11月21日(木) 17:39
<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 初日◇21 日◇宮崎カントリークラブ◇6497ヤード・パー72>
今季未勝利の原英莉花が7バーディ・2ボギーの「67」で回り、首位と1打差の2位タイで最終戦のスタートを切った。
しなりがやばい…原が投入した“ぼよんぼよんシャフト”【写真】
3番で3メートルを沈め、続く4番は残り130ヤードの2打目をピン右1メートルにピタリ。いずれもフェアウェイをしっかりとらえたティショットから奪ったバーディで波に乗り、6番からは2連続、さらに10番からは3連続とバーディを量産した。
前週までのフェアウェイキープ率は49位の66.03%。「左に行く」と悩んでいたドライバーショットが悩みのタネだった。今季は6月の「資生堂レディス」の3位が最高で、トップ10入りはわずかに6度。来年の米ツアー進出を懸けた12月の最終予選会(米アラバマ州)に向けても、ドライバーショットの立て直しは急務だったが、今週ようやく届いた“秘密兵器”のおかげで一気に光が差し込んできた。
「インに入りすぎて、“ぐいん”とやるクセがあった。そうするとシャフトがたわみすぎて、うまく当たらない。タイミングを取り戻すため練習用に、ぼよんぼよんのシャフトを作ってもらったんです。左に行かせたくないと思うほど下半身が止まって、振り抜きが悪くなっていた。それをどうにかしたいと思っていました」
試行錯誤の末にひらめいたのが、“ぼよんぼよんシャフト”だった。市販品はなく、シャフトメーカーのUSTマミヤの担当者に相談し、ようやく今週届いたのが、世界に2つとない“英莉花オリジナル”の特注品。硬度は一般的には最も軟らかい「L」よりもグニャグニャ。これを無心に振り続けた。
「ヘッドを遠くに感じたかった。背筋で引っ張る感じです」
モデル名はない完全オリジナルのシャフト。「ビシバシ、しばいているのでMって呼んでいます」。“女王様”のような練習方法で悪癖を短期間で修正。資生堂の2日目にマークした今季自己ベストの「66」に迫るゴルフに、「スタートホールからチャンスにつけて、しっかり3番でバーディが取れた。いい流れでプレーできたと思います」と満足そうに笑った。
2020年は10月の「日本女子オープン」で国内メジャー初制覇を果たし、この大会でメジャー2勝目を挙げた。そのときも初日は「67」で回り、首位発進。そのままトップの座を譲ることなく、国内メジャーでは日本選手8人目の完全Vを達成した。
クラブハウス2階のレストランに上がる階段には、これまでの優勝者らの写真が載った歴代のポスターが貼られている。「もう4年ですか…。でも、えっ、誰この人って感じですよね。新しいのにしたい。今年は優勝がないので、優勝したい気持ちが強いです」。目指すは昨年の「日本女子オープン」以来となるツアー通算6勝目。メジャーには滅法強い“女王さま”は、ビシバシとドライバーを振って新しい大会ポスターの顔になる。(文・臼杵孝志)