子、丑、寅、卯、辰、巳......。我々が生きる〝時〟を数える方法はいくつかあって、「干支(えと)」もその一つだ。
現代の日本では年を数える時に使うことがほとんどだろう。年末年始になると、新しい年の十二支を見る機会が増える。
そんな十二支をモチーフにしたアイテムが、X上で注目を浴びた。
こちらは、手ぬぐい専門店の「かまわぬ」(本社:東京都渋谷区)のX公式アカウント(@KAMAWANU_PR)が2024年11月21日に投稿した手ぬぐい商品「めぐり十二支」の画像だ。
大きな富士山と太陽の絵を背景に、十二支の動物たちのシルエットが輪になって並んでいる。一番大きく描かれているのは、来年の十二支である「巳」。
なんともめでたげで可愛らしいデザインだが......あれ、ちょっと待てよ?
書かれている動物が、11匹しかいない。よくよく見たら、「寅」と「辰」の間にいるはずの「卯」だけ、どこにもいなくない!?
もしかして、ミスっちゃったのだろうか......?
消えたウサギはどこへ?
「卯」......つまり、ウサギだけがいない十二支デザインの手ぬぐいについて、同アカウントはこう説明している。
「十二支が駆け巡る『めぐり十二支』手ぬぐいのデザインから、うさぎが抜け出していることが販売直前に発覚しまして、
社内協議の結果、
うさちゃんワッペン付きで販売することになりました」
ミスだった!そしてなんと、ウサギのシルエットだけ、別添えのワッペンになっていた。
それはそれでお洒落で面白い企画だが......一体どういう経緯でそうなったのだろうか?もしかして、最初から狙っていたのでは......?
そんな疑いも持ちつつ、Jタウンネット記者は22日、同社広報担当者に詳しい話を聞いた。
発売直前にマジで「脱兎」
取材に応じた同広報担当者によると、そもそも「めぐり十二支」手ぬぐいは、十二支全てが描かれたデザインのものを、10月21日に販売する想定だった。
しかし、発売直前の10月上旬になって、「問題」が発覚した。
そう──「卯」だけが、どこにもいなかったのだ!
「おそらく、社内の最終デザインのチェックで抜けがあったんだと思います」(広報担当者)
とはいえ、既に10月21日が発売日であることは決まっている。
そこで、発売日に間に合わせるように急きょ社内デザイナーによってデザインを修正。その後、通常は約2か月かかる工場での作業を超特急で進め、約2週間で十二支が揃った〝完全版〟が完成。「通常版」としてなんとか予定通り21日の発売にこぎつけた。
一方、すでに作ってしまっていた「卯なし」のバージョンの手ぬぐいについては、「このまま廃棄するわけにもいかない」と、活用法を考える必要があったという。
「そんな時、社内から『兎のワッペンを付けてセットにしたらどうか』という意見が上がったんです」(広報担当者)
そんなわけで、10月21日に販売した「通常版」に対して「脱兎版」と名付けたバージョンを、11月21日から発売することになったそうだ。
起死回生のアイデアに絶賛の声
失敗から生まれたアイデアを盛り込んだ逆転の発想に、X上では8600件以上のいいね(22日夜時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「わりこみ兎も可!これはこれで欲しい」
「やり直し→破棄にするのではなくて工夫で乗り切る。素晴らしいですね。しかもワッペンがアクセントになってより可愛くなるというリアル怪我の功名」
「なんてよきアイディア!!!!ピンチをチャンスに変えられるやつですね!!!」
「むしろ特別な縁起物」
「他の干支でも、抜け出し+ワッペン欲しい」
こうした反響に対し、広報担当者は
「本来なら廃棄になってしまう所、快く受け止めていただいて、購入してもらえているのはただただ感謝しかない。SNSで大喜利みたいな感じで盛り上がっていただいているのも嬉しいです」
とコメントした。
「めぐり十二支」の「脱兎版」は、かまわぬ公式オンラインストアや同社直営店で販売中。価格は1430円(税込)。
なお、「通常版」の方は、オンラインストアでの販売は既に終了している。
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