11月21日(木) 13:00
今週の国内男子ツアー「カシオワールドオープン」は、来季の“職場”をかけたシード権争いの最終戦でもある。現在賞金ランキング66位の36歳、重永亜斗夢は3季ぶりのシード復活を狙う。
重永のハンドアップアプローチとハンドダウンアプローチを連続写真で比較【写真】
国内男子ツアーは賞金ランキング上位65名(義務試合数不足の選手を除く)に翌年のシード権が与えられる。今季は海外を主戦場とする桂川有人、香妻陣一朗、中島啓太、スコット・ビンセント(ジンバブエ)が義務試合数に満たないため、同69位がボーダーラインとなる。
2014年に初シードを獲得した重永は、18年に「東建ホームメイトカップ」でツアー初優勝を遂げる。しかし、持病の潰瘍性大腸炎が悪化して22は戦列を離れて1年間休養。特別保障制度の適用を受けて23年に復帰したら賞金ランキング85位でシード権を喪失した。
シード復帰を目指す今季は、開幕戦「東建ホームメイトカップ」で4位タイと幸先のいいスタートを切った。しかし、「開幕後から腰が痛くなって」と持病に加えて仙腸関節炎が発症。「最初は左腰が痛かったけど、今は左右ともに痛い」と中盤以降、腰痛の症状は悪化し、持ち味のショット力に不安を抱えたまま戦っていた。
今の重永を支えるのはショートゲームだ。数年前はグリーン周りに来ると心配事も多かったが、ショートゲームの名手に教わるALBA TVの番組企画「アトムが行く! アプローチ修行の旅」で風向きが変わった。藤田寛之、手嶋多一、石川遼、今平周吾ら、ツアーを代表する小技巧者に状況別の打ち方や考え方を聞いて、エキスを吸収している。
「(宮里)優作さんに教わった時に、ハッとしたことがありました」。今年5月には18年賞金王の宮里優作が出演。「(石川)遼とか何人か選手からハンドアップに構えるのを教わっていましたが、優作さんに『ハンドアップに構えても頭を下げていたらチャックリする』といわれて見直しました。どうしても当てたくなると頭が下がってくるんです」。
以前の重永は手元を押し付けるようにハンドダウンで構えていて、花道のきれいなライからも“OK”に寄せるアプローチは少なかった。「ハンドダウンだと手首を使いやすく、ヒール側から入って地面に刺さりやすかったんです。ハンドアップで構えることで手首の余計な動きを抑えられて、ヘッドがきれいに入ってターフを取ることなくサラッとボールを打てるんです。そして優作さんに教わった頭を下げないことで、さらにミスがなくなりました」。グリーン周りからミスすることも少なくなかったが、構え方を見直して宮里優のアドバイスによりピンに絡むアプローチが劇的に増えた。
得意のショットに不安を抱え、満身創痍で臨む“最終戦”。「悔いのないように戦いたい。結果を受け止めてやるしかない。まずは予選通過です」と力を込める。ショットメーカーからアプローチ巧者へ。これまで教わってきた“先生”たちに恩返しする意味でも36歳が戦い抜く。
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