【写真】中国トップスター、美人女優タン・ソンユン×イケメン俳優ワン・カイが共演
近年、日本で右肩上がりにファンを増やしている中国ドラマ。BS12 トゥエルビ(BS222ch)では11月22日(金)より、日本初放送の「フライト・トゥ・ユー ~君との距離〈マイル〉」(毎週月~金曜、朝7:00-7:57、全国無料放送)がスタートする。本作は、時代劇のイメージがある中国で2023年上半期最大級のヒット作。男性優位の風潮に立ち向かうヒロインも共感を誘ったドラマの魅力を掘り下げてみる。
■中国ドラマは時代劇だけではない、現代劇×お仕事が人気上昇中
中国ドラマと聞くと、華やかな古代中国の衣装や壮大な世界観を持つ、史劇(時代劇)をイメージする人が多いだろう。代表格は架空の世界を舞台にした仙人や妖怪が登場するファンタジーロマンスだが、日本の大河ドラマのように史実に基づいた重厚な時代劇も少なくない。一方で、ここ数年は20世紀以降を舞台にした現代劇から多数のヒット作が生まれており、そのジャンルも多岐に渡っている。
現代ドラマの王道といえば、ラブストーリーやヒューマンドラマ、ミステリーなどが挙げられるが、最近は専門的な仕事に従事する人物を主人公に据えた“お仕事系ドラマ”の躍進が目覚ましい。消防士、弁護士、翻訳官、声優などさまざまな業界を扱う中でも出色だったのが、女性パイロットと鬼教官を主役に据えた「フライト・トゥ・ユー ~君との距離〈マイル〉」だ。
■逆境にもめげず、夢を追い続ける共感型ヒロイン
航空業界を舞台にした作品は日本でも人気ジャンルの1つ。木村拓哉主演の「GOOD LUCK!!」、玉森裕太主演の「NICE FLIGHT!」を思い出す方もいるだろう。そうした日本の航空ドラマが好きだった方には、本作はなかなかのオススメ作。長編が基本の中国ドラマよろしく本作も全39話と長いドラマだが、空港に勤務する人々の仕事ぶり、ヒロインの成長ストーリー、ラブロマンスがバランスよく盛り込まれ、最終話まで見飽きることなく楽しめるのだ。
本作の主人公は、鷺洲(ルージョウ)国際航空の貨物部に所属する副操縦士チョン・シアオ(程霄/タン・ソンユン)と、飛行部副部長で彼女の上司である グー・ナンティン(顧南亭/ワン・カイ)。台風の夜、シアオは同社初の女性機長となるべく、昇格条件の2700時間飛行を成功させる。しかし、強風が吹く中で着陸させたことを、安全を最優先するナンティンにとがめられてしまう。操縦士としての技術は文句なしだが、明朗快活で歯に衣着せないシアオと、自他共に厳しく規則からはみ出すことを許さない堅物のナンティン。水と油の2人は、この出来事をきっかけに衝突を繰り返すようになる。
シアオが夢叶う喜びに浸っていた矢先に、新規案件ゼロの貨物部は廃部となり、彼女は飛行部へ異動を命じられる。仕事にも仲間にも愛着のある貨物部を離れ、苦手なナンティンがいる飛行部に移ったシアオは、慣れない仕事に大苦戦。はねっかえりのシアオをよく思わない男性上司、機内でのトラブといった壁に阻まれながらも、持ち前のガッツで壁を乗り越えていくシアオの姿に、働く女性なら共感せずにはいられないだろう。
■水と油の鬼教官と女性パイロットが仕事を通じて恋を育む
物語序盤では、シアオとナンティンが衝突を繰り返すが、ナンティンは決して意地悪な人間ではない。彼にはある悲しい過去があり、それゆえにシアオに厳しく接してしまっているだけなのだ。一方のシアオも、自由奔放に見えてパイロットという仕事に強い誇りを持っており、逆境でも夢を諦めない頑張り屋。ぶつかり合いながら、互いの本質を知っていき、リスペクトし合うようになっていく過程が心地いい。
恋はマイナスから始まった方が上手くいくともいわれるが、ナンティンとシアオもご多分にもれず、第一印象は最悪ながらだんだんと意識し合う関係となっていく。恋愛経験はあるが女性に対し不器用なナンティンが、積極的なシアオに戸惑う場面もあり、上下関係が逆転しているようなロマンスが観ていて微笑ましい。中国ドラマにおいてもお約束の三角関係によって、2人の恋模様はさらにドキドキ感を増していく。
そうしたラブロマンスの中、もう1つの注目ポイントになるのは男性優位の風潮としっかり対峙している点だ。会社の役員会議のシーンでは、役員は全て男性で、要職は男性ばかりが占める様子が見て取れる。とりわけ女性パイロットの存在に否定的な飛行部部長のキャラクターは強烈で、表情も言動も小憎らしく、本作におけるヒール役として随所でユンソンに立ちはだかる。こうした最悪の上司に対して、ズバッとものをいうユンソンに爽快感を覚える女性視聴者はきっと多いはずだ。
航空業界の裏側を描いたお仕事ドラマとしても、女性パイロットと鬼教官のラブストーリーとしても楽しめる本作は、中国ドラマの入門編としてぴったり。男性優位の業界に立ち向かうヒロインと、中国ドラマのトレンドが詰まっている点でもオススメの作品だ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)
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