黄金比が正解とは限らない。10億円以上を売り上げる人気美容外科医が考える「美しさ」とは

黄金比が正解とは限らない。10億円以上を売り上げる人気美容外科医が考える「美しさ」とは

黄金比が正解とは限らない。10億円以上を売り上げる人気美容外科医が考える「美しさ」とは

12月23日(月) 13:10

取材・文:ミクニシオリ

撮影:渡会春加

編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

近年、私たちにとってかなり身近な存在となった美容医療。長年のコンプレックスを取り除き、新しい自分に生まれ変わることができる医療技術で、何人もの女性を救ってきた女性がいます。

「美しさとは、他人が考える黄金比ではなく、自分本位でいい」。

そんな名言を放ってくれたのは、渋谷にある美容クリニック「ASTRA BEAUTY CLINIC」の院長、塩満恵子先生。幼少期はロシアと香港、中国を転々とし、医師に憧れて15歳で日本へ。

生まれやキャリアの華々しさから、メディアでも注目される人気美容外科医の塩満先生ですが、その素顔を覗いてみると、お客様のために奔走する日常や、精神をも健康にする美容医療への真摯な向き合い方など、塩満先生らしい「母性」が垣間見えました。

塩満恵子さん

埼玉医科大学医学部医学科を卒業後、中国の大連医科大学の救急科や、ドイツのシャリテ-ベルリン医科大学の形成外科を卒業。東京女子医科大学病院の形成外科を経て、美容外科の道に。大手美容外科勤務を経て、2022年に「ASTRA BEAUTY CLINIC(アストラビューティークリニック)」を立ち上げ、院長を務める。形成外科出身の高度な手技を駆使し、提案型の施術で年間10億円以上を売り上げる。

■「自分の考える最良の診療」を実現するべく開業

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

日本人の父と香港人の母の間に生まれ、学生時代までは海外で過ごしました。父が貿易会社を経営していたこともあり、色々な国を転々としていたので、どの国でも「いじめられないように」と気丈に振る舞っていました。

Q.2 学生時代に注力したことはなんですか。

小さい頃から父が見せてくれる日本のテレビが大好きで、小学生の時にドラマ「白い巨塔」を見て、主人公に憧れて医者を目指しました。ドラマの影響もあり、日本で医学部に通うことを目標に、中学生の時に勉強と日本語の特訓に邁進し、高校からは日本に住み始めました。

Q.3 これまでのキャリアを教えて下さい。

無事医学部に合格した当初は、救命医に憧れを持っていました。ですが、色々な科をローテーションする研修医時代に形成外科を経験し、プロの医師たちの職人技に感銘を受けました。形成外科は基礎を積み重ねできることにも魅力を感じ、卒業後は形成外科に進みました。

その一方で、美容整形外科にも興味を持っていました。形成外科は傷を「元通りにしてあげる」ことができますが、美容整形は自由診療ではあるものの、患者様の精神面の健康を取り戻すことができると考えていました。社会人としては初期臨床研修修了後に形成外科医局に入局し、経験を積んだ後に大手美容外科でさまざまな症例を担当。現在は「ASTRA BEAUTY CLINIC(アストラビューティークリニック)」を立ち上げ、院長としてカウンセリングとオペに入る日々です。

Q.4 クリニックのリーダーとなった時の心境を教えてください。

大手の美容外科はたくさんのお客様がいらっしゃるので、幅広い経験を積むことができました。しかし、雇われの医師である以上、自分のやりたい診療が必ずできるわけではありません。医療の分野では「美容整形外科は精神科の一種」と言われることもあり、患者様の心の傷を癒やすことができる場所でもあります。だから私は、自分の考える最良の診療を行うために、自分のクリニックを立ち上げることにしたのです。

■人気外科医の日常は、カウンセリングとオペでバタバタ!?

Q.5 仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

アストラビューティークリニックにいらっしゃる患者様は、ほとんどが私を指名してくださるのですが、私が特にこだわっているのが患者様の診察・カウンセリングです。

私は、美しさは「自分軸」で考えることが大切だと思っているので、患者様にはとことん時間をかけてカウンセリングを行い、何をコンプレックスに感じているのか、どんな自分になりたいのかを言語化していただきます。

他院と比べて医師診察が長く、回数も多いので、オペが終わる頃にはいつもお客様とは盟友のような関係になっています。そんな方がダウンタイムを終えて、私に任せてよかったと泣きながらおっしゃっていただけた時には、心からこの仕事をしていてよかったなと思います。

Q.6 1日のタイムスケジュールを教えてください。

勤務時間のほとんどは、お客様のカウンセリングとオペですね。空き時間やオペ終わりの夜間帯に、自分しかこなせない事務作業を行うことが多いです。ただ、睡眠時間はしっかり確保できるように努めています。オペのスケジュールは数ヶ月先まで詰まっていますし、お客様にとっては何ヶ月も前から準備を始める大切な日になるので、体調不良でオペに穴を開けないよう、体調管理にも気を配っています。

Q.7 仕事終わりやお休みの日は何をしていますか?

休日もオペに入る時も多いのですが、閑散期には多めに休みを取って旅行に行くことが多いです。たまにはリゾートでゆっくりしたいという気持ちもあるのですが、家族はアクティビティを楽しみたがるので、旅行先でもバタバタしていることが多いです(笑)。

普通の休日は、子どもと一緒に過ごすことも多いですね。普段は寂しい思いをさせているので、まとまった休みは必ず子どもとの時間を作るようにしています。

Q.8 忙しく働く上で気をつけていることはありますか?

私はとにかく無茶をしてでも働いてしまうタイプなので、最近は予定を詰め込み過ぎないように気をつけています。オペ中はものすごく集中するので、水分や栄養を取らずに一日過ごしてしまうこともしばしばあります。最近は休憩時間にはタンパク質を摂れるおやつを食べたり、水分をきちんと摂ったりするようにしています。

時間があれば自分にも美容施術を試したいところなのですが、とにかく毎日忙しく、院内ではなかなか時間が取れなくて……家では専売品でスキンケアしたり、食べるものに気をつけたり、出来る範囲で健康に過ごすことが最近のモットーです。私を頼ってくださる患者様は美意識の高い方ばかりなので、説得力のある医師であれるよう、今後も健康的に美しくあり続けたいと思っています。

Q.9 チームメンバーとの関係を教えてください。

優秀なスタッフたちが支えてくれるおかげで、毎日なんとか元気に働けていると思っています。オペのスケジュールが詰まっていると、スタッフたちも空き時間で休憩を取ることになってしまうのが申し訳ないのですが、月1回程度はみんなで集まって、おいしいディナーを食べに行きます。ただ、私はスタッフたちからは「ちょっと変わっている人」と思われている気がしています(笑)。

■「自分らしい美しさ」を発見すれば、自信は失われない

Q.10 最近買った一番高いものを教えてください。

実は、忙しく働く日々でなかなかお金を使うタイミングがなく、たまに何のためにお金を稼いでいるのか分からなくなる時があります(笑)。ですが、最近は資産目的で高級な時計を買いました。自分が大切に使った後に、いつか子どもに譲ってあげたいと思っています。

Q.11 どんなところにお住まいですか?

私が忙しくても子どもたちが楽しく過ごせるように、現在は中庭付きの低層マンションで生活しています。ベランダが大きいので、休日には家族でバーベキューを楽しんでいます。若い頃はベイエリアのタワマンに憧れたこともありましたが、今は少し落ち着いた街で、都会には足を伸ばして遊びに行く暮らしを満喫しています。

Q.12 子育てと仕事を両立するコツはありますか?

時間をどのように捻出するかが、日常的な課題です。昔は子どもたちに寂しい思いをさせていることに罪悪感があったのですが、今はいい意味で完璧を求めすぎないようにしています。自分に余裕がなくなって感情的になるよりも、ある程度肩の力を抜きながら、等身大の自分で仕事とも家庭とも向き合っています。

最近は子どもたちが学校に行っている時間には自分の時間を取って、一人でマッサージに行ったりしながら息抜きをしています。子どもが3人いるので、ママの取り合いになることもあるのですが、最近は休日に子どもと一緒に過ごす時に、みんな一緒に、ではなく1人ずつと過ごす時間を大切にしています。

Q.13 趣味やマイブームはありますか?

私にとってオペは自分を成長させてくれる大切な時間なので、実際のところオペが趣味の時間になっていると思います。あとは、子どもたちを寝かしつけた後に、大好きなお酒を嗜みながらNetflixを見るのも癒やしの時間です。最近は『あいの里』という恋愛リアリティーショーにもハマりました。

Q.14 今後の展望を教えてください。

人生の前半に色々な国で過ごせたことによる学びが大きかったので、将来には子どもを連れて海外に移住することも考えています。最近は海外からいらっしゃる患者様が来日して指名してくださることも増えたので、海外にもクリニックを作り、日本と行き来しながらオペを続けることを考えています。

また、現在はSNSに症例をアップすると、心無い人から「施術された部位以外もやった方がいい」とか、「まず~をやった方がいい」等のコメントがつくことがあります。ですが、教科書的な黄金比は患者様にとっての正解とは限りません。なりたい自分は人それぞれ違いますし、他の誰かがそこを直したほうが良いと言ったとしても、自分が納得できる美しさを追求すること、自信を失わない決断をすることが大切だと思っています。

患者様のお話を聞いて、私が美容外科医として伝えられる情報を共有しながら、患者様らしい未来をデザインするお手伝いをすること。それこそが、私が医師として実現していきたい診療、そして未来です。

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