島田珠代さんの人生で最もつらかった2ヶ月間「だからぁ……‼ ママのそういうところが嫌いやねん!」

島田珠代さんの人生で最もつらかった2ヶ月間「だからぁ……‼ ママのそういうところが嫌いやねん!」

島田珠代さんの人生で最もつらかった2ヶ月間「だからぁ……‼ ママのそういうところが嫌いやねん!」

12月8日(日) 10:01

中学生になった娘さんと母子2人の生活がスタート。しばらくの間は「上辺だけの家族関係だった」と明かす珠代さん。そのワケとは……?
唯一無二の持ちギャグで、新喜劇を長きに渡り支えている看板女優の島田珠代さん。舞台とは違う裏側の珠代さんの姿を赤裸々に綴った自身初のエッセイ『悲しみは笑い飛ばせ! 島田珠代の幸福論』(KADOKAWA)より一部抜粋してご紹介します。

第2回の今回は、9年ぶりに一緒に暮らし始めた珠代さんと娘さんのエピソード「ぶつかりあう私と娘」をお届け。

ガン宣告から11年余り。最愛の娘が小学6年生になった年の12月、元夫はこの世を旅立ちました。離婚によって離れて暮らしていた珠代さんと長女は、9年ぶりの同居生活を始めることになります。
ぶつかり合う私と娘

(赤ちゃんだった頃の娘と珠代さん。/提供写真)
娘が中学生になるタイミングで、私たちは一緒に住み始めました。それまでの私たちは、たまに会ってご飯を食べ、遊びに出かけるくらいの関わり方だったので、お互いに取り繕ったいい面しか見せていませんでした。

私は、これまでの時間を取り戻すように「ちゃんとした親にならないと」と意気込んでいたし、娘は「ママの機嫌を損ねたらあかん」と考えていました。だから、一緒に住み始めてしばらくの間は、正直な話、上辺だけの家族関係だったと思います。お互いが、家にいることをちゃんと受け入れられなくて、なんだかそわそわする。そんな時間が続いていました。
私の母は、結構しっかりしていて厳しい人です。だから、親の言うことは100%正しいと躾けられてきました。私も、親がこうしなさいと言ったら、そのとおりにするのが子どもの役目だと強く思っていたのです。だから、当然私の子どもも私の言うことを聞くはずだと思っていたし、実際にしばらくは娘も気を使って私の意見をなんでも聞いてくれていました。

娘から何か相談されたときに「こうしたらいいよ」と言うと、娘はいつも「ママが言うことが正解やわ! そうするわ!」と、ニコニコしながら聞いてくれる。しかし、それは彼女がこれまでの人生で手に入れた処世術のようなもの。嫌われたら生活できなくなるという危機感があったんだと思います。

でも、中学2年生のあるとき。あれこれと指図する私に対して娘の不満が爆発します。

(子ども時代の珠代さんとお母さん。/提供写真)
「私が小学校に行っている間、生理もきたし友だちともいろいろあった。本当は遊びたかったし勉強もしたかったけど、私は毎日洗濯物の山に埋もれるしかなかったの」

「ママは私が大変だったときに何もしてくれなかった。それなのに、ママは一緒に住んだら私に指図ばっかりする。一緒に住み始めてからママが悪いことだってたくさんあったのに、謝ってすらくれない」

その言葉を聞いたとき、私は娘の両肩をつかんで前後に揺らしながら、大声をあげていました。子どもが親に口答えをすることが許せなかったのです。

「あんた、親に対してなんてこと言ってんの? 誰のために働いてると思ってんの!」

「だからぁ……‼ ママのそういうところが嫌いやねん!」
そう言い捨てて、娘は部屋に閉じこもるようになってしまいました。すぐに部屋から出てきて、また元の関係に戻れるだろうと思っていたのですが、娘は2ヵ月経っても私と顔を合わせないように生活していました。

母から様子を聞くかぎり、学校には行っているようで、ご飯をちゃんと食べているということでしたが、娘に距離を取られるのがこんなにつらいとは思いませんでした。母とはコミュニケーションを取っているのを知ってから、私は自分の無力感に苛まれました。母に頼ってなんとかなっているなら、私なんていらないやん、と。

娘に口をきいてもらえない2ヵ月間は、人生で最もつらかった時期かもしれません。それまで、どんなにプライベートがごたごたしていても、舞台に立てば忘れられた。そのときだけは、役に集中できた。でも、娘との大ゲンカ中はふと頭に浮かんできてしまうのです。舞台に立ちながら仕事とは関係なく「つらい」と思ったのは初めてのことでした。

(舞台での珠代さん。/提供写真)
その日、落ち込んでいる私の元に、あき恵姉さんがやってきて、「たまちゃん、どうした?」と声をかけてくれました。ケンカをしたきっかけや、自分が娘にぶつけた言葉、そして娘から言われたことをかいつまんで話すと、あき恵姉さんは私を諭すような声で静かに話し始めます。

「そうやって部屋に隠れてしまうのも、謝れって言うのも、ぜんぶ母親に甘えてるのよ。もっと小さい子どもがママにすりすりしてるのと変わらん。成長して表現の仕方が変わっただけなんやから」

それなら、私はなんぼでも謝る。

あき恵姉さんに感謝を告げて、私は急いで家に帰りました。
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この続きは、書籍でお楽しみください。
島田珠代さん/芸人・役者
大阪府出身。17歳で芸人デビュー。長きにわたり新喜劇を支える看板役者。「パンティーテックス」「男なんてシャボン玉」など唯一無二のギャグと独創的な動きで、老若男女問わず見た人を笑いの渦へと巻きこんでいる。

※本記事は、『悲しみは笑い飛ばせ! 島田珠代の幸福論』著:島田 珠代/KADOKAWAより抜粋・再編集して作成しました。

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