待望のNintendo Switch後継機が正式発表
任天堂は1月16日、「
Nintendo Switch
」の後継機「
Nintendo Switch 2
」を2025年内に発売すると正式に発表しました。詳細は4月2日の「Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2」で明かされ、その後、世界で体験会が開催されたあと発売となります。
新ハードに関してはさまざまな憶測が飛び交っていますが、今回はその礎を築いたNintendo Switchの軌跡を振り返っていきたいと思います。
Nintendo Switchの軌跡を振り返る
Nintendo Switchが発売されたのは2017年3月3日。「本体を持ち出して遊ぶことができ、一人でも大勢でもどこででもお楽しみいただける、かつてない娯楽体験」(2016年10月の正式発表時の公式リリース)と、据置機でありながら携帯機の性質を持つ、“遊ぶシチュエーション”の自由さを全面に押し出したハードでした。
実は当時、任天堂は大成功した「
Wii
」(累計販売台数1億163万台)を引き継いだ「
Wii U
」(累計販売台数1356万台)が大誤算で、据置機は窮地に追い込まれていました。一方で携帯機は『
とびだせ どうぶつの森
』(2012年)などヒット作に恵まれた「
ニンテンドー3DS
」が堅調。
言ってみればNintendo Switchは、据置機でこれ以上の失敗が許されない任天堂が、据置機とこれまで育ててきた携帯機、2つのラインを合流させた荒業的ハードと見ることもできそうです。
発売前は、携帯性を備えたこともあり、そのハードスペックの低さに落胆する声も聞かれました。Nintendo Switchが成功するかどうかに関して、やや悲観的な意見が多かったのを覚えています。
しかしながら、ローンチタイトル『
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
』(2017年)がオープンワールドゲームの金字塔と評価され大ブレイク、さらにコロナ禍による巣ごもり需要を受けて『
あつまれ どうぶつの森
』(2020年)が社会現象化するなど、任天堂製の良質なソフトがハードを牽引しました。
それではここからは、発表されている数字などをチェックしながらNintendo Switchの売上やヒットソフトの動向を見ていきましょう。
Nintendo Switchの売上成績は?
2017年3月3日に発売され、3月末時点では全世界274万台(国内60万台)とやや控えめなセールスだったNintendo Switch。しかし、1年後の2018年3月末には累計1779万台、2年後の2019年3月末には累計3474万台を記録。2021年12月末にはついに1億台を突破します。その後もコンスタントに売れ続け、最新発表では任天堂歴代ハード2位の1億5086万台まで伸びています(2024年12月末時点)。1位の「
ニンテンドーDS
」の1億5402万台も射程内に入っており、売上的には歴代屈指の成功ハードといえるでしょう。
Nintendo Switchではどんなソフトが売れた?
続いてソフトのランキングを見ていきましょう。任天堂公式サイトによると、2024年12月末で全世界累計販売本数1位は6735万本の『
マリオカート8 デラックス
』(2017年)、2位は4744万本の『
あつまれ どうぶつの森
』(2020年)、3位は3588万本の『
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
』(2018年)、4位は3262万本の『
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
』(2017年)、5位は2904万本の『
スーパーマリオ オデッセイ
』(2017年)となっています。
これらのソフトの顕著な特徴としては超ロングセラーであること。『
マリオカート8 デラックス
』は発売から7年以上経っても売れ続け、2024年4月~12月でも全世界538万本を記録するお化けタイトルとなっています。これまでのゲームソフトは発売直後に勢いよく売れて、タイトルとしての寿命はもって1~2年といったところでしたが、その常識を覆したのがNintendo Switchの任天堂製ソフト群だったと言えます。
これは、Nintendo Switchを買えばいつでも任天堂印の定番タイトルが遊べるスタンダードなおもちゃとして、Nintendo Switchがとらえられていた証かもしれません。特別なおもちゃではなく、生活に溶け込んだ必需品に近いイメージでしょうか。
ただ、累計1538万本売れた『
リングフィット アドベンチャー
』(2019年)を除いて、ヒットしているタイトルの大部分がシリーズの続編か派生作となっています。ダンボールキットでものづくりの仕組みやプログラミングを学べる『
Nintendo Labo
』(2018年)という新しい提案もありましたが、こちらはブレイクには至っていません。
Nintendo Switchの性能面はどうだった?
Nintendo SwitchのCPU/GPUは「
NVIDIA社製カスタマイズされたTegraプロセッサー
」を採用。メモリは4GBと言われています。この性能は2013年に発売されたPS4よりも低いものでした。Nintendo Switchは、スペック競争から一線を画していたことがわかります。
高性能なゲーミングマシンとしてのPS系ハードと、ファミリー向けおもちゃの延長としての任天堂ハードの住み分けがよりはっきりした形となりました。この路線を踏襲するなら、Nintendo Switch 2もそこまでの性能アップは期待できないでしょう。
もちろんスペックが高いからといって単純にゲームが面白くなるわけでもないので、その部分は問題ないですが、ひとつNintendo Switchで残念だったのがコントローラの耐久性。スティックが勝手に動くドリフト現象やスティックの軸折れなど、コントローラの故障が目立ちました。
かつて任天堂ハードは、子どもが雑に扱っても壊れないというタフなイメージがありましたが、その神話はNintendo Switchで崩れてしまったように思います。
Nintendo Switch 2の予告映像を見ると、コントローラがスライド式から差し込み式に変更になっている様子。Nintendo Switchのウィークポイントだったコントローラがどこまで改良されているかも注目点です。
現状路線を継承したNintendo Switch 2の未来は?
最後になりますが、Nintendo Switchではオンラインプレイで遊ぶための有料サービス「
Nintendo Switch Online
」も定着しました。これも任天堂にとっては大きな成果でしょう。
最近では、『
8番出口
』のような安価なインディー系ゲームがヒットする傾向が強まり、Steamなど他デバイスでブレイクしたタイトルを子どもたちがより気軽に安全に遊べるハードという性質も持ち始めているように感じます。
さて、果たしてNintendo Switch 2は、どれだけヒットするでしょうか。「2」というネーミングや、後方互換の仕様からも、Nintendo Switchの成功をそのまま維持したいという任天堂の意図が伺えます。
とはいえ、新ハードのたびにゲームファンをワクワクさせるようなギミックを仕込んでくるのが任天堂。4月2日の「Nintendo Direct」でサプライズがあるかもしれません。<文/卯月鮎>
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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