11月22日(金) 9:20
昔の日本では、「家を継ぐ長男が家族のお墓を管理する」という考え方が一般的でした。これは、長男が家長として親や先祖の供養を一手に引き受ける立場とされたためです。そのため、お墓を建てる費用や維持費も長男が負担するのが「普通」とされていました。
ちなみに、お墓とは異なりますが喪主の場合は配偶者、長男、次男等の直系男子、直系女子の順序で決められる場合が多いようです。
しかし、現代では家族構成や生活様式が多様化しています。核家族化が進み、長男が遠方に住んでいることや、経済状況が異なることも少なくありません。そのため、長男が一人で負担するケースは減りつつあり、兄弟姉妹で話し合って費用を分担する家庭が増えています。
まずは、家族で「長男が出すのが普通」という考え方に縛られず、現代の状況に合った方法を話し合うことが大切です。
お墓を建てる際の費用は、「墓石代」「土地代」「管理費」に分けられます。
株式会社鎌倉新書(東京都中央区)が実施した、「【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)」(調査期間:2024年1月、調査対象:2023年1~12月にお墓探しの総合情報サイト「いいお墓」経由でお墓を購入した1791名)では、お墓を建てるのにかかった平均価格は、149万5000円です。そのなかで墓石代が97万4000円、土地代が47万2000円の価格となっています。
また、お墓の管理費用として年間数千~2万円程度がかかります。また、永代供養墓の場合は5~150万円程度となり、依頼する墓地や寺院によって大きく異なります。
兄弟で費用を分担する場合、全員が納得できる話し合いが欠かせません。以下で、話し合いのポイントを紹介します。
負担割合を決める際は、兄弟それぞれの経済状況を考慮することが重要です。収入に応じた分担や、特定の人が大きな負担を引き受ける代わりに他の役割を任せる(管理や供養など)方法もあります。
費用の話はデリケートなため、親が健在なうちから兄弟全員で話し合うことで、トラブルを回避できるでしょう。
お金が絡む話では、後々の誤解を防ぐために、分担内容を簡単なメモでもいいので書き残しておくと安心です。
お墓を建てることは、親や先祖を大切にする気持ちの表れです。しかし、その費用負担をどうするかについては家庭ごとに異なる事情があります。「長男が負担するべき」といった昔の価値観に縛られる必要はなく、家族全員で話し合いながら最適な方法を見つけましょう。
話し合いでは、全員が納得できる結果を目指すことが大切です。そのためには、費用だけでなく、今後の供養や管理についても一緒に考えることが望ましいでしょう。家族で意見を出し合い、協力し合うことで、よりよい解決策が見つかるはずです。
株式会社鎌倉新書 いいお墓 【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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