久保建英はローテーション起用のなかでもベストパフォーマンスが必要 スペイン人番記者のレアル・ソシエダ後半戦の展望

photo by web Sportiva

久保建英はローテーション起用のなかでもベストパフォーマンスが必要 スペイン人番記者のレアル・ソシエダ後半戦の展望

2月12日(水) 21:55

提供:
現地発! スペイン人記者「久保建英コラム」

今回はスペイン紙『ムンド・デポルティボ』でレアル・ソシエダの番記者を務めるウナイ・バルベルデ・リコン氏に、補強のなかったレアル・ソシエダの今冬の動きについてと、目前に迫ったヨーロッパリーグのミッティラン戦の展望を書いてもらった。久保建英の活躍は期待できるだろうか。

【補強なしは信じがたい】 ヨーロッパリーグ(EL)、国王杯、リーガの3大会すべてで生き残っているレアル・ソシエダは今、すべてを懸けてシーズンの最も激しい時期に突入しようとしている。ここに至るまでにはさまざまなことが起こったが、あきらめずに野心的に挑戦し続けている。

ローテーション起用のなか活躍が求められる久保建英photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

ローテーション起用のなか活躍が求められる久保建英photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA



彼らはまず今後2週間で、ELのラウンド16進出を懸けたプレーオフ2試合に臨む。負けたらすべてが終わる"決勝戦"のような戦いだ。同時に、6季連続で欧州カップ戦出場を達成するために、国内リーグでも順位を上げていく必要がある。

ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)は勝ち進んだ場合、約3日おきに1試合という過密日程を最大で19試合連続でこなすことになる。イマノル・アルグアシル監督は最近、「苦しむことなく、それに耐えられる選手など存在しない。彼らの労力をうまくコントロールし、全員を起用していかなければならない」と語っていた。

予想される過密日程、深刻な得点力不足問題、および主力選手の退団など、チームが苦しむ要因を改善するために、冬の移籍市場を利用する余地はあった。にもかかわらず、ラ・レアルがこの冬、チームを強化しなかったのはとても信じがたいことだ。さらに3人をレンタルに出して、選手層がさらに薄くなっている。

マルティン・スビメンディの後釜と期待されたウルコ・ゴンサレス・デ・サラテは、すでにエスパニョールでスタメンに名を連ねている。クラブ史上最も高額な移籍金で加入したウマル・サディクは再起を図るためにバレンシアを選び、ジョン・マグナセライアは出場の機会を求めて2部コルドバに向かった。これによってチームには今、ミケル・オヤルサバルとオーリ・オスカールソンのふたりしかセンターフォワードが残っていない。

昨夏の移籍市場で、クラブの将来を賭けてオスカールソンを2000万ユーロ(約32億円)、ルカ・スチッチを1000万(約16億円)、ハビ・ロペスを700万ユーロ(約11億2000万円)、セルヒオ・ゴメスを900万ユーロ(約14億4000万円)で獲得した。さらにナイフ・アゲルドを200万ユーロ(約3億2000万円)でレンタルしたことで、必要な投資はすでに行なったと考えている。

さらに、この数カ月間で何人もの下部組織出身の選手と契約延長を済ませている。実績あるスター選手との契約でもない限り、イマノルは今いる選手たちに信頼を寄せ、クラブは新たな補強を求める必要はないと考えたのだ。

冬の移籍市場最終日、ジョキン・アペリバイ会長は「われわれは何も考えていない」と言い、イマノルも「私の考えは明確だ。補強を望んでいないし、求めるつもりもない」と、選手獲得の必要性を強く主張し続ける報道陣に飽き飽きした様子で答えていた。

【ノンストップのローテーションが続くチーム】 イマノルは現有戦力に満足し、選手たちを最大限に生かすべく、ノンストップでローテーションを続けている。今季の公式戦36試合目となった直近のエスパニョール戦に、32通り目となる新たな先発メンバーで臨んだ。1シーズンでこれほど多くのスタメンを組むのは非常にまれである。

イマノルはローテーションを日常化させ、いくつかのグループを作っている。FW陣に関して、久保建英はオヤルサバル、アンデル・バレネチェアもしくはセルヒオ・ゴメスと一緒にプレーすることが多い。一方、オスカールソンはシェラルド・ベッカーとの出場が多くなっている。

中でも左ウイングは最も動きがあり、イマノルにとって迷いのあるポジションとなっている(※今年に入り、オヤルサバル、バレネチェア、セルヒオ・ゴメス、ベッカーの4人が先発起用されている)。

昨夏加入したスター選手であるオスカールソンと久保が、ほとんど一緒にスタメン入りしていないのは不思議だが、フレッシュな選手を求めつつ、スタメンを微調整しているようだ。

中盤では、アンカーを務めるマルティン・スビメンディの代わりを務められる選手が未だに見つかっていない。スチッチとブライス・メンデスは一緒よりも別々に出るほうがいいだろう。そしてアルセン・ザハリャンの完全復活が待たれるなか、パブロ・マリンとジョン・アンデル・オラサガスティが台頭し、ポジション争いでベニャト・トゥリエンテスを上回っている。

右サイドバックではアマリ・トラオレの復帰を待ちわびるなか、アリツ・エルストンドがホン・アランブルのバックアップを務めている。エルストンドはまた、センターバックとしても力強いプレーを見せ、監督の序列では明らかにジョン・パチェコの上にいる。左サイドバックではハビ・ロペスがアイエン・ムニョスを休ませる役目を担っているが、そのレベルには遠く及んでいない。

ローテーションを多用している今、チームにはレギュラーと控えの垣根がほとんど存在せず、皆にチャンスが与えられている。そんななか、1年前よりはるかによくなっている久保がもっと上を目指すには、出番が訪れるたびに休むことなく攻撃し、ゴールであれアシストであれ、チームの得点力アップに貢献し、ベストパフォーマンスを発揮し続ける必要がある。

バレネチェアの先制点につながった国王杯準々決勝オサスナ戦のヘディングはすばらしい功績だが、何よりもそれは彼が成長し続けたことで身につけた、多大な献身性と自信の表れから来るものだった。

【久保の輝きが期待されるヨーロッパリーグ】 ラ・レアルは今週から、ELラウンド16進出を懸けたプレーオフでデンマークのミッティランとの厳しい戦いに挑む。

ミッティランは、アメリカ経済誌『フォーブス』世界の富豪ランキングで、159位にランクインするファッションブランド経営者のアナス・ホルシュ・ポールセン氏がオーナーを務める1999年創設の新進気鋭のクラブだ。

チームの目標はヨーロッパトップ50入りを達成すること。創設わずか15年でデンマークリーグを制し、その第一歩を踏み出している。今季も歴史ある偉大なクラブ、コペンハーゲンと優勝を争い、現在勝ち点で並んでいるが、今は極めて重要なELの戦いに焦点を合わせている。

ラ・レアルとの第1戦が開催されるのは、人口5万人足らずの寒い街ヘアニングにあるMCHアリーナ。約1万2000人を収容できるが、ラ・レアル戦のチケットはすでに完売済みだ。この試合日は気温がマイナス5度になると予想されているため、その点ではホームチームが有利となるだろう。

北欧諸国にとって国内リーグは現在ウインターブレイク期間中だ。その点がこれまでヨーロッパの大会を戦う上で大いに不利となっていた。リーグ戦は今季も12月1日を最後に2月半ばまで中断されている。しかし、ELのフォーマット変更により1月に2試合戦えるようになったことで、コンディション調整がしやすくなった。チームはまた、プレシーズンを雪のなかで行ない、ラ・レアル戦に備えてきた。

注目選手には、ギニアビサウ代表FWフランクリーノ・ジューや、エラス・ヴェローナ(イタリア)から加入したばかりのポルトガル人MFダニ・シウバが挙げられる。また、18歳のFWミケル・ゴゴルザは家族がギプスコア(スペイン・バスク州ギプスコア県)にルーツを持つ選手とあって、とても興味深い。

ラ・レアルはミッティランがウインターブレイクに入っていた点を生かし、ハイペースでプレーする必要がある。3連敗およびここ5試合で4敗を喫している最近のアウェーゲームで失った堅守を取り戻さなければならない。

勝つためにイマノルは、久保、ブライス・メンデス、オヤルサバル、イゴール・スベルディアといったフレッシュな選手を先発起用するはずだ。一方、左ウイングは誰が起用されるか直前までわからない。

久保は試合をダイナミックに展開し、相手の守備網を突破する鍵を握る選手となるだろう。アウェーゲームとはいえラ・レアル有利と見られているが、油断することなくミッティランに勝利し、ホームの第2戦を有利に戦えるようにしなければならない。

(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

【関連記事】
◆【ランキング】サッカー日本代表を進化させたドリブラーベスト5 「なぜ取られない」「緩急が独特すぎる」
◆【現地発コラム】久保建英の移籍の噂に何ひとつ真実はなかったとスペイン人記者「現時点では今夏もその可能性はない」
◆【注目記事】中井卓大にとって最後のチャンス 新天地・スペイン4部のリアルと一発大逆転の可能性
◆【画像】サッカー日本代表2026年ワールドカップのメンバーはどうなる? 識者が大予想したフォーメーション
◆【写真】サッカーファンが注目! 久保建英フォトギャラリー
Sportiva

新着ニュース

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ