11月20日(水) 5:00
よく似た言葉に、「保証人」と「連帯保証人」があります。実は、この2つには法的責任に大きな違いがあります。保証人とは、主たる債務者(今回の場合、滞納している親)に支払い能力がない場合にのみ、責任を果たす役割です。そのため、親に一定の財産がある場合は、まずそこから支払いをさせるよう賃貸会社や管理会社に申し立てることができます。
一方、連帯保証人は、主たる債務者と同等の責任を負うものです。つまり、親が支払いを怠った場合には、親の財産の有無にかかわらず、直ちに支払いを請求される可能性があります。なお、契約書で保証人や連帯保証人になっていなければ、通常、支払い義務はありません。
保証契約を結ぶ際には、債務者の意思確認と契約内容の透明性が必要となっています。民法では、親子間であれば当然に保証人になるという規定は存在していません。そのため、債務者と親子関係があっても、保証人に関する明確な同意と署名がない限り、子どもに支払い義務は生じないのです。
基本的に、保証人や連帯保証人として明確な契約がない限り、親の家賃滞納に対して子どもが支払い義務を負うことはありません。緊急連絡先になっているからといって法的な責任を問われることはなく、あくまで連絡先としての役割にとどまります。そのため、親子であるという理由だけで、一方的に責任を負わされることはありません。
万が一、賃貸会社や管理会社から親が滞納している家賃の支払いを求められた場合には、まず保証契約の有無を確認しましょう。保証契約がない場合、子どもには家賃を支払う必要はありません。賃貸会社や管理会社に、保証契約がない以上は支払い義務がないことを主張してください。
もしも、自分の意思とは無関係に、親に勝手に保証人として保証の書類に名前を書かれていた場合はどうしたらよいのでしょうか。その場合、書類は本人に無断で行われた契約のため、無効となります。
あくまでも、本人に「保証人となる意思があるか」という点が重要なので、第三者が無断で行った行為は効力を発揮しないのです。ただし、当初は無断で書かれた無効な契約書であっても、名前を書かれた人が「保証人になります」とあとから意思表示をすれば、過去にさかのぼって契約書が有効になります。
親が家賃を滞納した場合でも、保証人や連帯保証人となる契約をしていない限り、子どもに法的な支払い義務が生じることはありません。緊急連絡先として登録されていたとしても、契約における保証人とは役割が異なります。そのため、賃貸会社や管理会社から支払いを求められたとしても、支払い義務がないことを伝えるようにしましょう。
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法務省 2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
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