11月21日(木) 6:00
「出演予定だった連続ドラマに、西田さんは並々ならぬ熱意をもって臨んでいたんです。まさに亡くなられた当日はその打ち合わせの予定も入っていたそうで……。本当に残念としか言いようがありません」(西田さんの知人)
10月17日に虚血性心疾患のため、亡くなった西田敏行さん(享年76)。
「数多くの作品に出演していたこともあり、いまも追悼の声が上がっています。
親友として知られる松崎しげるさん(75)は、11月14日に放送された『ノンストップ!』(フジテレビ系)で西田さんの葬儀の様子を語っていました。
お骨を拾った際に『体の中にあんなに……ホチキスみたいな金属がいっぱい出てきて。こんな体で頑張っていたんだって……』と、満身創痍だった西田さんの体を目の当たりにした衝撃を明かしています。
同時に『(こんな体なのに)あんた、弱音一回も吐いたことないよねって。本当にすごかった』と役者としての姿勢を称賛していました」(スポーツ紙記者)
長年にわたり数々の名作に出演してきた西田さん。しかし、晩年は病気との闘いの連続だった。
’01年に首の骨が変形して手足のしびれが起きる頚椎症性脊髄症を発症。’03年には心筋梗塞で緊急入院、’16年には自宅のベッドから転落して頸椎亜脱臼と診断され、その手術の直後には胆のう炎を発症してしまう。
「近年の西田さんは、私生活のみならず撮影現場でも車いすや杖が欠かせない状態でした。
実際にここ数年に出演した作品となると、’21年の『俺の家の話』(TBS系)では、主演の長瀬智也さんが車いす姿の西田さんを介護するという話でした。
’22年の『鎌倉殿の13人』(NHK)でも座っているシーンが多かったのですが、それでも撮影中にうずくまってしまうこともあったそうです」(芸能関係者)
最後の公の場となった10月8日の劇場版『ドクターX』の完成報告会見でも、西田さんは座ったままだった。
「亡くなる前、実は次のドラマ出演が決定していたのです」
と明かすのは、あるテレビ局関係者だ。
「来年1月期に放送されるテレビ朝日系の連続ドラマがそれでした。唐沢寿明さん(61)と鈴木保奈美さん(58)が共演者として名を連ねている作品です。
内容は主演の唐沢さんが、資産10億円以上の超富裕層に対して資産運用のサポートを行う銀行員を演じ、さまざまなトラブルを解決していくというサスペンスものだそうです。いっぽうで、保奈美さんは、唐沢さんの助手的な役だといいます。
そのドラマに重要な人物としてキャスティングされていたのが西田さんだったのです」
西田さんは主人公の顧客でトラブルの解決を依頼する“大富豪役”を演じる予定だったという。
■亡くなる前の日もジムに行っていた
西田さんは、これまで『ドクターX』の病院長やNHK大河ドラマ『翔ぶが如く』の西郷隆盛など、重厚感のある役を多く演じてきた。
冒頭の西田さんの知人が明かす。
「西田さんは、座る役ばかりを演じている自分に忸怩たる思いを抱いていたようです。そのため、ドラマ制作サイドに対して“今回は、立って演技をさせてくれないか”と提案していたそうなのです。
共演の唐沢さんと保奈美さんとは、昨年放送されたドラマ『フィクサー Season2』(WOWOW)でも共演しており、西田さんも出演を心待ちにしていました。
もちろん、ドラマ制作サイドは座って演技をしてもらうことを想定していました。しかし、“もう一度歩いて演技がしたい”と、本人が“歩く”という強い意志を示していたのです。“まだ自分は終わっていないんだ”という役者としての矜持だったのでしょう。
西田さんも『これからしっかりリハビリをやらなくちゃなあ』と意気込みを語っていたのですが……」
実際に、亡くなる2週間前、自宅から出てきた西田さんが、覚束ない足取りながら、車いすや杖を使わずに歩いて車に乗り込むところを本誌は目撃している。
来年のドラマに向けた体づくりに励む最晩年の姿を明かしているのが、脚本家の三谷幸喜(63)だ。亡くなる2日後の『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、こんなエピソードを語っている。
《(西田さんから)“体を鍛えたいんだけど紹介してくれないか”と言われて僕の行っているジムに呼んであげたんですけど。亡くなる前の日もジムに行かれていたらしいですよ》
《次の連ドラの話もされていたってトレーナーさんがおっしゃってました》
ドラマへの出演は無念にも幻に終わってしまった西田さん。しかし、’21年、映画『いのちの停車場』に出演した際の『スポーツ報知』のインタビューにこう語っていた。
「命が終わっても、輪廻のように自分の意識はどこかにあるんじゃないかな。永遠の別れじゃない」
西田さんの死後も、その“不屈の役者魂”は脈々と受け継がれていくに違いない――。