11月21日(木) 3:00
一般財団法人 労務行政研究所東証の「2024年夏季賞与・一時金の妥結水準調査」によると、プライム上場企業の2024年夏季の平均賞与は84万6021円でした。
しかし、これらの数字は一般的に大企業や一部の高収益企業のものが多く、すべての企業の賞与額を表しているわけではありません。特に、大企業は業績や規模に応じた高い賞与を支給できる体力を持つ場合が多く、ニュースで取り上げられやすい傾向にあります。
賞与額の実際の差はどれほどあるのでしょうか? 2024年夏季賞与は東証プライム上場企業の全産業平均で約84万となり、前年同期比で4.6%増となっています。特に製造業ではこの金額がさらに高くなる傾向があり、200万円以上の支給も珍しくありません。
一方、株式会社フリーウェイジャパンによる「夏のボーナスに関するアンケート」では、2024年夏実績での中小企業のボーナス平均額は約35万円でした。ボリュームゾーンは「10万円〜20万円未満」が最多で21.1%となっています。
また、中小企業/零細企業では、ボーナスの支給自体がない企業も多く存在します。同調査によると、「ボーナス制度がない」と回答した企業が29.9%、「支給予定なし」が26.8%となっています。
大企業が平均的に高い賞与額を支給している一方で、中小企業はそれよりも控えめな賞与となることが多いのが現実です。これは企業規模による財務状況や、安定した売り上げの確保が困難な面があるためです。
賞与額が企業によって異なる背景には、企業規模以外にも「業績」「業種」など、さまざまな要因が影響しています。それぞれの要因が複雑に絡み合い、結果として賞与額の違いを生み出しているのです。
まず、企業の業績が賞与額を左右する最も大きな要因です。収益が安定している企業や、業績が右肩上がりの企業では、従業員への還元がしやすくなるため、賞与額も高くなる傾向があります。
次に、業種も重要な要因です。一般財団法人 労務行政研究所東証の「2024年夏季賞与・一時金の妥結水準調査」によると、製造業の平均額が87万円に対し非製造業では71万円となっており、業種による差も大きいことがわかります。
特に製造業のなかでも自動車は99万円、鉄鋼は96万円と高く、非製造業のなかでもサービス業が66万円と低くなっていることからも業種により、賞与の差が生まれています。
中小企業に勤務する上で、賞与に対して現実的な視点を持つことは重要です。高額な賞与が期待できない場合も多いですが、その一方で、経験やスキルを身につけるための環境が整っている企業も多くあります。
また、中小企業は組織全体の連携が取りやすく、能力や貢献が認められやすい環境もあります。こうした点は、今後のキャリア形成において大きなメリットとなるでしょう。賞与額だけでなく、自身のキャリアの発展や成長の機会も踏まえて判断することが、今後の満足度につながります。
一般財団法人 労務行政研究所 2024年夏季賞与・一時金の妥結水準調査
株式会社フリーウェイジャパン 夏のボーナスに関するアンケート(PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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