11月20日(水) 22:20
年末調整は、会社などに勤務し毎月給与を受け取っている人が、1年間の税金額を精算するために行うものです。
皆さんが毎月もらっている給与からは、すでに税金が源泉徴収されています。
しかし、その源泉徴収されている税額には生命保険料控除などの控除が反映されておらず、概算で計算されているため、本来納めるべき税額と一致していないケースが多くあります。税金を納めすぎている場合は還付され、税金が少ない場合は追加で納付を行う必要があります。
一部のケースを除き、勤務先で年末調整を行えば、税額の精算が終了します。確定申告などの手続きを自分で行う必要がなくなるため、忘れずに年末調整の手続きを行いましょう。
2024年の年末調整は、以下の3点が昨年から大きく変更されています。
・定額減税の適用
・保険料控除申告書の簡素化
・給与所得者の扶養控除等申告書の提出の簡略化
・定額減税の適用
2024年6月1日から、定額減税が行われています。定額減税では、1人当たり所得税3万円と住民税1万円の計4万円が減税されます。そして、同一生計配偶者や扶養親族がいる場合は、その人数分、同額が減税されます。
年末調整の際には、年末調整時点の定額減税の額を算出し、年間の所得税額の計算を行います。申告書には定額減税関連の記載欄が追加されているので、必要に応じてチェック等を記載するようにしましょう。
なお、年末調整の対象となる人のうち、給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1805万円を超えると見込まれる人は、定額減税の額を控除しないで年末調整を行います。
・保険料控除申告書の簡素化
「保険料控除申告書」は、様式が一部変更されています。続柄に関して記載すべき項目が減り、簡素化されました。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出が簡略化
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」では、前年の申告内容に変更がない場合、変更がない旨の記載のみで提出可能となります。こちらも、以前より簡略化されました。
本年度の年末調整は、申告書の書式に変更点がありますが、準備しなければいけない書類などに、大きな変更点はありません。
例えば、例年同様に生命保険料や地震保険料を支払っている人は、保険料控除が受けられます。保険会社から送られてくる控除証明書や領収書、保険料の支払い明細等を準備しておきましょう。
また、昨年までに住宅借入金等特別控除の適用(いわゆる住宅ローン控除)を受けるために確定申告書を提出していて、一定の住宅借入金等がある場合、年末調整によって住宅借入金等特別控除が受けられます。
住宅金融支援機構が発行する「融資額残高証明書」や、金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」などを準備しておきましょう。
なお、住宅借入金等特別控除の適用を受ける初年度は、年末調整ではなく、確定申告を行う必要があります。
2024年の年末調整は、定額減税などにより、書式が一部変更となっています。国税庁のホームページに掲載されている「令和6年分 年末調整のしかた」を確認しながら記載すると分かりやすいでしょう。
なお、必要な書類等には大きな変更はありません。早めに準備をして、遅れずに年末調整の書類を、勤務先に提出するようにしましょう。
国税庁 令和6年分 年末調整のしかた
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
【関連記事】
年末調整をしていても確定申告が必要な場合って?9つの事例にあなたは当てはまる?