古今東西の昔の風俗知識を投稿する「昔の芸術をつぶやくよ」さん(「ヤスダコーシキ」名義で著作あり)(@LfXAMDg4PE50i9e)のグロテスクで怖くて切ない話を、今回はCHIHIROさん(@chihiro21865527)に、ギャグ多めのコミックエッセイ風に描いていただきました。怖さと美しさのアンバランスな共存をお楽しみください。
【漫画】「昔の芸術を〈少女漫画風に〉つぶやくよ」本編を読む
「メディア」というお話をご紹介します。
グロテスクで殺人ばかり起こる話「メディア」はエウリピデスが書いたお話。金羊毛(翼をもつ羊の毛皮)を手に入れたら王位を譲ってくれると言われた英雄イアソンは、金羊毛を求めてコルキスという国にやってきます。そこで、金羊毛を持つコルキスの王の娘、メディアと恋に落ちるのですが、この女が激やばだったのです……
※一部ショッキングなシーンがあります。心臓の弱い方は閲覧をご遠慮ください。
※本記事は発売中の「昔の芸術を〈少女漫画風に〉つぶやくよ」から一部抜粋・編集しました。
――「メディア」は普段コミックエッセイを描いている漫画家さんに描いてもらいました。血しぶきが飛び散るエグめの話ですが、ギャグ多めに描いてもらいました。コミックエッセイ風に仕上がった率直な感想をお聞かせください。
ヤスダコーシキさん(以下:ヤスダ):子供が犠牲になるという救いのないお話なのですが、かなり軽めに仕上げてもらったのでさらりと読めますね。ハートが心臓から飛び出す「ズッキューン」の表現は何か懐かしくて笑ってしまいました。
――イアソンは結果的に、金羊毛を持っている王様の娘と恋に落ちることになります。これは金羊毛を手に入れるための、悪だくみ的な恋ではなく、まじで一目惚れしてしまったのでしょうか?
ヤスダ:これは難しいところです。しかし王様の娘といい仲になればコスパ、タイパ的には最高ですよね。後に彼はメディアを捨てようとしていますから、惚れたというより計算ずくでメディアに近づいた可能性の方が高いでしょう。
――追っ手を撒くために、実の弟を殺して時間稼ぎをするメディアのやばすぎるシーンがありました。そもそも、金羊毛とはそこまで価値のあるものなのでしょうか?
ヤスダ:弟は四肢をバラバラにされ、部位ごとに海に投げ入れられたそうです。無茶苦茶です。金羊毛は翼をもつ羊の毛皮で、それ自体は大した効能がないようなんですね。でも大変に入手困難でトロフィー的な希少価値があった。かぐや姫が求婚者に求めた宝物と同じで「この世に存在するかどうかわからない程貴重な宝物」だったようです。
――メディアの殺人癖に、イアソンも若干引き気味に描かれています。しかし国を脱出後、2人の子どもに恵まれるなど、一時は幸せに暮らします。この2人に何かツッコミをお願いします。
ヤスダ:夫婦生活はドラクエの「ばくだんいわ」みたいなものです。細心の注意を払って営みましょう。
――かなり残虐なお話でした。この話の教訓があれば教えてください。
ヤスダ:「糟糠の妻」という古い言い回しがありますね。下積み時代を支えてくれた伴侶の事を言いますが、急に売れた芸能人なんかは大概その「糟糠の妻」を捨てて若い女の子に走って大失敗します。このお話もそれと一緒です。お世話になった人を忘れちゃいけないんですね。
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