私は夫の両親と祖母と一緒に暮らしています。苦労が多い同居生活でしたが、やさしい義祖母が心の支えでした。義母は少し曲者で、私が仕事を持っていることが気に入らないのか、仕事用のスーツを洗濯機にかけてしわくちゃにしたり、リモート会議中に大声で歌ったりと、ささやかな嫌がらせをするのです。そんな義母を注意してくれるのは、いつも義祖母でした。
義実家に代々伝わる指輪
ある日義祖母が私を呼び、「この家の女性に受け継がれる家宝」という指輪を見せてくれました。指輪にはきれいな宝石があしらわれ、私はしばし見惚れていたのです。
するとそこに義母が現れて「次にもらうのは私!」とひと言。しかし義祖母は、次に渡す人は自分が決めると言います。
次は自分がもらえるものだと思っていた義母は、険しい顔をしていました。
サプライズが台無しに…
その週末、私は義祖母の誕生日を祝うために、ケーキを買って帰りました。大好きな義祖母をサプライズでお祝いをするつもりだったのです。
しかし家に着いた途端、雨が……。バルコニーには今朝洗った私のジャケットが干されていますが、義母はいつも私の分だけ取り込んでくれません。ケーキをキッチンに置いて、急いで洗濯物を取り込みました。
キッチンに戻り、ケーキを冷蔵庫の奥のほうに隠そうとしたのですが、ケーキがどこにもありません……。しばし探していると、捨てられて雨でグチャグチャになったケーキが庭にありました。洗濯物を取り込むほんの一瞬とはいえ、油断しました。
これはきっと義母の仕業です。予想通りリビングにはニヤニヤした顔を見せる義母が……。「指輪をもらうためにおばあちゃんに媚びようなんてあさましい」と義母に言われましたが、私にはそんなつもりはありません。
純粋に義祖母の誕生日を祝いたかっただけなのに……。なんだか悲しくなってしまいました。
大切な指輪が義母の手に
そこへ騒ぎを聞きつけた義祖母がやってきました。こんなグチャグチャのケーキ、できれば見られたくありませんでしたが、隠す間もありません。
どうやら義祖母は義母とのやりとりをすべて聞いていたよう。「指輪の話なんてしたせいで、嫌な思いをすることになってごめんなさい」と私に謝り、「今までは見守ってきたけど、もう限界。この指輪をあげるから、嫁に嫌がらせをするのはやめなさい」と義母に言って、あの指輪を渡したのでした。
義祖母に意地悪をしているところを見られて真っ青な顔をしていた義母でしたが、それを聞いて瞬時に笑顔に……。上辺だけの謝罪を述べ、これからは仲良くしましょうね! と無理やり私の手をとりました。
その言葉通り、それ以来義母の嫌がらせは無くなりました。
義祖母が指輪を大切にしていたワケ
数年後、義祖母が他界。私はとても悲しかったのですが、義母は嬉しそうにしています。どうやら義祖母からもらった指輪を売ろうとしている様子。葬儀が終わってすぐに、指輪を持ってどこかに出掛けて行きました。
しかし帰ってきた義母は苛立ちを隠せない様子。義母の祭壇の前に座って「ふざけんな!!」と言いながら乱暴におりんを鳴らしました。
それを見ていた義祖母の妹が「残念だけど、指輪を売っても値段はつかないよ。父がお祭りで買ってくれたおもちゃの指輪だからね」と言いました。
つまりあの指輪は、義祖母のお父さんが買ったもの。当時、貧しかったという義祖母の家庭にとっては、おもちゃの指輪すら高級品だったそう。義祖母はその指輪を大人になっても大切にし、代々この家の女性に受け継いでもらおうと思っていたようです。
それを聞いた義母は激怒! 義祖母から受け継いだ指輪を投げ捨てました。私はその指輪を手に取ります。義祖母から見せてもらったときも素敵な指輪だと思ったけれど、義祖母が大切にしていたエピソードを聞いて、ますます素敵なものに見えます。
この指輪は私が受け継ぎ、大切にしようと決めたのでした。
義祖母にとって、指輪は単なる装飾品ではなく、思い出の詰まった大切な宝物でした。指輪を通じて、お金より大切な家族のつながりや愛情があることを教えられましたね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
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