11月20日(水) 4:30
不動産営業としての経験から、「国家公務員」「地方公務員」「医療関係者」など収入が安定し、社会的信用が高い職種の人は、一般的に賃貸審査を通過することが多いと考えられます。
公務員は給与が安定しており、経済状況に左右されにくいという特徴があります。企業に勤める人の場合、業績悪化に伴うリストラや減給などのリスクがありますが、公務員はその影響が小さく、毎月決まった収入が確保されるため、家賃滞納のリスクが低いと見なされます。
公務員は終身雇用が期待できる職業です。企業のような倒産リスクもなく、雇用の安定性が高いと評価できます。また、医療関係者も収入の安定と需要の高さから、職を失う可能性が低く審査が通りやすい傾向にあります。
公務員は法や制度にのっとった業務を担っており、社会的な信頼度も高く評価されます。この職業的信用は、保証会社が重視する審査基準の1つであり、家賃支払いの確実性を担保する要素として重要視されています。
こうした収入の安定性や職業的信用から、公務員は賃貸審査で高く評価され、家賃支払いの確実性が期待されています。
一般的に、賃貸審査では家賃の3倍以上の月収が目安とされており、年収700万円の公務員であれば、月の家賃19万円以下の賃貸マンションなら、不動産会社の営業も安心して紹介できる範囲といえるでしょう。
それでもまれに、公務員や医師の人でも「審査否決」になるケースを見てきました。
今回の相談者のように、「借金もローンもないのになぜ?」と困惑し、理由を聞かれたこともありますが、入居審査に関しては賃貸保証会社に一任しており、不動産会社が理由を確認することはできません。そのため、以下のようなケースが考えられると伝えしていました。
・クレジットカードの滞納
・携帯の分割払いの滞納
・公共料金の滞納(ただしカード払いの場合)
・前住居で家賃滞納
信販系の保証会社で賃貸審査を通す場合、クレジットカードや携帯の分割払い、公共料金(ただしカード払いの場合)の滞納履歴が審査に影響を与えることがあります。
個人信用情報機関に延滞者として登録されてしまい、5~10年は履歴が残り続けます。
全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟する保証会社で賃貸審査を通す場合は、家賃滞納の履歴が加盟店で共有されるため、該当者は新たな賃貸契約で「審査否決」となる可能性が高まります。
万が一賃貸審査が「否決」となっても対処法があります。
不動産営業として、筆者は以下の方法を提案してきました。
結婚する場合、配偶者(妻)の名義で審査に申し込むのも手です。まず、クレジットカードや携帯の分割、家賃等の滞納状況などのヒアリングを行います。その上で安定した収入をもつ正社員などであれば、信頼性が評価されるでしょう。
別の保証会社を利用するのも効果的です。保証会社によって審査基準が異なり、他社の審査を受けると通過する可能性が高まります。信販系の保証会社は厳しい審査を行うことが多いですが、協会系や独立系の保証会社を利用することで、審査に通りやすくなることもあります。
元不動産営業の筆者の経験をもとに、賃貸審査が「否決」になる意外な理由と対処法について解説しました。年収や職業に関係なく、クレジットカードや携帯の分割払い、過去の家賃滞納など、信用情報の履歴が審査に影響することが少なくありません。収入に自信があっても、思わぬところで「審査否決」となるケースもあるのです。
仮に審査が否決されたとしても、別の保証会社での審査や、配偶者の名義で申し込むなど、ほかの選択肢を検討することで通過の可能性が高まります。本記事が、賃貸審査で悩む人の適切な対策を見つける一助となれば幸いです。
一般社団法人全国賃貸保証業協会 登録する情報と登録期間
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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