11月20日(水) 4:40
相続される財産は、法律で決められた相続人に一定の割合で相続されます。これを法定相続分といいます。この法定相続分通りの金額ではなく、特定の人に全財産を相続させるための主な方法は次の通りです。ここでは例として、相続させたい相手を妻としています。
法律で決められた相続人のことを法定相続人といいます。配偶者は必ず法定相続人となりますが、そのほかの法定相続人は次の順番で決まっており、より上位の人が法定相続人となります。
●第1順位:子ども、孫
●第2順位:父母、祖父母
●第3順位:兄弟姉妹
法定相続人を変更することはできません。しかし、法定相続人全員で話し合い、配偶者(今回のケースでは妻)が全財産を相続することに合意すれば、相続財産の配分を変更することが可能です。
亡くなる前に、妻に全財産を相続させることを記載した遺言書を残しておくことで、原則として法定相続分よりも遺言書の内容が優先されます。ただし、「遺留分」という制度によって、この方法では必ずしも妻に全財産を相続できるとは限りません。次は遺留分について詳しく説明します。
遺留分とは、遺言書の内容にかかわらず、一定の割合で算出した額を相続する権利です。遺留分の対象となる人は、亡くなった人と次の関係性にある人です。
●配偶者
●子ども、孫
●父母、祖父母
亡くなった人の直系の子孫や先祖が遺留分の対象者となるため、兄弟姉妹や、親戚などは対象となりません。
遺留分の額は法定相続分の約半分です。例えば、妻と子ども2人の場合は、妻は法定相続分である2分の1の半分である4分の1、子どもも同じく2分の1の半分である4分の1が遺留分となり、それを子ども2人で分け合うので、1人あたり8分の1ずつとなります。
遺留分はあくまでも請求する権利であり、権利放棄して遺産を受け取らないことも可能です。遺留分を請求することによって、遺言書に記載された亡くなった人の意思と反することになり、家族間での争いになることも考えられます。このような争いを避けたい場合は、権利を放棄することも検討する必要があります。
相続において、特定の人に全財産を相続させることは可能ですが、遺言書だけでは遺留分という権利によって、必ずしも特定の人が全財産を相続できるとは限りません。遺留分が適用されるのは、配偶者、子ども、孫、父母および祖父母であり、兄弟姉妹や親戚には適用されません。
また、遺留分の対象者であっても、あくまでも請求する権利があるだけで、それを放棄することも可能です。特定の人に全財産を相続させたい場合は、相続前に家族で話し合っておきましょう。
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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