1966年から2017年まで営業していたソニーのショールーム「ソニービル」は、東京・銀座の数寄屋橋交差点のランドマークとして覚えている人も多いだろう。そんな「ソニービル」の建て替えプロジェクトとして建設が進められていた「Ginza Sony Park」が2025年1月26日にグランドオープンした。今回はグランドオープン前に行われた内覧会に参加した際の様子を紹介する。
【写真】「Sony Park展 2025」で登場!Vaundyがキュレーションした「音楽の地層」空間を見る
■新しい「銀座の庭」としてのGinza Sony Park
ソニー企業株式会社 代表取締役社長で、「Ginza Sony Park Project」のリーダーも務める永野大輔さんが、内覧ツアー前に行われたプレゼンテーションで語ったのは、「銀座の庭、Ginza Sony Park」というメッセージ。「あそこは私にとっての庭なんだ」といった表現で使われるようによく通う場所として、あるいは親しみ馴染んできた場所として、パブリックな公園であるもののプライベートな時間を過ごしてほしいという想いが込められているという。
そんなメッセージを反映するようにGinza Sony Parkは、地上部分の吹き抜けが数寄屋橋交差点、地下部分の入口が地下鉄コンコースとシームレスにつながっており、都市と公園との境界があいまいになる工夫が凝らされている。このあいまいな境界にも「銀座の庭」として親しみやすい公園になってほしいという想いが込められていることだろう。
各階や屋上には軽く座ることのできる出っ張りや、今後イベントなどでカウンターとして活用していくことができる構造物も用意されている。日光や風を取り込むことができる半屋外構造になっている踊り場や、緩やかなスロープと幅広い階段を利用したらせん状階段といった、詰め込まないがゆえの「余白」も注目すべき点だ。あえてほかの建物よりも低く構えることで集積率の高い都市部に新しい景観を生み出すなど、「余白」に着目した工夫は多く見られ、各階は打ちっぱなしのコンクリートながらも息苦しさを感じにくいスペースに仕上がっている。
また、地下鉄のコンコースとの接続部分にはかつてのソニービル解体工事中に発掘された50年以上前の青いタイル壁なども残されており、銀座の歴史の1ページに名を連ねるソニービルの雰囲気を感じることもできる。Ginza Sony Parkに詰まっている工夫やこだわりの一端を、ぜひその目で探してみよう。
【Ginza Sony Park 概要】
■開園時間:11時〜19時
■定休日:年中無休(年末年始ならびに園内メンテナンス日は除く)
■住所:東京都中央区銀座5-3-1
■アクセス:
・JR「有楽町駅」中央口より 徒歩約5分
・東京メトロ銀座線「銀座駅」銀座四丁目交差点改札より 徒歩約3分
・東京メトロ丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」数寄屋橋交差点改札または中央改札より 徒歩約2分
※地下コンコースB9出口直結(利用時間 8時〜22時)
※車の場合、西銀座駐車場のご利用が便利です。西銀座駐車場 地下1階から地下コンコースへ出て、地下2階から入園することができます。
■「1/2料理」とはいったい?「洋食の街」銀座ならではの独自レストランも登場
Ginza Sony Parkにはテナントの店舗は出店しておらず、唯一常設で営業しているのは地下3階にあるレストラン「1/2 (Nibun no Ichi)」のみとなっている。そんなレストラン「1/2 (Nibun no Ichi)」もソニーが自ら手掛けており、Ginza Sony Parkだからこそできる食事の楽しみ方を提供する新形態のレストランなのだ。
このレストランの特徴は、店名にもある「1/2」というキーワード。一人前の約1/4サイズの料理を2品盛り合わせた1/2サイズのプレートが提供されるというユニークな営業形態なのだ。その根底にあるのは、「余白」や気軽に立ち寄るための場所というGinza Sony Parkらしさ。お腹いっぱいに食べるためではなく、「街に開かれた施設」の中でちょっとした休憩や空き時間に小腹+αの何かを満たす食事を提供したいという想いが詰まっている。
季節ごとに変わるメニューは常時10種類も用意されており、銀座と切り離せない洋食がベースとなっている。美しく盛り付けられた洋食の数々は見た目でも楽しめる。さらに料理と一緒に提供されるプレイスマットには、それぞれの料理にまつわるエピソードも記されている。たとえば、さまざまな国や地域ごとの食材にまつわるトリビアや、西洋文化を取り入れ日本独自にアレンジしていった先人たちの試行錯誤など、そこに書かれたエピソードを読みながら料理を食べることで、銀座に培われてきた洋食文化そのものまでも味わうことができる。
内装は店内中央に配置されたオープンキッチンが座席からすぐの位置にあり、料理が作られるライブ感も楽しむことができる。また、壁面で輝くSONYの文字のネオンは、Ginza Sony Parkが作られる前のソニービル屋上にあったものをそのまま再利用しており、ソニーが銀座に根差してきた歴史が感じられる。
お腹を完全に満たさない1/2料理は、銀座の街を散策しながらほかのカフェやレストランに入りたい場合でも楽しむことができる。Ginza Sony Parkに訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
【レストラン「1/2 (Nibun no Ichi)」詳細】
■営業時間:11時~21時(L.O. 20時)
■定休日:年中無休(年末年始ならびにGinza Sony Parkの閉園日は除く)
■フロア:地下3階
■価格:各プレート1650円
■決済方法:現金不可、キャッシュレスのみ
クレジットカード(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners、DISCOVER)、電子マネー(交通系、iD、QUIC Pay、Apple Pay)、各種QR決済
■予約可否:不可
■大人気アーティストとのコラボレーションプログラムを体験!
グランドオープンを迎えた新しいGinza Sony Parkでは、地下や地上の屋内スペースなどを用いてイベントが開催されることがある。そんなイベントの最初のプログラムとして登場するのは「Sony Park展 2025」だ。ソニーが取り組む多様な6つの分野「音楽、半導体、金融(ファイナンス)、ゲーム、エンタテインメントテクノロジー、映画」をテーマに、6組のアーティストのクリエイティビティとソニーのテクノロジーを掛け合わせたイベントで、これまでも2021年に銀座、2022年には京都で開催され、好評だったという。
「Sony Park展 2025」では、今回で2回目となるYOASOBI、Creepy Nutsに加え、新たにVaundy、羊文学、BABYMONSTER、牛尾憲輔が参加し、それぞれのテーマごとに体験型プログラムを作り上げている。3アーティストごとに前・後半で開催期間が分かれており、今回の内覧会では前半3アーティストの参加したプログラムを体験することができた。
■【Vaundy】積み上げられた音楽の世界を旅しよう!
まず体験したのは、地下2階の「音楽は、旅だ。」というテーマのVaundyのプログラム。段ボールで地層を表現したブースは、音楽がジャンルや年代の垣根を越えて積層された様子を表現している。
このブースの特徴は、来園者に1つずつソニーのヘッドホンが貸し出されるという点だ。段ボールの「地層」にはヘッドホンのコードを差すための穴がたくさん存在しており、そこにコードを差すことで音楽を楽しめる。この音楽を選曲したのはVaundyで、なんと200曲近い楽曲を聴くことができるのだ。「僕の心の曖昧な地層」というテーマで選ばれた幅広い年代、ジャンルの楽曲を、発掘するように試してみよう。
Vaundyが選曲した約200曲の楽曲のほかにも、Vaundyの人気楽曲「踊り子」を聴くことができるコーナーも存在していた。座って一休みするついでにVaundyの音楽の世界に没入してみてはいかが?
また、段ボールで表現された「音楽の地層」の一部にはCDやレコーダーなど音楽を聴くための道具も展示されており、ソニーが開発したウォークマンなども見つけられる。ぜひ、音楽の思い出を友人や家族と語り合ってみよう。
■【羊文学】水と光と歌詞が織り成す幻想的な楽曲空間
次に4階の「ファイナンスは。詩だ。」をテーマとする羊文学のプログラムを体験。ブースの中央には大きな水盤が広がっており、羊文学が生み出した楽曲・歌詞と、水と光が融合したメインプログラム「Floating Words」(約15分)が上映される。羊文学の楽曲「more than words」「光るとき」が静寂な空間に響き渡り、その歌詞が泡のように浮かび上がったり、海のように波打ったりする様子は非常に幻想的だ。
プログラムのナレーションを行うのは、羊文学のボーカルの塩塚モエカさん。このプログラムのために特別に収録されたナレーションと、羊文学の言葉が浮かんでは解けていく儚くも美しい映像演出、さまざまな表情を見せる水面のゆらぎ。そのすべてが織り重なって、楽曲の世界に入り込む特別な音楽体験に仕上がっている。
水と光がうまく融合されているこのブースでは、ソニーの触覚提示技術(ハプティクス)を楽しむこともできる。人の歩行に合わせた多彩な振動フィードバックによって、床なのに水辺を歩いているような不思議な感覚が実現されている。「Floating Words」の余韻にひたりながら、先端技術のハプティクスが生み出すイマ―シブ体験を楽しもう。
多くの人の共感を集める羊文学の歌詞は、期間中4階のブース以外にもGinza Sony Parkのさまざまな場所に記されている。羊文学の体験プログラムで流れる「more than words」の歌詞もGinza Sony Parkのどこかに登場している。歌詞の近くにはそのまま楽曲を聴くことができるQRコードも記載されており、その場で新しい楽曲と出合うことが可能だ。ぜひ、園内散策と合わせて歌詞探しも楽しんでほしい。
■【YOASOBI】あなたの「心音」と楽曲がコラボ―レーション!?
最後に紹介するのは、3階に登場する「半導体は、SFだ。」がテーマのYOASOBIの体験プログラム「HEART BEAT:Resonance」。このプログラムで使われるのは、NHK総合 「YOASOBI 18祭(フェス)」のテーマソングとなった「HEART BEAT」だ。楽曲のテーマでもある「心音」をモチーフに、来園者の心拍をセンシングして、来園者一人ひとりの「心音オブジェクト」を作ることで、YOASOBIと来園者の心音オブジェクトが共鳴するスペシャルな音楽体験になっている。
ブースに入ると心拍数を測定することができる特別な装置が用意されている。その日の気分や自分の性格など簡単なアンケートのあと、心拍数を入力すれば準備完了。一人ひとりの回答結果や測定結果に合わせた「心音オブジェクト」が作成され、スマートフォンで持ち帰ることもできる。
「心音オブジェクト」の作成が終わると、プロジェクターの壁や床で囲まれた空間の中に移動する。楽曲が再生される前、床には作成した「心音オブジェクト」が登場しており、自分の心拍数に合わせたBPMにてハプティクスが使われている床を振動させている。ぜひ参加者の「心音オブジェクト」のなかから自分の「心音」を探し出そう。
音楽が流れ始めると壁面のプロジェクターに映像が流れ、楽曲に合わせて「心音オブジェクト」が空間全体を彩る。来園者の「心音」が共鳴した特別な楽曲の音楽体験と合わせて、壁一面に映し出される映像も楽しめる。
楽曲終了後、プログラム中に登場したYOASOBIのAyaseさん、ikuraさんの「心音オブジェクト」も見ることができる。2人がこのイベントに寄せたコメントと合わせて、ぜひチェックしてみよう。
【Sony Park展 2025 イベント詳細】
■日時・プログラム
Part 1:2025年1月26日~3月30日(日) 11時~19時(予定)
・音楽は、旅だ。/ with Vaundy
・半導体は、SFだ。/ with YOASOBI
・ファイナンスは、詩だ。/ with 羊文学
Part 2:2025年4月20日(日)~6月22日(日) 11時~19時(予定)
・ゲームは、社交場だ。/with BABYMONSTER
・エンタテインメントテクノロジーは、ストリートだ。/ with Creepy Nuts
・映画は、森だ。/ with 牛尾憲輔
■場所:Ginza Sony Park
■料金:無料
※事前予約制です。
※予約注意事項とハプティクスの利用制限・注意事項の詳細はWEBページにてご確認ください。
ソニービルの跡地にグランドオープンした「Ginza Sony Park」は、銀座の街に「余白」と「シームレスさ」を作り出し、新しい「銀座の庭」となっていくことだろう。
また、Ginza Sony Parkで開催中の「Sony Park展 2025」もソニーが積み上げてきたさまざまな技術・分野を新進気鋭のアーティストが表現した体験プログラムになっている。アイデアの革新で価値を生み出し続けているソニー。そんなソニーが手掛けるアクティビティを五感で体験してみよう。
※「ウォークマン」は、ソニー株式会社の登録商標です。
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
取材・文=平岡大和
【関連記事】
・
新たな銀座の手土産に!デパ地下洋菓子コーナーがリフレッシュオープンで銀座三越限定ブランドも登場
・
暮らすように泊まれる三井ガーデンホテル銀座築地がオープン!薪火料理のレストランも魅力
・
表参道でいちごにまみれる2カ月間!今年は10店で味わえる特別な「いちごさん」スイーツ
・
キャラクターおにぎりの最先端!なんでもいきもの「のりおにぎり」が本物のおにぎりになって渋谷に登場!?
・
日本で一番早咲きの桜って知ってる?「土肥桜祭り」が1月18日(土)から開催!