12月15日(日) 22:05
isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2024年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
illustration by ニシイズミユカ
突き放して俯瞰する
今週のおひつじ座は、 自分を含めた人間たちの在り様をどこか他人事のように見つめていくような星回り。
『生きながら一つに氷る海鼠かな』(松尾芭蕉)という句のごとし。
そもそもがグロテスクな形状をして海の底に沈んでいるだけで、本来ものの数にも入らないような存在であり、そんなナマコの生きていても何の価値もないように見える生き方は、「これぞモブ」とでも言わんばかりのぞんざいな扱いで凍らされてしまっている、その滑稽なあり様において、最もナマコらしいと言っているわけです。
あなたもまた、やはりギリギリの現実の中でそれでも生きることに執着せざるを得ない人間の姿をそこかしこに見出していくことになりそうです。
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フッとわかって、パッと開く
今週のおうし座は、 「この世ならざる光景」を通じて、自分が生きてある実感を深めていこうとするような星回り。
宗教学者の鎌田東二は『聖地感覚』の中で、自分が生きているという現実感覚がこの世界の大いなる循環とつながり、深まっていくことはないのだと指摘した上で、「裏の聖地感覚」の好例として、太宰治の岩木山と弘前の町の感じ方を挙げています。
太宰が「夢の町」の「ひつそりうづくまってゐ」ながらも、「ぞつと」するほどの圧倒的な存在感をもって迫って来るのを感じたとき、そこでようやく自分が帰ろうと帰ろうとしていたのが、決して単なる地理学上の地元などではなくて霊的故郷としての「弘前=津軽」だったことにやっと気付いたのではないでしょうか。
あなたもまた、こうした裏や奥をまなざす感覚がピンと来るような場所やその場所との縁をたぐり寄せていきたいところです。
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危うい来客
今週のふたご座は、 もし死んだらこんな光景を見るのかもしれないと感じていくような星回り。
『湯気立てて来世のやうに二人をり』(櫂美知子)という句のごとし。
その場に足を踏み入れた途端、もはやこれまでの自分は前世となり代わり、もう元には戻れないということが瞬時に悟れてしまうほど、次元の隔絶を、つまりある種の危うさを感じたのだということだけは分かるはず。
あなたもまた、これまでとは少し次元が隔絶してしまうような、ある種の“ぶっ飛び”を経験していくことになるでしょう。
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対等とエロス
今週のかに座は、 「本当は友だちなんていないのだ」と改めて自分に言い聞かせていこうとするような星回り。
かつて思想家の吉本隆明はそのインタビューをまとめた『悪人正機』のなかで、男女関係にしろ友情関係にしろ、「純粋に相手の気持ちやなんかが全てわかる」ような人間同士の関わりを<純粋ごっこ>と呼んでいましたが、かに座の人たちというのは他のどの星座にも増して、<純粋ごっご>をやりたがるようなところがあるのではないでしょうか。
私たちはみな<純粋ごっこ>とそれ以降の切なくなっていくばかりの人生を生きている“ひとりひとり”なのであって、かろうじてそうでない例外的な場合や時期もあるだけなのかも知れません。
あなたもまた、お宝の代わりに切なさをこそ握りしめていくべし。
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おのれをただす
今週のしし座は、 過去から身を引いて明日へと越してゆくための儀式を行っていくような星回り。
『柚子湯沁む無数の傷のあるごとく』(岡本眸)という句のごとし。
ここちよい熱さと湯気とともに立ちのぼってくる柚子の香りは、確かに心の傷にも沁みる。皮膚を通して、柑橘類特有の爽やかさとどこかやさしいその香りが、無数の傷を癒してくれる。そう思えばこそ、まだ自分は生きていける。
あなたもまた、そんなふうに自分の心身をよく労わってあげるといいでしょう。
illustration by ニシイズミユカ
異なるスタイルやフィールドを行き来するということ
今週のおとめ座は、 プレイスタイルを柔軟に変化させつつ、さらなるひねりを加えていこうとするような星回り。
2019年に発売された『人生ゲーム』の令和版が、億万長者になって上がる代わりに、ついにインフルエンサーとなって獲得したフォロワー数で勝負を決するという設定に変わったように、時代はますますゲームと現実の境い目がなくなっていく方向に動いています。
ただ一口にゲームといっても、勝つことを目的にプレイする「有限ゲーム」と、プレイし続けることそれ自体が目的である「無限ゲーム」の少なくとも2種類があって、ゲームクリエイターのイアン・チェンは両者の違いについて述べています。
あなたもまた、普段自分がどんなフィールドでどんなプレイをしているのか、改めて再確認してみるといいでしょう。
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ただごとに開かれる
今週のてんびん座は、 過剰な「らしさ」をならしたり、ならされたりしていくような星回り。
『冬晴れのとある駅より印度人』(飯田龍太)という句のごとし。
ドラマ以前の単なる出来事、ストーリー以前の単なる事物の組み合わせ。そういうものを何食わぬ顔で読者に突きつけることで、私たちが日頃享受してしまっている月並みな「ドラマ」や「ストーリー」の在り様を宙に浮かせようとしているのかも知れません。
あなたもまた、ありふれた人生のありふれた意味への飢えをあぶり出されていくことになりそうです。
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わだかまりを落とす
今週のさそり座は、 納得などしていなくても、時にぶった切らなければならないものがあることを認めるような星回り。
名エッセイストで知られるアニー・ディラードが、文章を書く上で大切にしている秘訣について綴った『本を書く』という本のなかに、次のような一節があります。
「あなたが放棄しなければならないのは、単にもっともよく書けた文章というだけでなく、皮肉なことに、今まで書いたものの中でももっとも核になる部分なのだ。それはもともとの主要な一節である。そこからほかの文章が派生する部分であり、そのためにあなた自身その作品を書く勇気と得たというエッセンシャルな部分である。」
あなたもまた、自分が紡ぎ出す世界を変えるためにも、誰も見ていないところでどれだけ「恐るべき行為」を実行できるかどうか問われていくでしょう。
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不可避なるものだけを残して
今週のいて座は、 ふっと身軽になるための決断を下していこうとするような星回り。
『浮寝鳥会社の車返しけり』(田中裕明)という句のごとし。
車という大きくて硬く複雑でともすると暴力性を宿すものと、浮寝鳥という小さくて柔らかくて単純でどこまでも平和でしかないものとの鮮やかな対比をへて、作者はおそらく後者へと近づいていこうとしている。
あなたもまた、自身の置かれた文脈で先のような対比をしてみるといいだろう。
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正気の狂気
今週のやぎ座は、 過去に鳴らされた警鐘を真剣にくみ取っていこうとするような星回り。
「みんなの意見」に取り込まれることなく自分なりに思考し続けることの大切さを思い出させてくれる作品に、1949年刊行のディストピアSFの古典『一九八四年』があります。
この小説の主人公は、物語を通じてずっと貫いてきた反権力的思考の末に、愛情を放棄し、思考を殺し、権力に飲み込まれ、すすんで無知になることで安寧を手に入れるという、最悪のバッドエンディングを迎えるのですが、これはまさに75年前から現代に向けて鳴らされた警鐘の書と言えるでしょう。
あなたもまた、そうしたネガティブアプローチを踏まえた上で、最悪の事態を回避するためのアクションを検討ないし実行していきたいところです。
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インスピレーションの風通し
今週のみずがめ座は、 どこか荒涼とした心象を無視することなく見つめていこうとするような星回り。
『旗のごとくたなびく冬日をふと見たり』(高浜虚子)という句のごとし。
この句に描かれている冬の太陽はかなり独特なイメージなので、それが実際に起きた光のいたずらなのか、単なる本人の錯覚なのか、はたまた老眼による視覚の衰えゆえの現象なのか、確信をもって判別することはできないのですが、掲句がつくられたのが1938年であったことを考慮すると、どことなく掲句についてまわる不穏さの見当がついてきます。
あなたもまた、もののはずみで何らかのインスピレーションを得ていくこともあるかも知れません。
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ただともにあること
今週のうお座は、 縁というものの不思議さについて改めて感じ入っていくような星回り。
粘菌類の研究で知られる自然科学者にして、民俗学の著作を無数に持つ南方熊楠(みなかたくまぐす)は、生涯にわたり在野の人であり、何より独学の人でしたが、彼には自分の思想上の問題を全力で遠慮なく投げかけ合える相手が一人だけいました。それが、熊楠が27歳の時にロンドンで出会った真言僧の土宜法龍(ときほうりゅう)でした。
彼らは科学と宗教という立場や分野の違いも超え(ついでに歳も土宜が13歳年上)、じつに死が二人を分つまでの30年間にわたって膨大な量の書簡を定期的に送り合い、そのどれもが大論文のごとき長さと密度であったそうです。
あなたもまた、いまこのタイミングで彼らの姿を追うことは何よりの励みになるのではないでしょうか。
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