは披露宴のみ。お色直しは、祖母と何回も式場に足を運んで選んだドレスなので、ゲストに見せるのを楽しみにしていました。そして、間もなくお色直しというタイミングで、参列していた夫の幼馴染が、小さな男の子を連れて夫の前にやってきました。

「この子、あなたの子どもなの。お願い、認知して。」

明らかに動揺する夫を見て何かあると思っていたら、義両親がニコニコしながらやってきました。

「あら！ アオイちゃんじゃない。元気？ 私、息子が結婚するって言ったとき、てっきり相手はアオイちゃんだと思ったのよ」
「その子が息子の子だって？ もう跡取りもいるのか！ そりゃちょうどいい。嫁は交代だ！」
義両親がそう口々に言うと、夫も「なんだよ～。急に連絡が取れなくなって行方をくらましたから、振られたと思って適当に結婚しちゃったよ～。」と言い、私を残し幼馴染の元へ……。

私はショックのあまり、その場でフリーズしてしまったのですが、祖父母から「帰ろう……」と手を引かれ、席を立ちました。その後、当然結婚式は中止。義父母と祖父母が話し合い、私たちの離婚も成立しました。もちろん、式のキャンセル料も慰謝料も払ってもらいました。
話は終わっていなかった！
しばらくして、元夫から「助けてくれ！」と電話がかかってきたのです。話を聞くと、アオイさんが連れていた子は元夫の子ではなく、本当の父親はギャンブルで相当な借金を作って消えてしまったのだそうです。生活に困ったアオイさんは、すべての責任を元夫に転嫁することを思いつき、義父母に連絡をして結婚式のことを知り、涼しい顔で参列していたとのこと。

そして、この話が夫にバレた途端に、アオイさんは元夫を保証人にし借金だけを残して、子どもとともにどこかに逃げてしまったのだとか。今は、借金取りからの電話が鳴りやまず、相当精神的にキツイ日々を過ごしているようです。私は、このタイミングでかわいそうかなと思いつつ、先日受けたブライダルチェックで、男性不妊がわかったことを夫に伝えました。医師によると、可能性はゼロではありませんが、自然妊娠はかなり厳しいみたいです。

つまり、結果を知っていた私は、あの子が夫の子ではないことに気づいていたということ。夫はなんで隠していたんだと大騒ぎしていましたが、結果なんてわざわざ見るまでもないと言ったのは夫のほう。この結果を伝えずにいるのはなんとなく罪悪感があったので、伝えてスッキリした私は、もう話すことはないからと電話を切って連絡先をすぐにブロックしました。その後、元夫がどうなったのかはわかりません……。

私は、祖父母が元気なうちに、また晴れ姿を見せられる出会いがあることを期待しつつ、仕事もプライベートも楽しんで生きようと思います。

◇◇◇

妊娠や出産を考える人が体の状態を知るためにする検査「ブライダルチェック」。結果を聞くのが少しこわいと思う人もいるかもしれませんが、将来を考えるうえで知っておくと安心できる情報でもあります。結婚を考えるパートナーができたら、一緒に足を運んでみるのもおすすめです。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者：ライター ベビーカレンダー編集部／ママトピ取材班

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