島田珠代さんの懺悔と深い愛「彼がもし医師免許を剥奪されても、私はこの人を手放さない」。世界一大切な娘と最後のパートナーの話

島田珠代さんの懺悔と深い愛「彼がもし医師免許を剥奪されても、私はこの人を手放さない」。世界一大切な娘と最後のパートナーの話

島田珠代さんの懺悔と深い愛「彼がもし医師免許を剥奪されても、私はこの人を手放さない」。世界一大切な娘と最後のパートナーの話

12月2日(月) 12:01

吉本新喜劇の看板女優として大活躍の島田珠代さん。
昨年『徹子の部屋』で、病気で他界した元夫や離れて暮らしていた長女のことなど、私生活を語ったことは大きな話題になりました。

そんな島田さんが初の著書『悲しみは笑い飛ばせ! 島田珠代の幸福論』をリリース。芸人・役者としてではない「素顔の島田珠代」の話を聞きました。

(提供写真)
■「私は娘のことなんてひとつもわかってあげられてなかった」
ーーとても濃密な1冊でした。今回このような本を今世に出そうと思われた理由を教えてください。

島田珠代さん(以下、珠代)私は吉本新喜劇では“三枚目”で、パワフルにふざけたことをしているんですけど、舞台を降りたらこんな感じでしたよ、というか(笑)。もう半世紀生きてきて、プライベートの島田珠代を、ちょっと知ってもらいたくなったのかな。

ーー去年、『徹子の部屋』に出演されて、元夫の病気と離婚や、長く別々に暮らしていた娘さんとのことをお話されて。反響はどうでしたか?

珠代すごくあったんです。娘とのことについて、取材を受ける機会も増えました。同じような経験をされている方もいるかもしれませんし、親子関係で悩んでいる人に「私もこんな感じだったよ」「人生、色々あるけど、お互い頑張りましょう」っていう思いを伝えたいな、と思うようになりました。ただ、かなり自分をさらけ出しているので、活字になるとなんだか結構恥ずかしいんですけど(笑)。

ーーたとえば元夫の病気が発覚した当時のご自身を、彼が病魔の恐怖と戦っているときに「女として見てほしい」等と不満をぶつけたり、母と夫のいる家から逃げて飲みに行ってしまったり……と振り返っていて、かなり赤裸々に「懺悔」ともいえるような思いを綴っていますよね。

珠代もう本当に、ねえ……。でもやっぱり、彼が亡くなって娘と一緒に暮らすことになって……それからの衝突が、かなりしんどかったですね。娘が4歳のときに離れてから小6で元夫が亡くなるまで、 2週間に1回ぐらい会いに行っていましたが、やっぱり子どもって1日24時間を一緒に生活してなんぼなんだな、と痛感しました。公園で遊んだり、ディズニーランド行ったりしても、いいとこどりをしているだけで、全然子どもと向き合っているうちに入らなかったんだなって、生活してみて思ったんです。

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珠代一緒にごはん食べて、 学校の時間割を見て支度を手伝ったり、宿題やったのとか歯を磨きなさいとか、早く起きなさいとか……そういう日常をひっくるめて子どもとの絆を深めるんだなって。大事な小学生の6年間、多感な時期に、一緒にいてあげられなかったことが、悔やまれてなりません。

ーー娘さんと同居しはじめたとき、珠代さんは「ちゃんとした親にならないと」っていう気持ちがすごくあったと思うのですが、珠代さんにとって「ちゃんとした親」ってどういうイメージだったんですか。

珠代私は、親のいうことが絶対正解だと思っていたんです。そう育ってきたから、自分も当然そうするものだと、子どもは親の判断に従わないといけないものだっていうね。でもそうじゃなかった。二人の生活がはじまってから、心のズレというか「私は娘のことなんてひとつもわかってあげられてなかった」と気づかされました。
■「タマちゃん、見返りを求めちゃダメよ」
珠代娘が中学1年生になって大阪で一緒に暮らしはじめましたが、娘はすごく私に気を遣っていました。なんでも「うん、はい、はいはい」と言うことをきいていました。でも中2になって「ママは何にもわかってない!」と爆発。学校には行くけれど私に顔を見せない、喋らない。 娘はおばあちゃん(珠代さんの母)に電話して家事を頼み、私が作ったごはんは手をつけませんでした。おばあちゃんとしか喋らない、おばあちゃんの作るご飯しか食べない。

ーーボイコットですね。

珠代私、そのころ「芸人・島田珠代だぞ」って驕り高ぶりがどこかあったと思うんですけど、娘にボイコットされて「ただの人間だったんだ」って……もう、ぺしゃんこ。2ヶ月くらいボイコットは続きました。

ーー関係を修復できたきっかけは?

珠代新喜劇の浅香あき恵姉さんに相談したことが大きかったですね。「タマちゃん、見返りを求めちゃダメよ」って言われたんです。「子どもが突っかかってくるのは、親だから来るんだよ。お母さんに甘えてるのよ、可愛いじゃない」って。そういう捉え方をしたら、急に吹っ切れました。 でもそんなのって、他のお母さんたちはもう存じ上げてますよっていうことだと思うんですね。私はお母さん1年生みたいなものだったから、そこから成長していかなきゃいけないなと思いました。

ーーまだスタートラインだったんですもんね。

珠代今でもぶつかることはありますけどね。うん……本当に子どもっていいですね。 大変だけど、ぶつかって仲直りして、ひとつ乗り越えたときの喜び。こんないいものないですよ。この大変さが、こんなに幸せを運んでくるのかっていう、すごい深い幸せがあるんですね。気が早いかもしれないですけど、 いっぱいいっぱい長生きしたいですけど、自分がこの世を去るときに、この経験がうわあって走馬灯のように思い出されるんですよね、きっと。

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ーーお嬢さんは現在高校1年生に。今はおばあちゃんは一緒に暮らしてないんですか。

珠代はい、実家にいます。お母さんも最初、孫に助っ人として呼ばれたときは張り切って「私が育てるから、あなたは仕事のことだけ考えて頑張りなさい」っていう感じだったんです。でも、「このままだと、やっぱり私と娘の絆がねできないから、どうか二人にしてもらえないかな」とお願いしたら、「はっ、そうやね。ごめんごめん」と言ってくれました。

ーー優しいですね、お母さん。

珠代そうなんです。 で、今は、娘との接し方もだんだんコツをつかめてきました。反抗はされるんですよ、でも私がガーッと怒ったりしないで受け流せばまたケロッとして甘えてくるし、そういうものかと。

ーーどこのご家庭でも親子の衝突は多かれ少なかれあると思います。

珠代そうですよね。難しいけど、親がやりあうんじゃなく、少し引いてみることが大切なんだなと学びました。こっちがキャンキャン応戦すると余計ね、燃え上がるので。やっぱり人間って優しく物を言われると優しく返したくなるので、子どもに対して放つ言葉の投げかけ方、言葉尻を見直したほうがいいなとも思います。

ちょっとしんどいでしょうけど……今ってスマホで簡単に録音できるので、自分が子どもに対してどういう喋り方をしているか、録音して聞いてみるといいですよ。旦那さんとの関係もそう。声のトーンもひとつあげてね、優しくするとちゃんと同じように愛してくれるんだなと、実感しています。
■「人としてあなたはおかしい」と指摘してくれた彼のこと

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ーー珠代さんには今、7年前から交際しているパートナー・ひろしさんがいます。娘さんと離れて暮らしていた時期に、交際がはじまったんですか。

珠代そうです、小学生の頃にお付き合いがはじまりました。私はひろしがいてくれて、正しい道にいられたというか……娘がいなくて、私、ダメな方向に転びそうになっていたんですね。仕事だけはちゃんとやろうと踏ん張っていたけど、2日に1回ぐらい、泣いちゃってたし。10年間、身の切れる思いでした、毎日。そんなときに出会いましたね。

ーーそうだったんですね。どんな男性ですか?

珠代ひろしは3歳年上で、33歳まで作家を目指していて断念、大学受験をして35歳から医学部に入り41歳で医師になったという変わり者です。クールで面白くてカッコよくて、私の悪いところを真正面から指摘してくれる人です。

ーーたとえばどんな悪いところを?

珠代まあ、わがままなところですよね(苦笑)。これまで二度結婚・離婚しましたが、元夫たちは「しょうがないな」と折れてくれていたことでも、ひろしは絶対に折れない。「珠代さん、そこは直さないと。人としてあなたはおかしいです」っていうんです。私も自分のダメなところなんてもうこの歳だからわかってるんですけど、痛いところをグッと突かれました。

恥ずかしながら、最初は「お医者様だ♡」なんて惹かれた部分もあるんですけど、今は彼がもし医師免許を剥奪されても、私はこの人を手放さないだろうなって思います。

ーーすごく素敵な方なんですね。娘さんとひろしさんの相性はいかがですか。

珠代それがすごくいいんですよ。娘は私の言うことは聞かないけど、ひろしの言うことは素直に聞きます(笑)。お母さんと違う別の視点をくれる大人なんですよね。見た目も、背が高くてジャン・レノみたいでカッコイイんですけどね、このあいだ娘が映画『LEON』をひとりで観てました。「私も結婚するならひろしみたいな人にしよう」、なんて言っちゃって。

ーー最高の褒め言葉!
■最初で最後の、大きな愛

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ーー本の中で、友達作りに悩んでいた娘さんに、ひろしさんが「1人の方がいいこともあるよ」「友達を作るのもしんどいのに、作れって言われても困っちゃうよな」と声をかけるくだりが印象的でした。

珠代私はどうしても「でも、友達はいたほうがいいじゃない?」と思ってしまうんですが、ひろしは娘に対して「友達作りが難しいんだったら、作る必要ない。僕も珠代さんと出会うまで1人だった」と言っていました。

ーーじゃあ珠代さんは、ひろしさんにとって最初で最後の人なんですか。

珠代本人はそう言ってます。よく「みちのくひとり旅」を歌ってるんですよ、「お前が俺には最初で最後の女~♪」みたいな。で、それを歌った後にニヤってするのが、なんかね、可愛い♡

ーー付き合って7年で、今も変わらぬラブラブっぷり!

珠代でもひろしは潔癖症なので、チューもしないんですよ。

ーーえっ?

珠代記念日だけ、口と口をね、チュッて少しだけつけてくれます。お互いいい年齢だし、こんな感じでいいかなと思って。でもひろしは、私にとって本当に大切な人で……将来もし介護が必要になったら喜んで何でもやってあげたい。この話をすると「どうして僕が先に寝たきりになっている予定なんだ」って言われるんですけど(笑)。

ーーすごい愛ですね。珠代さんはかなりのヤキモチ妬きを自認していますが、逆に、ひろしさんがヤキモチを妬くことはないですか?たとえばこの本でも、「ハマ・オカモトさんの顔が好き」とか、ロングコートダディの堂前さんを「推し」だと言って対談したりしていますが……。

珠代ひろしは「どうぞ珠代さん、タイプの男性がいらっしゃったら、その方と飲みに行けばいい。僕は珠代さんが帰ってくる自信があるので、止めない。どうかお行きなさい」って。余裕がすごいです、余裕が。でもね、私のことよくわかってると思います。私には、ひろし以上の男の人はいないと思っています。

ーーもし今後、結婚されるとしたら、ぜひお二人で『新婚さんいらっしゃい!』に登場してほしいです。

珠代出たい!ひろしの魅力を知らしめたい!生ひろしをお見せしたいですもん。ぜひぜひって感じですね。楽しみです。

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島田珠代さん/芸人・役者
大阪府出身。17歳で芸人デビュー。長きにわたり新喜劇を支える看板役者。「パンティーテックス」「男なんてシャボン玉」など唯一無二のギャグと独創的な動きで、老若男女問わず見た人を笑いの渦へと巻きこんでいる。

『悲しみは笑い飛ばせ! 島田珠代の幸福論』著:島田 珠代/KADOKAWA
(取材・文=マイナビ子育て編集部写真=提供)

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