【写真】生徒には見せない“営業スマイル”で理事長・古代(北村一輝)と接する御上(松坂桃李)1月19日(日)よりスタートする日曜劇場「御上先生」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)。WEBザテレビジョンでは、同ドラマの主演を務める松坂桃李にインタビューを実施。作品や役柄の魅力のみならず、撮影現場の雰囲気や理想の教育環境について語ってもらった。
■日本教育にはびこる腐った権力に立ち向かう“大逆転教育再生ストーリー”
本作は、とある高校を舞台に権力争いや国の思惑、大人社会の要素を入れ込んだ学園ドラマ。官僚派遣制度によって私立高校への出向が命じられた東大卒のエリート文科省官僚・御上孝(松坂)が、令和の時代を生きる18歳の高校生たちを導きながら、権力に立ち向かっていく姿を描く。
学園ドラマではありながらも、子供が生きる「学校」と大人がもがく「省庁」という、一見別次元にある二つの現場を中心に物語が展開。制度を作る側の官僚では変えられない現状に対し、御上は学校から声を上げ、制度の内部から日本の教育をぶっ壊そうとする。
未来を夢見る子供たちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実に、一人の“官僚教師”と令和の高校生たちが共に立ち向かう“大逆転教育再生ストーリー”。教育のあるべき真の姿を描いた、これまでとは一線を画した新たな学園ドラマとなっている。
また、御上が担任を務める臨徳学院3年2組の生徒役にも注目の若手俳優が集結。報道部の部長でクラスのカリスマ的存在・神崎拓斗役の奥平大兼、神崎の幼なじみ・富永蒼役の蒔田彩珠の他、影山優佳、窪塚愛流、上坂樹里、高石あかり、八村倫太郎、山下幸輝といった総勢29人のキャストが物語を盛り上げていく。
■本作は「御上も生徒と向き合う中で教師として成長していく物語」
――本作のオファーを受けた際の思いをお聞かせください。
飯田和孝プロデューサーからお話を頂いたのが2024年のはじめごろ。文部科学省の官僚が高校に派遣され、官僚教師として令和の18歳と共に日本教育の闇に立ち向かうという企画内容を聞いて、とても興味が湧きました。
今の学生たちは自分のころと比べても全く違う環境で過ごしているはず。僕自身にも家族ができたことで、今後の日本教育について考えるようになった時期だったので、すごくすてきなタイミングでお話を頂いたと思っています。日曜劇場「VIVANT」のころからお世話になっている飯田さんの熱量に応えたいと思い、ぜひとお受けしました。
――脚本の詩森ろばさんとは、映画「新聞記者」以来の再タッグになりますね。
詩森さんが民放の連続ドラマの脚本を初めて手掛けると聞いて、これは面白いものになると確信しました。詩森さんは鋭い切れ味の刀でゆっくり斬り込んでいくような、怖さをはらむ脚本を書かれる方。斬っていくプロセスでさえもハラハラドキドキするので、そこで生まれるエンターテインメント性にとても魅力を感じています。
――今回松坂さんが演じられる御上孝はどのようなキャラクターですか?
御上は、ある事件をきっかけに「日本の教育を変えてやろう」と文科省の官僚になったキャラクター。私立隣徳学院に出向を命じられ、渦巻く闇の中心からではなく、別の角度から闇に切り込んでいきます。“文科省にいても変わらない、だったら、現場から教育を変えてやろう”という熱量を持っている人です。
エリート官僚なので何でもできてしまうタイプではありますが、決して完璧な人間ではありません。実際に生徒たちとお芝居をする中で、御上は生徒によって教師にしてもらっている感覚も。生徒たちが御上との出会いで変化していくように、御上も生徒と向き合う中で教師として成長していく話でもあるのではないかなと。

――そんな生徒たちとのお芝居で意識していることは?
御上の思いを生徒にしっかり届けるために、言葉の伝え方や、目の前にいる生徒のことを第一に考えています。教室では御上の言葉を、生徒29人、一人一人に同時に届けなければいけません。どういう話し方で、どのくらいの熱量でしゃべったら伝わるのか試行錯誤しながら教壇に立っています。
――飯田プロデューサーや宮崎陽平監督からはどんなリクエストがありましたか?
「せりふ量が多いので、話すスピードは少し速めで」というリクエストがありました(笑)。これって実は、限られた放送時間の中でメッセージを伝えるために計算しなくてはいけない重要なこと。早口ならいいというわけでもなく、視聴者の皆さんに届くようにしゃべらないといけないので、メリハリやスピード感に気を付けるようにしています。
――役作りにあたって準備したことは?
御上先生のモデルとなった工藤勇一先生(教育アドバイザー)の授業を受けさせていただきました。工藤先生の授業は本当に面白く、熱量と志にあふれていて、これは御上先生のモデルになるわけだなと。お芝居では、工藤先生の授業風景や話している姿も参考にさせていただいています。
――工藤先生の授業で印象的だった内容は?
特に印象的だったのは、「自主性」と「主体性」の違いについて。工藤先生曰く、日本の教育では「宿題をやりなさい」「◯◯を勉強しなさい」などと言われたことを自発的にやる自主性に重きを置いている一方で、これからの社会で求められるものは、自分の意志で、責任を持って行動する主体性なんだそう。
劇中の御上の授業でも、生徒たちが社会に出たときに「御上先生が言っていたな」と思い出してもらえるような、社会で生きていくうえで大切なことを教えています。
■勉強熱心な生徒役キャストに「教室シーンの撮影のたびに背筋が伸びる思い」
――大人キャストには豪華なメンバーが集まっていますが、撮影現場での様子は?
吉岡里帆さん演じる3年2組の副担任・是枝文香は、生徒の目線で寄り添い真摯に向き合う、御上とは対極にいるキャラクター。吉岡さんも役柄同様に生徒一人一人に自らフランクに話しかけていて、みんなをリラックスさせてくれています。教室のシーンは緊張の連続になることもあるのですが、吉岡さんのおかげでいい意味で空気がほぐれ、緊張と緩和のバランスが取れています。
――撮影現場の雰囲気はどなたが作られていますか?
隣徳学院、古代真秀理事長役の北村一輝さんのおかげで、撮影現場の士気が上がっています。お芝居に対する熱量や向き合い方に驚かされますし、休憩中にも飯田さんと熱心に話している姿を見ることもしばしば。若手の俳優たちが言いにくいことを率先してズバッと言ってくださることもあって、その瞬間はいい意味で緊張感が高まります。
北村さんが言うことは、芝居をする側からするとうなずけることばかり。監督が撮りたい映像と多少のずれが生じることもあるのですが、監督陣もその都度熱意を真っすぐに受け止めて試行錯誤してくださっています。
――生徒たちが集まる教室はどんな雰囲気ですか?
学生らしく賑やかなときもありますが、生徒の皆さんも全員プロなので、セットに入るとちゃんと逆算してお芝居をしています。だからこそ、僕も彼らをとても信頼しています。皆さん勉強熱心で、自分の撮影がない日にも「時間があるので見学に来ました!」という方もいて。そんな皆さんに僕も全力の芝居を届けたい。教室シーンの撮影のたびに背筋が伸びる思いです。
――松坂さんから生徒たちに声を掛けることはありますか?
なるべく話しかけるようにしているのですが、僕は吉岡さんみたいにコミュニケーション能力が高くないのでポツポツとしゃべっています(笑)。その代わりと言ってはなんですが、僕史上一番差し入れをしている撮影現場になっているはず。コミュニケーション能力が高くない分、差し入れで頑張ろうと思って。皆さん、おいしいと言って食べてくださるので、差し入れしている甲斐がありますね。
――生徒役の皆さんからアドバイスを求められることはありますか?
お芝居のことについて質問してくれた方には自分なりに答えていますが、いいアドバイスをできているのかどうか…。むしろ皆さんから刺激をもらっていることが多いので、先生と生徒というより、プロの役者同士として作品を一緒に作っている感覚です。
――学園ドラマの座長として撮影現場で心掛けていることは?
ドラマでは、いろいろな角度の映像を撮るため、何度も同じ芝居を繰り返します。なので、生徒たちを飽きさせないように、芝居の鮮度を保つことも大切。先生の話を聞く生徒の顔は、やはりいい表情を撮りたいものです。だからこそ、どのテイクでもいい感情を乗せて、いい状態で受け取ってもらえるように努めています。
――リアクションだけのお芝居では集中力をキープするのも大変だとか。
そうですね。せりふがない撮影のときは特に。教壇から見ると、今日は気が抜けているなとか、この子は今日調子悪そうだなとか、この子はスイッチ入っているなとかがよく分かるんです。時には、今日はこの子寝ているなってことも(笑)。生徒たちはみんな協力的なので、そういう子がいたら起こしてあげて助け合っています。そういう様子も見ていてとてもほほ笑ましいです。
――印象に残っている撮影でのエピソードを教えてください。
撮影スケジュールの兼ね合いで、時折、生徒数名が一緒に泊まって次の日の撮影に来ることがあります。そうすると不思議なことに、昨日より仲が良いじゃん!みたいなことが起こるんです。よく話すようになったなとか、下の名前で呼び合うようになったな、などの変化が見えて面白い。まるで合宿を経た後のような結束力を感じますね(笑)。

■「子供が選べる選択肢を大人たちが増やしてあげられるのが理想」
――ご自身の学生時代と比べて、教育環境はどのように変化していると感じていますか?
本作の撮影においても、生徒たちがノートではなくタブレットで勉強をしていることに進化を感じました。僕は授業といえば紙とペンだろうと思っていたのですが、誰一人として紙のノートを持っていないことにびっくり(笑)。授業ではプロジェクターを駆使していて、僕の学生時代のスタイルとは大きく異なっています。
――松坂さんが思う理想の教育環境は?
僕としては一人一人の個性を大事に伸ばす、主体性を大切にする学習環境が今より増えたらいいなと願っています。そして何より大切だと思うのは、子供たちの選択肢をどれだけ増やしてあげられるか。
子供たちは教育を受ける過程でたくさんの経験をして、さまざまな人と出会って、多くの学びを得るはず。いざ自分が何をしたいのかを考えるときに、子供が選べる選択肢を大人たちが増やしてあげられるのが理想だと考えています。

――お子さんが生まれてから、教育について考える機会も増えましたか?
増えましたね。独身時代は数年後くらいのことをぼんやり考えていましたが、子供が生まれてからは15年以上先のことも考えるようになりました。すてきな社会になってほしいと願いながらも、そうならなかった場合のことも考えないといけない。本作がより良い社会を育むための刺激となって、それが連鎖していってくれたら、作品に携わる僕らとしてはうれしい限りです。
――最後に、視聴者へメッセージをお願いいたします。
シンプルなメッセージにはなりますが、「とにかく面白いから見てほしい!」という言葉に尽きます! 社会に一石を投じるような側面もありますが、エンターテインメント作品としてどんどん続きが気になる展開になっています。日曜の夜のひとときを絶対に飽きさせない。そして絶対に損をさせない時間にする自信があるので、ぜひご期待ください!
■日曜劇場「御上先生」第1話あらすじ
文科省官僚の御上孝(松坂桃李)は、私立隣徳学院3年2組の教壇に立っている。29人の生徒を前に、御上の授業が始まる。その場にいる29人の生徒は、それぞれの思いをもって向き合っていくのだが、御上が投げかけるある「問い」が波紋となり、生徒たちをつき動かすことに。

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