【第1話】から読む。
前回からの続き。俺(マモル)は、妻のユウコと高校2年生の長男・タケシ、中学1年生の長女スズカの4人暮らしだ。妻のユウコとは若い頃に結婚をして、互いに協力しながら家庭を育んできた。子どもが小さいうちはユウコには専業主婦として家にいてもらい、育児が少し楽になってきたタイミングでユウコが再就職。現在は共働きだ。もともと大学進学を希望していた俺だったが、諸事情で諦めていた。しかし心の奥にはずっと「大学に行きたい」という気持ちが色褪せることなく眠っていたんだ。そしてとうとう念願の大学生になることができたのだが……。
もともと家事も積極的にやっていたとはいえ、大学生活とアルバイト、家事のトリプルコンボに追われる毎日で、若い同級生との交流を深める余裕は皆無だった。それでも新しい知識を学べる場はとても貴重で、全部ユウコのおかげだな……と感じる日々だ。
はじめて「大学に行きたい」とユウコに言ったあの日……。
ずっと大学に進学したいと思っていたことや、子どもたちの進学費用もかかる時期なこと、今後のキャリア形成のこと……。自分勝手なことを言っているのは、承知の上でユウコに大学進学について相談した。
必死でお願すると、ユウコは「いいんじゃない?受かるといいね」と、快く了承してくれたんだ。
本当に、ユウコには頭が上がらない。子どもたちの反応もポジティブで安心した。
そんなある日、買い物の帰り道に、スズカが友達と歩いているのを見かけて、声を掛けようとしたのだがとどまった。
「えぇ!スズカのお父さん、働いてないの?」
なぜなら話題が俺のことのようだったからだ。
俺の大学進学に、ユウコはすんなり賛成してくれた。
それからの日々、ユウコや子どもたちの姿を見ていると、心から応援してくれているように感じるんだ。
教育費がかかる年頃の子どもが2人もいるのに、奥さんに働かせて自分は大学に行くだなんて、世間から見たら不思議な光景かもしれない。
けれど家族の思いに応えるために、俺はしっかりと大学で知識を学び、資格を取る。
そして再び社会に戻ったときは、今以上に頑張って家族孝行をしようと心に誓ったんだ。
【第5話】へ続く。
原案・編集部脚本・渡辺多絵作画・よしはな編集・石井弥沙
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