11月20日(水) 11:30
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。国内女子ツアーは、明日から宮崎CC(宮崎県)で開催される「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で約9カ月の長いシーズンを終えます。
今季ツアー優勝者や、メルセデス・ランキング(以下MR)上位者ら40人のみと、限られた選手しか出場できないリコーカップも見応えのある試合になると思いますが、その2週前に、すでに竹田麗央さんの年間女王が決定しているのはご存知の通りです。
第7戦、地元熊本開催の「KTT杯バンテリンカップ」で初優勝を飾ると、翌週の「フジサンケイレディス」ですぐに2勝目。秋には「日本女子プロゴルフ選手権」、「日本女子オープン」の公式戦2つも制し、さらに日本開催の米国女子ツアーの「TOTOジャパンクラシック」で年間8勝目と破竹の勢いのシーズンを過ごしました。
メジャーにも挑んで経験を重ねて米ツアー挑戦のため、シーズン終了後にはファイナルQTに行く準備を進めていたのですが、TOTOジャパン優勝で出場権も獲得。今年のツアーを引っ張ったのはまちがいありません。
3年連続女王がかかった強敵、山下美夢有さんとのタイトル争いも、TOTOの優勝で大きく前進。その次の「伊藤園レディス」は今季4度目となるまさかの予選落ちでしたが、山下さんが4位タイに終わり、残り2試合で両方勝ってもポイントが届かないため、竹田さんの女王が決まったのです。
こうして成績を並べただけでも、どれだけ見事なシーズンだったかがよくわかる竹田さん。特に、米ツアーに向けて気持ちが傾いていた終盤、TOTOジャパンに勝ったことは本当に大きかったと思います。実力的には十分だとしても、QTというのは過酷なものです。
1年間優勝争いを繰り返してきた疲労も想像以上の中でそれをクリアして、1月からのシーズンに備えるのはとてもハードです。TOTO優勝でその負担が大きく減ったのはまちがいありません。来季の米ツアー参戦に向けての取り組み方が変わって来ます。集中して準備ができるので、ホッとしたのではないでしょうか。
竹田さんのお母さんは、私たちと同じ時代にプレーしていた平瀬哲子さん。その妹が、1993、94年の“賞金女王”で、米ツアーで戦った経験もある平瀬真由美さんです。哲子さんは、いつも麗央さんのツアーに帯同しています。真由美さんは”チーム麗央“というわけではありませんが、テレビの解説者やラウンドレポーターなどの仕事で、ツアーに行くことも多いようです。
竹田さんにとって身近に2人も同じ世界で生きて来た人間がいるというのは、本当に心強いことだと思います。女王が決まったときに、平瀬さんのコメントが出ていましたが、実は麗央さんが米ツアー参戦を公式に表明する少し前に、たまたま私は真由美さんと話す機会がありました。
「(麗央さんは米ツアーに)行くのかな?」と尋ねた私に、真由美さんは「私も今がいいと思うよ」と口にしていました。あとから報道などを見ると、日本女子オープンで優勝した後に真由美さんも背中を押したということでした。私が話したのはそのちょっと前だったようです。
哲子さんが私の2つ下、真由美さんがそのもう1つ下と年齢的にも近く、同じ時代にツアーで過ごした仲間たちです。そのせいか、麗央さんは後輩プロというよりも友達の子ども、友達の姪っ子、というような感覚になってしまいます。
麗央さんは、焦ることなく早い時期に米国の水に慣れると過ごしやすいと思います。今は、米ツアーに常駐している日本の選手もたくさんいるので「知らない人ばかり」ということもないでしょう。向こうのツアーでの友達ができれば、もっと居心地がよくなるでしょう。日本ツアーでは小祝さくらさんと仲が良く、楽しそうに話をする姿がよくみられましたが、そんなふうに接することができる相手ができたらいいですね。
飛距離もあるし、とても期待しています。でも、なにより思うのは「のびのびプレーして、ゴルフも日常も楽しんで」ということ。心から応援しています。