11月22日(金) 4:40
この旅行は、筆者が企画して両親にプレゼントしたものです。費用は筆者が全額を負担しました。3世代6人の家族構成は、筆者夫婦と両親、それに小学生の子どもが2人で、3連休の初日から1泊2日の日程です。
行き先は、両親が高齢ということもあり、車で一般道を1時間ほどの距離の温泉旅館にしました。周辺を観光するでもなく、ただ旅館の温泉と料理を満喫する旅行にしたかったので、宿泊先は有名な老舗旅館を選び、プランも比較的ランクの高いものにした次第です。
結果、旅館に支払った金額は約25万円でした。1人当たり約4万円ですね。子ども2人が小学生ということもあり、思ったより安く済んだと思っています。
ただ、これが新幹線や飛行機を使う遠方の旅行であれば、倍増したのではないでしょうか。
「旅行」という楽しいイベントに対しては、あまり結びつかないかもしれませんが、もし親が3世代旅行の費用を出したとしたら、贈与税の対象になる点に注意しなければなりません。なぜなら、贈与税は「個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金」だからです。
「旅行しただけで、何の財産ももらっていない」と思う人もいるかもしれません。しかし、払わなくてよかった旅行費用に目を向けてみましょう。代わりに親が支払ったということは、そのお金をもらったのと同様なのです。
ちなみに、贈与税が関係するのは「親から子どもへ」移転した財産なのではなく、「人から人へ」移転した財産です。つまり、筆者が支払った親の分の旅費も贈与税の対象になるということですね。
しかし、親に数万円の旅費を出してもらったからといって、誰もが贈与税の申告をしているのでしょうか。答えは「ノー」です。なぜなら、贈与税には非課税枠が設けられており、基礎控除額の年間110万円までの贈与に対しては贈与税がかからない仕組みになっているからです。
しかも、受贈者1人当たり110万円なので、家族4人分の旅費として200万円出してもらったとしても、1人当たりにすると110万円以下でしょうから、贈与税はかかりません。
なお、「年間」というのは、毎年1月1日から12月31日までのことを指しています。この間に旅費だけではなく、別で贈与を受けている場合には、その合計が110万円以下であるか否かで贈与税を判断するので注意が必要です。
例えば、2024年1月に祖父から100万円の贈与を受けたあと、8月に旅費15万円を出してもらった場合、合計115万円の贈与を受けたことになり、115万円から110万円を差し引いた5万円に対して贈与税が発生します。毎月10万円の旅費を出してもらった場合も、年間120万円になるので同様です。
「近場」の3世代6人温泉旅行には、約25万円かかりました。「遠方」になると100万円を超えるケースもあるでしょう。そして、親が出してくれた旅費は贈与税の対象になります。
旅行1回で1人当たり110万円を超えるケースはまれかもしれませんが、年内において、すでに贈与を受けている場合や、旅行を複数回している場合は、1度電卓をたたいて確認してみたほうがよいかもしれません。
国税庁 No.4402贈与税がかかる場合
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
【関連記事】
夫の口座から妻の口座にお金を移した。贈与税がかかるって本当?