11月20日(水) 5:20
贈与税は、個人からほかの個人へ財産を贈与(無償で譲渡)した場合に課される税金です。両親から子への金銭の提供も、原則として贈与税の対象となります。
しかし、すべての贈与に対して税金がかかるわけではありません。贈与税には、110万円の基礎控除が認められています。したがって、年間で110万円を超える贈与を受けた場合、超過分に対し贈与税が課されます。
両親に200万円を立て替えてもらったことが実質的に「返済の必要のない金銭の提供」である場合、贈与とみなされる可能性が高くなり、基礎控除額の110万円を超える90万円について贈与税が課税されます。
一方、200万円が純粋な「立て替え」、つまり将来的に返済する前提での金銭の借り入れである場合は、贈与ではなく借りたものとみなされる可能性が高く、贈与税の課税対象とはならないこともあるようです。
200万円の立て替えを借り入れとして扱うには、以下の点に注意が必要です。
・契約書(金銭消費貸借契約書または借用書)を作成する
・利息を設定する
・返済の記録を残す
・返済計画を明確にする
両親との間で、借入金額や返済期限などが書かれた正式な金銭消費貸借契約書あるいは借用書を作成することが大切です。書面には、借り主と貸主の署名および押印が必要です。
また、親子間の貸し借りであっても、税務上適正な利息を設定しましょう。用途別の市場価格に合わせることが多く、マイカーローンの場合は1%~3%程度が目安となります。
贈与でなく返済していることを示すために、返済計画を明確にし、実際に返済を行うことも大切です。返済が行われない場合、税務署から贈与とみなされるリスクが高まります。また、返済は銀行口座へ振り込むなど、証拠が残る方法で行いましょう。
両親からの200万円の支援を受けつつ、贈与税を回避または軽減するには、年間110万円の基礎控除を利用しながら受け取りましょう。
200万円を一度に受け取るのではなく、複数年に分けて受け取ることで、各年の受取額を110万円以内におさえられます。200万円の場合、2年に分けて年100万円ずつ受け取れば、贈与税を回避できるでしょう。
また、既婚者であれば夫婦それぞれが両親から贈与を受けることで、実質的に受け取れる金額を増やせます。夫婦がそれぞれの両親から110万円ずつ受け取れば、最大220万円まで贈与税なしで受け取ることが可能です。
ただし、国税庁によると、「その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いたのこりの額に対してかかります」と記されています。
つまり、1月1日から12月31日の間に他の人または両親から何かしらの贈与がある場合は前述の限りではありませんので注意が必要です。
残額200万円を両親に立て替えてもらう場合、立て替えが贈与とみなされるか、借り入れとみなされるかで税金の取り扱いが大きく異なります。
借り入れとして扱う場合は、契約書などを作成し、計画的に返済していくことが必要です。
経済状況や家族との関係性などを総合的に判断したうえで、不明な点があったり判断に迷ったりした場合は、税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。
両親からの支援を有効に活用し、必要があれば適切な申告および納税を行いましょう。
国税庁タックスアンサー(よくある税の質問)No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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