11月21日(木) 4:30
消防士の出動手当の算定方法は、地域によって異なります。ここでは具体例として、東京都と神奈川県横須賀市の出動手当を取りあげます。
東京都の出動手当は「東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例」で規定されており、算定方法は次の3パターンです。
●1回あたり最大700円
●1時間あたり最大900円
●1日あたり最大5500円(原子力災害など、特定の条件下では最大4万2000円に引き上げ)
支給額は、東京都人事委員会で承認を得たのち、「東京都規則」に基づいて決定されます。
これに対し、神奈川県横須賀市の災害出動手当は、「消防吏員特殊勤務手当支給条例」によって、1回あたり300円と決められています。東京都のように、時間や日数に対応した料金形態は設けられていません。ただし、深刻度が高い災害にあたる場合は、「出動した日数×2300円」が追加支給されます。
また、支給額に地域差があるのは出動手当だけではありません。特殊勤務手当には「救急手当」や「火災調査手当」なども含まれ、これらの金額も地域ごとに異なります。
出動手当以外の特殊勤務手当について、例えば「東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例」では、次の9つが定められています。
救急事故などに出動し、救急業務などに従事した職員が対象。
火災現場などで火災原因などの調査に従事した職員が対象。
消防対象物に立ち入り、火災予防のため、立ち入り検査などに従事した職員が対象。
災害などにおける救出救助や、国際緊急援助などに従事した職員が対象。
はしごなどを使い、高所での消防活動などに従事した職員が対象。
ヘリコプターに搭乗し業務に従事した職員および、ヘリコプターの点検、整備に従事した職員が対象。
消防部隊の運用などの管制業務に従事した職員が対象。
正規の勤務時間外に、緊急に呼び出され、業務に従事した職員が対象。
正規の勤務時間が、22時から翌朝5時のあいだにかかる交替制勤務に従事した職員が対象。
一方、神奈川県横須賀市の「消防吏員特殊勤務手当支給条例」による規定では、救急出動手当は1回あたり150円(例外あり)、国際緊急援助隊手当は1日あたり4000円です。
また、人命救助などのため潜水作業に従事した職員に、1時間あたり最大1000円を支給する「潜水手当」が設けられています。特殊勤務手当は、金額だけでなく、内容にも地域差があることが分かるでしょう。
なお、総務省の「令和5年 地方公務員給与の実態」によると、「消防職」の特殊勤務手当の平均月額は7898円です。
複数の手当が設けられている消防士ですが、最終的な収入が気になった人もいるでしょう。
総務省の「令和5年 地方公務員給与の実態」によれば、消防職の「給料月額」は平均30万4233円、特殊勤務手当を含む「諸手当月額」は平均10万991円です。総額は40万5224円で、年額にすると486万2688円となります。これに、期末手当と勤勉手当の平均年額152万251円を加えた平均年収は、638万2939円です。
また、寒冷積雪の厳しい地域の職員には、上記に加えて平均8万3752円の「寒冷地手当」が支給されます。
なお、全一般職員の平均年収を同様の方法で計算すると、値は641万6047円です。よって、消防士の平均年収は、全一般職員の平均を下回っていることが分かります。
出動手当を含む特殊勤務手当には、金額、支給方法などに地域差があります。例えば出動手当は、東京都は1回あたり最大700円、1時間あたり最大900円、1日あたり最大5500円の3パターンで支給されますが、神奈川県横須賀市の災害出動手当は1回あたり300円です。
なお、総務省の調査によれば、消防職の特殊勤務手当の全国平均月額は7898円となっています。これに住居手当や通勤手当などを加えると、諸手当の合計は月平均10万991円となります。
ただし、消防士の平均年収は638万2939円であり、全一般職員の641万6047円を下回ります。
東京都例規集 東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例
横須賀市 消防吏員特殊勤務手当支給条例
総務省 令和5年 地方公務員給与の実態 第2 統計表[附帯調査関係] 諸手当関係 第13表 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額(371、372ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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