河村勇輝がGリーグでも躍動ハッスルヘッドコーチが語る歩むべき今季の青写真「比較対象となる選手はカルデロンとボイキンス」

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河村勇輝がGリーグでも躍動ハッスルヘッドコーチが語る歩むべき今季の青写真「比較対象となる選手はカルデロンとボイキンス」

11月22日(金) 7:00

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ハッスルのスワースキーHC(左)と河村勇樹photo by Getty Images

ハッスルのスワースキーHC(左)と河村勇樹photo by Getty Images





河村勇輝がプレーするハッスルHCインタビュー前編

田臥勇太、渡邊雄太、八村塁に続き、日本人史上4人目のNBAプレーヤーとなった河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)は現地11月15日、Gリーグ(マイナーリーグ)のメンフィス・ハッスルでもデビューを果たした。

河村は先発ポイントガードとして29分44秒をプレーし、7得点、10アシストをマーク。ここでプレーメイカーとしての力を誇示し、今後も主力としての役割が期待されそうだ。

Gリーグの所属選手ながら、一定期間NBAにも出場できるのが2Way(ツーウェイ)契約。グリズリーズのケガ人の多さゆえ、開幕当初はNBAでの出場が増えたが、今後はGリーグとNBAを頻繁に行き来することになることが予想され、Gリーグでも貴重な経験を積めるかどうかが、アメリカでのキャリアの中で重要なポイントになるのだろう。

そんな河村を、ハッスルの首脳陣はどう見ているのか。その評価と今後の課題などを知るべく、TC・スワースキー・ヘッドコーチ(HC)に意見を求めると、今季からハッスルのHCを務める指揮官の目にも、河村の電光石火のプレーは印象的なようだ。

*以下はスワースキーHCのひとり語り

【長所は視野の広さと最高級のクイックネス】ユウキの長所を挙げるとすれば、まずはコート上の視野の広さだ。ほかの選手たちがどこにいるのかを常に認識し、オープンになったチームメイトにどうやってボールを渡すか、といったパスワークはなかなか教えられるものではない。パスセンスと視野の広さは突出しており、頭の後ろにも目があるのではないかと感じるくらいだ。

もうひとつはクイックネス。彼は私がこれまで見てきたなかでも最高級の素早さを持つガードだ。特にボールを持った時のユウキは本当に速く、ドリブルの際には一瞬で相手のディフェンダーを置き去りにする。ユウキのサイズではクイックネスをアドバンテージにする必要があるが、彼はそれが上手にできている。

常にアンセルフィッシュであり(自己中心的ではない)、コート上の聡明さは何よりも際立っている。それらの長所のおかげですばらしいパスを出すことが可能になっているのだろう。オープンになればユウキが見つけてくれることはわかっているから、チームメイトたちは彼と一緒にプレーするのが大好きなんだ。

一方、課題を挙げるとすれば、やはりジャンプシュートの確率は向上させなければいけない。ユウキはもともとドリブルからでも、キャッチ&シュートでもロングジャンパーが打てる選手である。今では日々、シュートの改善に一生懸命に励んでいる。自分自身に厳しく、上達を熱望していて、練習場に頻繁に通い、シュートをし続けている。そんなユウキの姿を見ていて、もっといいシューターにならないと考える理由はない。

ディフェンス面ではボールハンドラーに鋭くプレッシャーをかけることができているが、マッチアップした相手を、より上手にガードできるようになればベターだ。ユウキのクイックネスのすばらしさは指摘したとおりで、それをディフェンスにも生かせるようになることを私たちは望んでいる。左右両方からドリブルで抜こうとする相手の進路を上手に塞げるようになってほしい。

【NBA、Gリーグの両チームで1日に2、3度練習することもある】 スワースキーHCが河村の比較対象としてあげたカルデロン(左)とボイキンスphoto by Getty Images

スワースキーHCが河村の比較対象としてあげたカルデロン(左)とボイキンスphoto by Getty Images



ツーウェイ契約選手のユウキは、これからもグリズリーズとハッスルを頻繁に往復することになる。どちらでプレーするかはグリズリーズの故障者の多さや、チーム内の役割次第。

私はGリーグのトレーニング、ゲームに集中しており、「TC、今日のユウキはハッスルで練習させてくれ、ゲームにも出してくれ」といった指示を受け、それを遂行させることが仕事になる。日によってはユウキはグリズリーズ、ハッスルの両方で1日に2、3度と練習することもある。それが日程的にタフなのはわかっている。ツーウェイ契約の選手にとっては当たり前のことだなどと言うつもりはないが、彼の立ち位置では何があっても対応できるようにしておかなければいけない。

ツーウェイ契約選手であるということは、まだ発展途上ということを意味する。だとすれば可能な限りの長い時間、コートに立ったほうがいい。自身の力を私やグリズリーズのタイラー・ジェンキンスHC、フロントの人間、スカウトにアピールするためには、とにかくコートに立つこと。非常に長い1日を過ごすこともあるが、ユウキの向上意欲に関しては、私はまったく心配していない。グリズリーズでも、ハッスルでも、彼はプレーするのが大好きであることは見てとれる。(競技に対する)姿勢がすばらしいというだけではなく、実際に中身のある練習ができる選手でもある。そんな姿が変わらない限り、もっといいNBAプレイヤーになっていけるはずだ。

ユウキが参考にすべきNBA選手、比較できるプレーヤーとして真っ先に頭に浮かんでくるのはホセ・カルデロンだ。スペイン出身で、NBAではトロント・ラプターズなどでプレーした司令塔タイプのPGだ。ユウキはカルデロンほど背が高いわけではないが、視野の広さという面で共通点はある。ふたりはともに超アンセルフィッシュで、左右両方の手で上手にアシストできる。ペイント内に入っていくのもうまい。カルデロンにはユウキほどのクイックネス、身体能力もなかったが、アンセルフィッシュなところとノールックパスなどのうまさは似ていると感じる。

また、ユウキを見ていて、身体の強さという点ではアール・ボイキンスのことも思い出させられる。ボイキンスは身長165cmと極めて小柄だったけれど、ベンチプレスで400パウンド(約180キロ)を上げるくらいの力があった。ユウキも力はあり、ディフェンス時にはフルコートで相手選手を追い回すこともできる。そういった姿からはボイキンスを彷彿とさせられる。これからユウキが成長し、カルデロン、ボイキンスのようになっていけるかどうか、私も楽しみに見守っていきたい。

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