Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」(2025年1月9日より独占配信)の完成報告会が12月2日、青山グランドホテルにて開催され、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず、八木康夫プロデューサーが出席した。
【写真を見る】おしゃべりが止まらない!四姉妹を演じた宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず
本作は、1979年〜80年に放送された向田邦子原作の同名ドラマを是枝裕和監督がリメイク。原作と同じ1979年を舞台に、宮沢、尾野、蒼井、広瀬演じる竹沢家の四姉妹が阿修羅のように争い、時に笑い、本当の幸せに向き合っていく姿を描き出すホームドラマだ。
この日、残念ながら出席が叶わなかった是枝監督はビデオメッセージで四姉妹との撮影を振り返る。とにかく明るく笑いの絶えない撮影現場だったようだが、「宮沢さんと尾野さんだけだと収拾がつかない。それをうまく蒼井さんがまとめていただいていた感じです。すずが一番しっかりしていたと思います」と撮影時の印象を明かした是枝監督は、四姉妹の姿を端から見ているだけでも幸せだったと笑顔。本作の仕上がりについては「向田ファンとして一度はチャレンジしたかった脚本。それが日本のトップ女優によって実現しました。作品としてとてもすばらしいものになりました」と自信たっぷりに語っていた。
是枝監督の予期せぬ暴露に、「今日は多少猫をかぶっています」と照れながら話した長女役の宮沢は「本番以外はずっとしゃべっていました(笑)。私たちがしゃべり終わるまで待ってくれていて」と現場のスタッフに感謝。楽しそうな空気は作品を通して伝わっていると思うとし、「実の妹ができたような気持ちでいます」と妹たちを愛おしそうに見つめていた。
三女役の蒼井が「セットのなかでも収拾つかない時があって。18分間ずっとふざけているっていう(笑)」と宮沢と次女役尾野の様子を明かすと、すかさず尾野から「あんた、根に持つわねぇ」と冗談混じりで鋭いツッコミが入る場面も。その後、ニヤリとした尾野は「まあ、仲が良かったってことで(笑)」とまとめて、おしゃべり“しすぎ”だった現場の様子を綺麗にまとめて笑わせていた。
オファーを受けた時は「向田さんの本だ!」と興奮したという宮沢は、「しかも『阿修羅のごとく』で。緊張感もあったし、キャストの名前を見て『こんなことが実現するんですか?』と八木プロデューサーに訊いたくらい(びっくりした)」と振り返り、四姉妹以外のキャスティングもすばらしいと感動したとも話し、「夢のようなキャスティングです!」と満面の笑みを浮かべた。
尾野は「みんなが知っているものに、私が出るの?って恐怖でしかなかった」とオファーを振り返り、「すぐに『やります!』と言っていいのか、というのも迷ったくらい戸惑いました」と正直な気持ちを明かす。「NHKで放送されていた『阿修羅のごとく』が大好きで…」とゆっくりと語り始めた蒼井は「何度も何度も観ていた作品。まさかという感じだったし、キャストを聞いて『そのなかに、私でいいんですか?』という気持ちがあって。怖いけれど、どうしてもやりたくて『ぜひ!』とお返事しました」と、作品愛に触れていた。
四女役の広瀬は「『阿修羅のごとく』のことは知らなくて。お姉ちゃんたちのキャストを聞いて、『こんなチャンスはない!』と思って、すぐに『やりたい!』って思いました」と姉たちのキャスティングが出演の大きな決め手になったと告白。「自分はふさわしくないかもしれないけれど、こんな経験は絶対ないと思ったし、以前、是枝さんの作品で四姉妹の末っ子をやったことがあって。2回も四姉妹をやると思わず。なんだか『わっ!』と思うものがあり、飛び込んじゃいました!」とオファーに運命めいたものを感じていたことも語っていた。
イベントでは“本当の幸せ”についてトークを展開する場面も。宮沢は自身が演じる長女の姿から「本能で生きていくことが幸せなのかな」と回答。「分かりませんよ〜」と茶目っ気たっぷりに語った尾野は「『阿修羅』のなかでは、いろいろなことを抱えながら、思いながら、結局は幸せを感じる人たちのところへ帰っていく。他人ではなく、血が繋がっているところに幸せを求めているのかなと思いました」とコメント。蒼井は最近自分に起きた出来事として「10年ぶりくらいに知り合いに会ってうれしくなって声をかけました」とし、「久しぶりに会って、ふわっとうれしくなる人が自分には結構いるなって思って。コツコツ人生を生きているなかで、視野が広がる瞬間を誰かが与えてくれて、それをうれしいと思える状態、そういう人生の歩み方をしていることが私にとっての幸せかなと思いました」としみじみした後、作中でなにかと標的にされていた広瀬演じる四女に思いを馳せ、「咲子が不幸になったら幸せです!」とニヤニヤし笑わせた。
広瀬は「帰る場所があって、そこに(好きな)人がいるというのは幸せなことだなって思います。今回の現場がそうだったけれど、なにもかもさらけ出せて、ずっとしゃべっていて…」と幸せを噛み締めていると、撮影中の出来事を思い出した模様。「撮影でしゃべりすぎて、笑いすぎて、私、すごく痩せたんです。みんなといっぱい食べていたのに痩せちゃって。でも、すごくいい痩せ方をしました。笑うってこんなに毎日毎日楽しいんだって思って。夕方になると眠くなるくらい、楽しいってサイコーだなって思いました」と充実感を滲ませ、現場で体験した“幸せエピソード”を披露していた。
登場前の舞台袖からは、おしゃべり声が漏れ聞こえ、トーク中もフォトセッション時も、その後の“枡タワー”に竹筒でお水を注ぐという演出時もおしゃべりが止まらない四人。終始、笑顔と笑い声にあふれたイベントとなっていた。
取材・文/タナカシノブ
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