ソロ活動30周年にして初のライフスタイル本を発売し大反響!奥田民生「僕はもう"自分らしさ"なんて考えないです。勝手に出るだろって」

奥田民生が仕事から音楽、年齢、還暦のビジョンまで「民生節全開」で語り尽くす!

ソロ活動30周年にして初のライフスタイル本を発売し大反響!奥田民生「僕はもう"自分らしさ"なんて考えないです。勝手に出るだろって」

11月20日(水) 6:30

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奥田民生が仕事から音楽、年齢、還暦のビジョンまで「民生節全開」で語り尽くす!

奥田民生が仕事から音楽、年齢、還暦のビジョンまで「民生節全開」で語り尽くす!


ソロ活動30周年を機に発売された初のライフスタイル本が大ヒット!制約だらけの世の中で、好きなことを緩やかなスタンスでやり続ける独特の生き方が多くの人たちに支持されている奥田民生本人にその"芯の通った気張らなさ"について聞いた!

■自分の能力を過信しないほうがいい ――奥田さんの生き方を書いた書籍『59-60奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』がAmazon書籍総合ランキングで第1位になるなど大ヒット中。率直な感想をお願いします。

奥田 僕は出版業界をよく知らないので、これがすごいことなのかわからないんです。でも世の中が疲れてるってことなんでしょうか(笑)。

皆さん、真面目にやってるだけではダメなんじゃないかと思い始めてるんですかね。ただ、世の中の全員がこうなったら絶対ダメだと思いますけど。

――本の帯には「奥田民生のように生きたいあなたへ」と書かれています。世間の声に流されず、飄々とやりたいことを続ける奥田さんのように生きたいと憧れられていることについては?

奥田 う~ん。本人的には、こうなることはそんな難しくなかったですからね。まぁ当たり前だけど。「実は皆さんの知らないところでめっちゃ努力したんです」とかもないし。だから誰もが「自分の好きなようにやってみよう」って思ってくれるきっかけになればいいと思います。

――なるほど。本には「仕事なんて『8位』くらいがちょうどいい」「仕事は面白がってなんぼ」など奥田さんの仕事観が書かれていました。好きなものが仕事になる楽しさと難しさについて伺いたいです。

奥田 自分の趣味を仕事にしたら、楽しかったことが楽しくなくなるんじゃないか?って言いたい人はいると思うんですけど、僕は仕事である音楽が嫌いになるとかそういうことはないですね。

好きなものを仕事にしたことと「こんなにしんどいなら音楽やるんじゃなかった」っていうのはつながらないですもん。ダメだったとしたら好きなものを仕事にしたせいでなく、単純に自分のせい。

だから、自分の能力をあんまり過信しないほうがいいですね。「たまに変なの作っちゃうよ」ってのを自分で思っといて、ちょっと逃げとかないと。



――心の逃げ場をつくっておくと楽に生きられると。

奥田 完璧主義者みたいな人は大変だと思うけど、僕は割と「取っ散らかって中途半端ですみません」ぐらいの感覚なんです。

ただそうやってできたものでも、酷評されて「もうおまえに仕事はやらない」とまで言われたことがないので、そのへんはちょっと安心してます。あと人を判断したり、人にどう思われるかっていうのは着ているものなどが大きいと思うんです(笑)。

――だいたい、人は見た目でイメージを作りますよね。

奥田 オレはこんな格好の人だから許されてる、っていうのは全然あると思います。

――過度に期待されすぎない、みたいな。

奥田 そう。だから無駄にビシッとしすぎないほうがいいんじゃないかと思ったりします。

――いずれにせよ、どんな曲も世に出してみないと評価はわからないですし。

奥田 自分の中で「ものすごいのができた!」と思っても、それが伝わるかはまた別の話。自分では100点だと思ってても70点ぐらいって言われることもあるし、その逆も全然あるし。だから期待しないというか、100点の評価を求めないっていうのはありますね。

■ソロが一番モチベを上げるのがムズい ――長く活動されてきて音楽を作るモチベーションは変わってきたりしてますか。

奥田 変わってないです。モチベーションは、好きで聴いてた音楽への憧れなんです。中学、高校の思春期の頃にわーって聴いてた音楽って、ずっと血肉になってて変わらない。だから、自分が弾くギターの音色もそんなに変わってないです。

あと僕はもう制作のときに「自分らしさ」なんて考えないです。そんなこと言わなくても勝手に出るだろ、みたいな(笑)。いちいち自分らしさとか言ってたら狭苦しくなりそうじゃないですか。悩んだときは好きなアーティストのいい部分を参考にすることはありますけど。



――以前、斉藤和義さんが新しいギターを買うと曲ができるとインタビューで話されてましたが、奥田さんもそういうことはありますか?

奥田 いっぱいありますよ。ギターってそれぞれ音が違って、だから曲によってギターを持ち替えるんです。僕は作曲するときはずっと同じギターを使ってる。大したことない、20年くらい弦を張り替えてない長年の相棒です(笑)。

でも、新しいギターを買うと当然弾くし楽しいから、それで曲ができるってことはありますね。ゴルフでも、新しいクラブを買うと熱心に練習するみたいなのと一緒ですね。

10月26、27日には両国国技館でソロ30周年記念ライブを開催。弾き語り、バンド形式で熱い演奏を披露!

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――あと奥田さんはソロ活動以外にユニコーン、カーリングシトーンズなどいくつもバンドやコラボをやってますが、そのときどきでご自身の気持ちも変わると思うんです。

奥田 当然ですが、周りの人が変わるとモチベーションは大きく変わります。だからソロが一番モチベーションを上げるのがムズいんですよね。誰のためでもないから。なのでつい後回しになっちゃう。

――ソロアルバムの最新作は2017年の『サボテンミュージアム』。7年前ですね(笑)。

奥田 でもユニコーンが再始動してるんだから、それもオレの作品ってことでいいじゃないか!みたく逆ギレをしてます(笑)。まあ、ソロはそのうち出しますよ。

■60代はもうちょっとこのままいきます ――本でもたびたび触れていましたが、年齢でしんどいなって思うときってありますか。

奥田 ありますよ。音楽やっててしんどいことはそんなにないけど、単純にいろんなことがペースダウンしてると思う。でも、それは自然なことですよね。だからローリング・ストーンズみたいなのが珍しいだけで、普通はそうじゃないんですよ!

――ローリング・ストーンズにしてもポール・マッカートニーにしても80歳超えてワールドツアーをやっています。



奥田 それおかしいですよ!たぶんあの人たちは、ライブやツアーをすること自体が好きなんでしょうね。

まぁストーンズの皆さんの心はわからないですけど、同世代だけじゃなく、若い人たちが自分らの音楽を聴いてライブを見に来てくれてるってことは、まだ自分たちも音楽界に必要とされてるんだって思えるから、それでやってるんだと思います。

自分もフェスに出たときに、似たようなことを感じますよ。それはかなり自分のモチベーションになりますね。

――今年10月にソロ活動30周年を迎え、来年5月には還暦を迎える奥田さんですが、この先のビジョンは?

奥田 ほんとは還暦でズドーンとスローにいきたかったけど今の世の中、70歳を超えたぐらいからじゃないと許してくれないというか(笑)。周りを見ても60代はみんな普通にやってる。なので、もうちょっとこのままいきます。いける分にはね。

奥田さんの曲作りは異次元領域に到達!?「最近は好きな曲を聴くだけで脳内で音を再現できるから、形にせずに完結ってこともあります(笑)」

奥田さんの曲作りは異次元領域に到達!?「最近は好きな曲を聴くだけで脳内で音を再現できるから、形にせずに完結ってこともあります(笑)」

――まだまだ奥田民生のロックンロール人生は続くと。

奥田 先輩アーティストの中にも、いけるだけいこうと思ってたら結局、やたら元気なままだから続いちゃってる、みたいな人が多いと思うんですよ。そんな状況で、オレだけ引退しますとか言えないです(笑)。なので60代は様子見でお願いします。

――最後に、行き詰まりを感じていたり、もっと頑張りたい読者にひと言を。



奥田 本人は悩んでるけど、でもその内容が周りから見たら実はそんなに大したことじゃないってときあるじゃないですか。だから、一度われに返ってほしいですね。

自分もけっこうあるんですよ、「ずっと思い込んでいたものが、実はそうじゃなかった」みたいなことって。信じた道を突き進め、みたいな言葉はあるし、僕も昔から好きなものは変わってないとか言ってるけど、でも大半のものはゴロゴロ変えてきたんで。

なので、悩んだときは"われに返る"で日々の生活を頑張ってみるでいいんじゃないでしょうか。

●奥田民生(おくだ・たみお)

1965年5月12日生まれ、広島県出身。87年、バンド「ユニコーン」でデビュー。『大迷惑』『働く男』『すばらしい日々』などヒット曲多数。94年からソロ活動を本格的に開始。PUFFY、木村カエラらのプロデュースや井上陽水とのユニット「井上陽水奥田民生」ほか、コラボなど多方面で活躍

■『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』

奥田民生(著) ダイヤモンド社 定価 1760円

ソロ活動30周年を記念して発売された初のライフスタイル本。仕事、友達、遊びと金、健康、メンタル。5つのテーマを奥田民生が語り尽くす。これさえ読めば、誰もが奥田民生のように生きられる!?



取材・文/土屋恵介撮影/田口まき(インタビュー)Kenji Miura(ライブ)

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