サッカー日本代表の悪い流れを変えていった久保建英 中国に「カオス」を与え攻撃の起点に

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サッカー日本代表の悪い流れを変えていった久保建英 中国に「カオス」を与え攻撃の起点に

11月20日(水) 10:25

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2026年W杯アジア3次予選、日本は中国を敵地で3-1と下している。これで5勝1分けとなり、本大会出場も見えてきた。アジアでは圧倒的な強さを見せつけている。だが......レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)の久保建英がいなかったら、緊急事態になっていたかもしれない。

中国戦で、森保ジャパンは苦戦を余儀なくされている。

守田英正、鎌田大地、三笘薫らをターンオーバーで休ませたことも影響したか、攻撃が単発になっていた。中盤で流動性を生み出せず、ボールを前に運べない。3バックが前に運んだり、両端の選手がサイドバックのようにフォローアップしたり、ダイナミズムを生み出そうとはしていたが、一進一退で、シュートにたどり着くのもひと苦労だった。

その流れを徐々に変えていったのが、3-4-2-1のシャドーで先発した久保だ。

中国戦に先発、攻撃の起点となり勝利に貢献した久保建英 photo by Getty images

中国戦に先発、攻撃の起点となり勝利に貢献した久保建英 photo by Getty images



12分、右サイドで伊東純也が奪われたボールを、久保は力強く奪い返し、ゴールに迫っている。うまくコンビネーションが生み出せない状況で、攻撃を仕掛ける逞しさがあった。伊東とのパス交換は必ずしも成功しなかったが、それを繰り返すことで、ジャブのように効いていった。20分には久保は味方を囮にしてドリブルで入り、ラストパスを受けた伊東がエリア内で倒されている。

久保は相手を恐れさせていた。焦ったディフェンダーから後ろから削られて、イエローカードを誘発。中国の選手をさらに警戒させ、楔を打つ格好になった。24分には、遠藤航からのパスをダイレクトで田中碧に通し、そのまま走り出してラインの間でリターンを受けると、中村敬斗のシュートを演出した。

この日、先発した選手のなかでは、遠藤と並び、久保はモノが違った。最大の持ち味は連係力だが、対人も並はずれて強い。独力でも、チームにアドバンテージを与えられるしたたかなアタッカーだ。

「端的な表現を使うなら、『Completo(完璧)』な選手だよ。誇張しているわけではない。タケ(久保)はなんでもできてしまうんだ」

昨年10月のインタビュー取材で、ミケル・アランブルが久保を絶賛していた言葉を思い出した。

【「相手を恐れさせるアタッカー」】アランブルはラ・レアルの下部組織スビエタで育ち、トップではクレバーで質実剛健なボランチとして活躍。2002-03シーズンにシャビ・アロンソと組んだ中盤は「歴代最強」と言われ、ラ・リーガで準優勝。翌2003-04シーズンには、チャンピオンズリーグでベスト16の結果も叩き出した。2012年に引退するまで、ラ・レアルひと筋を貫いたワンクラブマンだ。

「タケは完璧性の高い選手で、スペースを占拠し、突破し、仕上げまでする。フィニッシュするプレーができることは一番大きいが、クロスもうまいし、とにかく攻撃のバリエーションが多い。相手と対峙し、勝負するという単純に対人での能力が高いのさ。だからこそ、たとえ相手が門を閉ざすように守ってきても、それを打ち壊すことができる」

事実、ラ・レアルでも中心選手としてバルセロナを撃破したばかりだ。

「タケは右サイドが主戦場で、適正ポジションだと思う。ただ、左でも、トップでも、トップ下でもいける。彼自身はポジションに囚われていない。特に攻撃ではひとり際立つ。相手を恐れさせるアタッカーだ。相手ゴールから遠いところからでもアクセルを踏みながら、猛烈な勢いで敵陣に迫っていける」

"完璧性"の真骨頂が出たのが、前半38分だった。久保は伊東へのパスがカットされると、正面にこぼれてきたボールを回収。一気に中央へ切り込み、左足で巻くようなシュートを放つが、これは敵GKにセービングされている。

しかし、攻撃はこれで終わらない。左からのCK、久保は低い弾道のアウトスイングで小川航基に合わせる。これを小川が頭で叩き込み、見事に先制。久保の仕掛けからのCKでゴールをこじ開けた。

前半終了間際にも、久保は田中からのパスを受けると、伊東へパス。そのクロスがカットされて右CKに。これが板倉滉の2得点目につながった。

久保はことごとく攻撃の起点になっていた。

後半立ち上がりには1点を返されるが、9分には再び、久保が妙味を見せる。伊東から戻されたボールを、仕掛ける姿勢を見せて相手ふたりを引きつけて伊東へ。そのクロスを小川がネットに叩き込んだ。

「相手が久保を怖がって混乱する」

今シーズン、ラ・リーガで言われることだが、久保が相手にカオスを与えているのだろう。

久保は森保ジャパンでも戦術を超えた選手になりつつある。監督の計算以上の仕事ができている。少々、システム上の欠陥があっても、それを凌駕できる「個人」だ。アジアの選手では歯が立たないだろう。

次に久保が見据えるのは、アスレティック・ビルバオとのバスクダービーになる。ひと筋縄にいかない相手だが、こうした激闘が彼をさらに逞しくする。



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