11月21日(木) 11:00
投票率が55.65%に達した先の兵庫県知事選。県議会による不信任決議で失職した前知事の斎藤元彦氏(47)が返り咲いたが、選挙をきっかけに注目を集めた意外な人物が。それは、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦(42)だ。
最近ではオンラインサロンを運営し、登録者数530万人を超えるYouTubeチャンネルで政治・ビジネス・国際社会など様々なジャンルを解説している。兵庫県知事選でも投開票を目前とした11月15日、16日に、「兵庫県知事選挙という究極のミステリー」と題する動画を前編・後編にわけて公開。
知事選のきっかけとなった斎藤氏の内部告発文書問題や候補者について解説するなかで、“裏の主人公”としてクローズアップしたのは「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(57)だった。立花氏は自らの当選を目的とせず今回の知事選に出馬し、街頭演説などでは斎藤氏を“援護射撃”していた。
中田は前編で立花氏について、「選挙を熟知した上で、その裏をかくようなやり方をやって、自分の思いを国民に届けたいという方」と表現。「内部告発という仕組みを悪い方向に利用して、政治的に邪魔な存在を追いやろうとしているだけなんじゃないか、という裏を主張したいということで立花さんは動いているわけです」と説明しつつ、「この動画において“絶対こっちが正しい”とか、“絶対にこっちを応援してほしい”ということは一切言いません」と自らのスタンスを主張していた。
また後編では、「立花さんの主張をネット民が支持しているんです。そう、今回の選挙はネットvsテレビの新時代に選挙戦とも言われているんです」とも熱弁。中田は斎藤氏の「天下り慣例の廃止」「県庁舎建替え費用の見直し」といった“実績”を紹介しつつ、5期20年にも及んだ前知事の井戸県政の弊害についても解説。「これは立花さん側の批判的なストーリーですからね」と強調した上で、斎藤氏について“もしかしたら本当にパワハラ疑惑などがあったのかもしれない”、“もしかすると利権にメスを入れてしまったからかもしれない”と2つの可能性を提示していた。
そんな中田は、立て続けに立花氏の主張を紹介。斎藤氏のパワハラ疑惑などを告発した元西播磨県民局長は県の公益通報窓口に通報していたが、立花氏は“公益通報に該当しない”との立場をとっていた。
中田は立花氏について、「(元局長の)公用パソコンの中に、今までの利権と違うことをやろうとしている斎藤県政を転覆させるという目的があったからなんだと。『そういう政治的な意図で出しているだけなので、公益通報ではありません』と指摘された」と解説。その上で、元局長が急逝したことを“最大のミステリー”と形容した。
さらに中田は立花氏が入手した、選挙期間中に非公開で開催された県議会の調査特別委員会(百条委員会)の音声についても取り上げた。元局長の公用パソコンには斎藤氏の告発文だけでなく、斎藤政権を転覆させようとする計画、さらには元局長のプライベートな情報も保存されていたという。
中田は「音声を録音していた職員がいて、それを立花さんに渡してきたっていうんですよ」と語り、立花氏が音声を選挙期間中にYouTubeチャンネルで公開したことを伝えた。音声の内容は、片山安孝前副知事が元局長のパソコンに保存されていた情報を証言したもので、プライベートな情報に触れた際に奥谷謙一委員長が制止したという。
動画では身振り手振りを加えて熱心に解説していた中田だが、終盤では改めてこう強調していた。
「その音声が本物であるかどうか、(中略)ご自身で聞いてですね、“これは奥谷さんと片山さんなんだ”と思えば、そういう行動をすればいいし。そうじゃないと思ったら、“こんなものを流布する立花さん、けしからん”ということで、違う方に投票すれば良いと思うんですね。ですが私は事実として、いま何が起きているかということを整理しておしゃべりしました」
なお奥谷氏は18日の会見で、選挙期間中に非公開で行われた百条委員会は11月22日を目途にYouTubeで映像を公開すると説明。非公開となったのは、知事選への影響を考慮してのことだという。
また片山氏とのやりとりが流出した件ついても謝罪し、「プライバシーに関連すると思われる内容の発言があったので、『それは答えて頂かなくて結構です』と私の方で遮りました」とコメント。その上で、「私が私的な情報を知っていて、それを隠蔽しているということは明らかなデマだということを申し上げたいと思います」と主張していた。
選挙戦をめぐる背景や経緯を簡潔に説明した中田に、動画のコメント欄では支持する声が続々。
《中立性とはこういう解説》
《兵庫県民です。大手メディアが取り上げてくれなかった情報を的確に伝えてくれてありがとうございました。とても励みになりました》
《これだけ分かりやすく公平な説明をされるのにどれだけ時間をかけて下さったことか。ありがとうございます》
だがいっぽうで、動画では立花氏の主張を紹介する時間が大部分を占めていたのも事実。中立のスタンスを強調していた中田だが、“立花氏に便乗している”と懐疑的に見る人もいたようだ。コメント欄やXでは、こんな声も上がっている。
《あっちゃん、いつもはその鋭い切り口尊敬してるけど、今回はもう一回振り返った方がいいのでは?これ結局立花氏の説の受け売りですやん》
《普段あっちゃんの動画は楽しく見させて頂いているのですが、この動画は中立と言いつつ明らかに片方に肩入れしているように見えました》
《今回の兵庫県知事選絡みで一番信じられなかったのは、中田敦彦の動画。中立ぶってその実 ガッツリ斎藤寄りの語りをしたというアレ。今までは無難な割と納得感のある動画を上げてたと思うので、その落差が凄くて絶句してしまった。中田敦彦に何かあったのか…?》