11月23日(土) 4:40
年収800万円の夫と専業主婦の妻の世帯で受け取れる年金額を試算してみましょう。具体的な条件を以下のようにして、試算をします。
●夫:45歳・年収800万円、60歳で定年予定
●妻:40歳・年収なし、厚生年金への加入歴なし
基礎年金は毎年改定されているため、令和6年度の金額で試算します。令和6年度の基礎年金受給額は、以下のとおりです。
・基礎年金受給額:81万6000円
2人とも20歳から60歳まで保険料を納め続けていれば、満額での受給が可能です(厚生年金加入者に扶養される第3号被保険者の期間も含む)。
厚生年金は、給与や厚生年金保険への加入期間によって、金額が変わります。年収800万円で20歳から60歳まで加入したと想定して、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」をもとに簡易的に試算してみましょう。
・受給額:249万円
よって、世帯での年金収入は以下のようになります。
●夫の年金(厚生年金+基礎年金):249万円
●妻の年金(基礎年金):81万6000円
●合計:330万6000円
年間330万円、月あたり27万5500円の年金を世帯で得られます。
もし妻が社会保険に加入した場合、妻も厚生年金を受け取れるようになります。妻がこれから20年間、年収130万円で働くことにした場合を例にして、厚生年金額を試算してみましょう。
・妻が20年間年収130万円で働いた場合の年金受給額(厚生年金・基礎年金):97万円
前述のとおり、40年間夫の扶養に入り続けた場合の妻の年金受給額は81万6000円でしたから、年間で約16万円、月あたり1万3000円ほどの年金を増やせます。
老後資産にあまり余裕がない世帯であれば、妻が働くことで更なる年金アップを見込むのもよいでしょう。反対に「資産が十分ある」「月あたり1万円増えてもあまり生活レベルは変わらない」という場合であれば、無理に働きに出る必要はなさそうです。
専業主婦の妻が働くメリットには、世帯年収の増加が挙げられるでしょう。夫・妻それぞれが給与を受け取れるため、現役中の世帯年収はアップします。
また、妻が厚生年金に加入できれば、将来受け取れる年金額も増やせます。収入源の限られる老後において、年金を少しでも増やせるのは大きなメリットといえるでしょう。
一方、妻が働きに出るデメリットとして、これまで妻が担当していた家事や育児の時間の確保が難しくなる可能性があることが挙げられます。家事の分担などが事前に明確になっていないと、夫婦仲の悪化や家庭トラブルにつながる可能性もあるでしょう。
将来の年金額に不安を感じる片働き世帯は、妻も働きに出れば年金額を増やせます。年金額が増やせれば、老後生活にも余裕が持てるでしょう。
一方、共働きとなると、これまでできていた家庭内の仕事をする時間が確保しづらくなる場合もあります。家事の分担などを決めておき、夫・妻互いに家庭と仕事を両立できるよう、コミュニケーションを取りながら協力して取り組みましょう。
総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数
(令和6年1月1日現在)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP
【関連記事】
パート収入を103万円-130万円-150万円と増やす「デメリット」を意外に知らない人は多い。