2024年末、ユン大統領の「非常戒厳」宣言で再び注目を浴びた光州事件。この韓国現代史における闇を市井の人々の視点で描いた『1980 僕たちの光州事件』が4月4日(金)より公開されることが決定した。
【写真を見る】道の中央に立ち尽くす家族の姿を捉えた『1980 僕たちの光州事件』ポスタービジュアル
韓国映画界では、『KCIA 南山の部長たち』(20)で長年独裁者の座に君臨したパク・チョンヒ大統領の暗殺事件を、『ソウルの春』(23)ではその直後に起きたチョン・ドゥファンによる軍事クーデターを、それぞれ史実を基にしたフィクションとして傑作映画に仕立て上げ大ヒットに導いた。そんななか、忘れてはならないのが、『ソウルの春』での出来事を経て権力の座を簒奪した軍事政権が引き起こした歴史的悲劇「光州事件」。先の2作品と同じく大ヒットを記録した『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17)でも描かれ、民主化を叫ぶ善良な市民たちを虐殺する軍人たちの真実を、世界に伝えなければという使命感に目覚めてゆくタクシードライバーとドイツ人記者のエモーショナルな姿が印象的だった。
本作ではその事件のど真ん中に生活をしていた「ごく普通の家族」の姿に焦点を当て、権力が市民の小さな幸福をいかにして踏みにじったのか、そして悲劇のなかにあっても大切な人を守りたいと願う思いがいかに尊いものであるかを、時にユーモアを交えながらも切々と描いていく。
このたび解禁されたポスタービジュアルには、市民と警察が混乱の中入り乱れている街中で、道の中央に家族で並びなにかを訴えかけるかのように立ち尽くす姿が印象的に写しだされている。「ねえ、なんで―?」というシンプルだが、怒りや悲しみがダイレクトに伝わってくる言葉と、ささやかな幸せを望んでいただけなのに、権力に振り回され希望を失いかけるが、それでも生きていくという力強さが家族の目の奥で光るビジュアルとなっている。
未だに収まることを知らない、ユン大統領の非常戒厳宣言騒動。なぜこれほどまでに本土を揺るがす事件となったのか?本作を通してその理由を確かめてほしい。
文/平尾嘉浩
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