11月19日(火) 23:30
工場には一般従業員・派遣社員・期間工社員など、さまざまな立場の労働者がいますが、なかにはこれらをまとめる班長や主任といった肩書を持つ人もいます。さらに、上の立場になると、係長・課長・部長・工場長といった役職もあります。
役職が上がるにつれて、現場に出ることは少なくなり、部下の育成・予算管理・生産工程の確認などを始め、管理監督、指揮命令にかかる一定の権限を委ねられるようになるでしょう。
工場管理者になると責任が増しますが、それにともない給料は上がると考えられます。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の役職別の賃金は以下の通りです。
・部長級:59万6000円
・課長級:49万800円
・係長級:37万800円
・非役職者:29万1100円
勤務先にもよりますが、工場の管理者になると役職手当がついて給与が上がると期待できます。
管理監督者は、法律上の労働時間などの制限を受けません。これは、管理監督者に労働時間の裁量が委ねられているからで、時間外手当の支給が除外されます。しかし、すべての手当が除外されると考えて、深夜手当もつかないと勘違いしている人もいるようです。
東京労働局の「しっかりマスター労働基準法 -管理監督者編-」によると、管理監督者の深夜割増賃金・有給休暇の特例はなく、22時から翌日5時までの労働に関しては、管理監督者であっても深夜割増賃金を支払う必要があるとのことです。有給休暇も、一般労働者と同様に与える必要があります。
工場管理職になると、給与はアップしても「残業手当がもらえなくなる」ことで、労働時間が増えてしまうことを心配する方もいるでしょう。労働時間に収入が見合わないとモチベーションの低下にもつながり、長時間労働で健康を害するリスクも生じます。しかし、すべての工場管理者が労働基準法の「管理監督者」に該当するとは限らない点に注意が必要です。
東京労働局によると、管理監督者は以下にあてはまるかによって判断できます。
・経営者と一体的な立場で仕事をしている
・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
・その地位にふさわしい待遇がなされている
役職が上がったとしても、名ばかりで管理監督者にあてはまらない場合は、残業手当や休日出勤手当が支払われなければなりません。管理職に昇進した場合は、職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇をよく確認して、自分が管理監督者に該当するか見極める必要があります。
工場の管理者に昇進して、労働基準法の「管理監督者」に該当すると、残業手当がつかなくなります。しかし、すべての手当が除外されるわけではなく、深夜手当や有給休暇は一般労働者と同じように与えられます。
工場の管理職へ昇進する際は、夜勤の有無や給与がどれくらいアップするかを確認して、今後の収入の目安をシミュレーションしておくことが大切です。また、すべての管理職が労働基準法の「管理監督者」に該当するとは限らないため、昇進後の職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇をよく確認しておく必要があるでしょう。
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 結果の概要 (7)役職別にみた賃金
東京労働局 しっかりマスター労働基準法 -管理監督者編-(2ページ、6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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