11月22日(金) 4:40
住宅を維持するために毎年かかる税金には「固定資産税」と「都市計画税」があります。
東京都主税局によると、固定資産税とは「固定資産を所有している方にかかる市町村税」で、所有する土地や家屋に応じて毎年「課税標準額×税率1.4%」を市町村に納める必要があるようです。一方、都市計画税は「都市整備などの費用に充てるための目的税」で、市町村に対し毎年「課税標準額×税率0.3%」を納める必要があります。
固定資産税および都市計画税には「住宅用地の特例措置」が設けられており、所有している固定資産が専用住宅やアパートなどの住宅用地に該当する場合は、表1の通り軽減措置を受けることが可能です。
表1
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
・小規模住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき 200平方メートルまでの部分 |
課税標準額×6分の1 | 課税標準額×3分の1 |
・一般住宅用地
200平方メートルを超える部分 |
課税標準額×3分の1 | 課税標準額×3分の2 |
出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」を基に筆者作成
前述の通り、住宅用地には特例措置が設けられているため、固定資産税が6分の1になる軽減措置を受けられます。逆に、家を壊してさら地にすると住宅用地の特例措置が受けられなくなるため、注意が必要です。
「家を壊してさら地にすると固定資産税が6倍になる」という話の背景には、住宅用地の特例措置が関係しています。しかし、建物を解体すると急に固定資産税が6倍になるというわけではありません。詳しくは次章で解説しますが、土地の固定資産税には負担調整措置が適用されるからです。
また、解体によって家屋の固定資産税がかからなくなるため、トータルで見ると税負担があまり変わらなかったり、軽くなったりする場合もあります。しかし、都心にある古い実家のようなケースでは、建物の価値は低くても土地の評価額が高いため、家屋を解体すると固定資産税は高くなるのが一般的です。
なお、固定資産税が課税される「賦課期日」は毎年1月1日と定められています。家屋を解体するタイミングによっても税負担が変わるため、解体工事の日程には注意しましょう。
前述の通り、家屋の解体によって急に固定資産税が6倍に増えるわけではありません。なぜなら、住宅用地の特例措置を受けられなくなった土地は「固定資産税(土地)の負担調整措置」が適用されるからです。
負担調整措置とは、評価額が急激に上昇したような場合でも、税負担の上昇がゆるやかになるよう課税標準額を徐々に本来の額に近づけていく措置を指します。具体的には、前年度の課税標準額が本年度の評価額の何割に達しているのかを表す「負担水準」が高い場合は税負担を引き下げ、低い場合は税負担を引き上げる制度です。
そのため、家屋を解体した場合、土地の固定資産税はゆるやかに引き上げられることになります。ただし、商業地など住宅用地以外の宅地は、評価額の70%が負担水準の上限です。たとえ家屋を取り壊してさら地にしたとしても、実際に固定資産税が6倍になることはありません。
家屋を解体してさら地にすると固定資産税が高くなるとはいえ、空き家のまま放置しておくのも危険です。住んでいない実家を取り壊す場合、以下のような活用方法が挙げられます。
●アパートやマンションを経営する
●賃貸併用住宅を建てる
●高齢者向け施設を建てる
●駐車場を経営する
●トランクルームを経営する
●資材置き場にする
駐車場やトランクルームなど、比較的低コストで始められる活用法も少なくありません。住む予定のない実家は放置するのではなく、積極的に有効活用したいものです。
今回は住宅にかかる税金や実家の活用法などを解説しました。家を壊すと固定資産税が高くなるのは事実ですが、急に6倍になるわけではないことが分かりました。
実家を壊してさら地にする場合は、住宅用地の特例措置だけでなく、土地の負担調整措置についても確認しましょう。いずれにしても税金はかかり続けるため、住んでいない実家は放置せずに有効活用したいものです。
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)固定資産税・都市計画税の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
家の「解体費用」を安く抑える方法とは? 解体前にやるべき「4つのこと」を解説