中居正広、東野幸治、ヒロミがMCを務めるバラエティ番組『THE MC3』(TBS系)。たった1年で終了した『ジョンソン』に変わる番組で、2024年10月21日からスタートした。
視聴率は前番組『ジョンソン』より良く、初回から3週連続で4歳~59歳の個人視聴率で3%超を記録し、1%台だった『ジョンソン』を超えたと報じられた。
視聴率だけ見れば前番組より好調だが、番組は本当におもしろいのか? ここまでの放送回を全て見た元テレビ局スタッフが、『THE MC3』の問題点に迫っていきたい。
『THE MC3』は大物MC3人がベタなトークを展開し特色がない
『THE MC3』は、テーマに“日本一余計なお世話バラエティ”を掲げ、ゲストを招きお題に沿ったトークを展開。街頭インタビューを取り入れ、さまざまな世代の意見を紹介している。
『THE MC3』を見たことがない人に説明するなら、大物MCが出演しわかりやすい企画を放送するベタなトーク番組となる。
これまでの企画だが、初回はMCの3人が取り上げられ「一番安心できるMCは誰?」というテーマで討論。
10月28日放送分では、中居の後輩だった三宅健が登場し、テレビでの2人のガッツリ共演がはじめで、ネットニュースでも多く取り上げられ話題を集めた。
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その後は、ゲストの池松壮亮らが自ら考えたテーマでランクインする企画と、石井亮次、中山秀征を迎えた「愛されMC No.1決定戦」を2時間SPで放送。11月18日には、浅野ゆう子、U字工事、狩野英孝を迎えた地元愛に溢れた芸能人特集、11月25日はMatt、アインシュタイン・河井ゆずるらを集めた美容男子特集を放送した。
ここまで見た感想では、どの企画もどこかで見たことある内容ばかり。民放各局でかつて無いほどトーク番組が増えている中で、特色がない『THE MC3』は生き残れるのか疑問が湧いてくる。
中居の扱いの古臭さ、東野の扱いが問題
『THE MC3』の問題点をあぶり出してみたい。
この番組は、かまいたち・ニューヨークら若手芸人が奮闘した『ジョンソン』からMCが高齢化して「老害」だとイジられていた。本人たちも老害を会見でネタにしたがその心配は的中する。
美容を取り扱った放送では、MCの3人は徹底して興味がないというありきたりな演出で番組が進行。特に、中居の立ち位置は他の回でも最近のテレビ番組にはない古臭さを感じる。
初回では国民的スターの中居なのに「若者が知らない過去の人」という番組演出であったし、三宅がゲストの回では「結婚に向いていない」と女性から総攻撃を受ける。
他の番組で行われてきた中居イジりが詰まった番組構成で、何年も変わらないキャラを見せるのは「老害」的だ。中居の立ち位置が変わらない限り、若い視聴者はドンドン離れる可能性がある。
もちろん、中居だけが悪いわけではなく、東野、ヒロミという手練れを番組が活かせていないのも問題だ。
東野は、『マルコポロリ!』(関西テレビ)をはじめ、関西圏の番組では毒舌のキレも良く、他のMCにない無軌道な発言で場の空気を変えられる。その東野が、単なる進行役になり持ち味を活かせていない。
中居と東野の番組での扱われ方が変わらない限り、おもしろい番組に変わることはできないだろう。加えて、目新しい企画がないのも問題として挙げられる。
思い切って「老害番組」にして『ザワつく!金曜日』を目指すべき
2024年11月末時点で『THE MC3』番組公式SNSのフォロワーは、X(旧Twitter)が6495人、インスタグラムは1152人、TVerのお気に入り登録は5.9万人とかなり少ない数字。話題になる企画がない結果、若い世代から注目されていない印象でお笑い好きの視聴者も取り込めていないだろう。
では、『THE MC3』は『ジョンソン』のように短命で終わるのか? 筆者は、まだ可能性があると考える。
そもそも、同じようなベテランの石原良純・長嶋一茂・高嶋ちさ子がMCを務める『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)は好調で、テレビ朝日で6年連続大みそかの特番を任される人気番組だ。
『THE MC3』は番組の構成上、『ザワつく!金曜日』を目指すべき。そのためには、MCの「老害」を全開にするのが近道だ。
すでに、番組はベタな展開で老害的番組といえる。ならば、時代遅れな発言が多く見られる番組として認知されれば視聴者を喜ばせられる。思い切って「老害番組」にしてしまえば、3人が他局で出演している番組との差別化もできて一石二鳥だ。
また、中居は三宅がゲスト出演するだけで「共演」と話題になるわけで、旧ジャニーズ事務所のタレントをゲストに定期的に呼ぶのは一つの手。元SMAPのメンバーを呼ぶのも効果的で、もし「新しい地図」が出演すれば起爆剤になる。
東野はダウンタウンファミリー、ヒロミは所ジョージやとんねるず・木梨憲武といった大物を呼べるパイプを持つ。3人の華麗な人脈を使ってこそ、大物がMCをやっている価値があるところ。変に若いゲストに頼らず、ベテランの力を見せつければ『ザワつく!金曜日』に少しは追いつくのではないか?
総合演出は『水ダウ』などに関わったテレビマン
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さて、ここまで『THE MC3』を批判的に論じたが、筆者は番組がパッとしないのがもどかしいのだ。
同番組の総合演出を務める柳沢光一郎氏(TBSテレビ)は、同局で『水曜日のダウンタウン』、『笑う村には福きたる~村人100人笑うかな?~』などエッジの効いた番組に関わってきた優秀なテレビマン。だからこそ、もっとおもしろい番組を見せてほしいと期待してしまう。
ぜひとも、放送毎にわれわれがワクワクするような番組に生まれ変わってほしいと願っている。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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