次男が子どものころ、苦手な低温殺菌牛乳をどうしても飲ませたかったレミさん。容器でごまかせるかと思いきや……?
主婦として料理を作り続けた経験を生かし、料理愛好家としてテレビ・雑誌などで活躍する平野レミさん。
料理愛好家、妻、母、とさまざまな顔を持つレミさんが、
2人の息子さんの子育てと料理
について綴ったエッセイ集『おいしい子育て』(ポプラ社)より一部をお届け。
今回は、次男の「好き嫌い」に直面した時のエピソード。
レミさんがそこで得た気づきとは……?
栄養より大切なもの
次男は低温殺菌牛乳が苦手。ふつうの牛乳は平気なのに、どういうわけかこれだけはだめなんです。栄養のことを考えると、どうしても飲ませたくて、ある日、ふつうの牛乳のパックに低温殺菌牛乳を入れておきました。パッケージのデザインで先入観を持っているのかもしれないので、容器でごまかせると思ったのですが、大失敗。ひと口飲むなり、「違うよ! お母さん、入れかえた!」と怒りだして、「もうお母さんは信用しない!」と言いました。ドキッとしました。
栄養は、ほかのものでとることもできるし、好き嫌いは大人になって変わることも多いけど、親子の信頼関係はそうはいかない。牛乳事件の信用をとりもどすのは、ひと苦労でした。栄養も大事だけれど、それよりもっと大事なものがあることに気がついたわけです。
(写真提供:レミックス)
大人はつい、子どもなんか簡単にごまかせると思ってしまいます。私も母親になりたてのころはそうだったけど、子育てをしているうちに、だんだんと「子どもには、ごまかしがきかないものだ」ということがわかってきました。
ごまかせないから、薬を飲ませるのもなかなかうまくいかない。ジュースに薬をまぜているのを見られたら、もちろんだめ。見つからなくても、ジュースに泡が立っていたり、ジュースがぐるぐるまわっていたら、かきまわしたということがわかってしまい、「クスリがはいってる」と言って絶対飲みません。
夫に「薬をジュースにまぜてるの」なんて説明することもできない。それで、子どもに感づかれないように、「薬品を混入したけど攪拌する場面をキャッチされると、摂取不可能だから」なんて舌がこんがらがりそうな言葉を使ったり。そんなことが通用するのも幼稚園までなんですけど。でも、けっこう楽しいゲームでもありました。
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この続きは、書籍でお楽しみください。
平野レミさん/料理愛好家、シャンソン歌手
料理愛好家、シャンソン歌手。主婦として料理を作り続けた経験を生かし、NHK「平野レミの早わざレシピ! 」などテレビや雑誌などを通じて数々のアイデア料理を発信。また、レミパンやエプロンなどのキッチングッズの開発も手がける。2022年、『おいしい子育て』(ポプラ社)で第9 回料理レシピ本大賞エッセイ賞受賞。エッセイに『家族の味』『エプロン手帖』(以上、ポプラ社)、『ド・レミの子守歌』( 中央公論新社)など、レシピ本に『平野レミのオールスターレシピ』( 主婦の友社)、『平野レミの自炊ごはん』(ダイヤモンド社)など多数。最新刊、自身の人生哲学が詰まった言葉集『私のまんまで生きてきた。』(ポプラ社)好評発売中!
X(旧Twitter):@Remi_Hirano
(写真:レミックス提供構成:マイナビ子育て編集部)
※本記事は、『おいしい子育て』著:平野 レミ、イラスト:和田 誠/ポプラ社より抜粋・再編集して作成しました。
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