高速&大量輸送でコスパ良しのはずだったのに…「海の新幹線」が突如姿を消した理由
すぐれた性能や将来性を持っていたのに、時代のニーズや期待などからズレてしまい、十分な活躍ができなかった乗り物たち。作り手は大マジメなはずなのに、どこか上手くいかない……。そんな哀愁あふれる乗り物たちを集めた『ざんねんなのりもの事典』(講談社)から、愛すべき「ざんねん」な乗り物を一部ご紹介します。
出過ぎた杭は打たれまくった!?(2)
テクノスーパーライナー
残念度★★★
<SPEC>
スーパーライナーオガサワラ
●航海速力:およそ38ノット(約70km/h)
●定員:742名●総トン数:13923t
●貨物積載能力:210t●全長:140m
●全幅:29.8m
「海の新幹線」と期待も仕事がないままスクラップに……
テクノスーパーライナーは、高速で大量輸送ができ、なおかつ航空機ほど運用コストがかからない貨物船として、
当時の運輸省(現・国土交通省)の主導
で開発が進められました。
1994年には2隻の実験船「飛翔」と「疾風」が誕生。「飛翔」は後に船名を「希望」に変え、
静岡県の高速フェリー
として運航されています。
後に、25時間程度かかっていた東京~小笠原を、
高速船によって約16時間で結ぶ構想
が生まれ、2003年に「スーパーライナーオガサワラ」が起工しました。
順風満帆に見えたテクノスーパーライナーですが、
突如として終わりが訪れます
。2005年頃から原油価格が高騰し始め、燃費の悪かった同船にとって、死活問題となってしまったのです。
結局、静岡の「希望」は2005年10月に運航を終了。船の構造上、普通のフェリーに比べ自動車の積み込みに時間がかかり、せっかくの
高速性能が相殺されるという本末転倒ぶり
も露呈しました。
一方の「スーパーライナーオガサワラ」は、
絶対に黒字化しない採算性
が大問題となり計画は立ち消え。2005年11月に船が竣工したものの、既に出番はなく、莫大なコストを費やしたにもかかわらず、
運ぶものがない船
として一生を終えたのでした。
ほかにも愛すべき「ざんねんなのりもの」が続々。
続きは書籍でお楽しみください。