11月20日(水) 3:00
まずは、東証に上場している国内の代表的なM&A仲介会社の年収を実際に見てみましょう。以下の企業は、有価証券報告書で従業員の平均年間給与を公表しています。
・M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
・株式会社ストライク
・フロンティア・マネジメント株式会社
図表1は、これらの会社の平均年収と従業員の平均年齢をまとめたものです。
図表1
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社ストライク、フロンティア・マネジメント株式会社の有価証券報告書 を基に筆者作成
どの企業も従業員の平均年齢が30代であるにもかかわらず、平均年収が1000万円を超えています。M&Aキャピタルパートナーズの平均年収2478万円は、ダイヤモンド・オンラインが発表した「年収が高い会社ランキング2024」でもトップとなっています。M&A仲介会社であれば、30代で年収2000万円を稼いでいても不思議ではないでしょう。
日本では、どれくらいの人が2000万円もの年収を稼いでいるのでしょうか? 国税庁の2023年分の「民間給与実態統計調査」によると、調査対象の給与所得者5076万人中、給与が2000万円超の人の数は「30万5000人」です。これは全給与所得者の1%にも満たない数字です。
なぜM&A仲介会社の平均年収は高いのでしょうか? 考えられる主な理由は、以下の3つです。
・インセンティブが高額だから
・利益率の高い業種だから
・M&Aの需要が高いから
M&A仲介会社は、案件を成約させることで固定給とは別に報酬を受け取れる「インセンティブ制」を導入しているところが多くあります。いくつもの案件をまとめる実力のある人であれば、高額なインセンティブを受け取れるため、平均年収もその分高くなるでしょう。
また、M&A仲介業は、商品を仕入れたり原料を購入したりする必要がありません。原価がほとんどかからないため、売上のうち給料に使われる割合が高くなり、年収も高くなりやすいのです。
加えて、現代の日本では後継者不足などにより、事業を継承する方法としてM&Aの需要が高まっています。業界全体が成長しているため、従業員の年収も高額になっているのだと考えられます。
M&A仲介会社は年収の高い業種であり、上場企業の中には平均年収が2000万円を超える会社もあります。平均年齢も比較的若く、30代で年収2000万円を超えることも不可能ではないでしょう。
ただし、M&A仲介会社ではインセンティブ制を導入していることが多く、勤続年数に応じて基本給が上がるわけではありません。そのため、M&A仲介会社で年収2000万円を達成するには、大型の案件をまとめる営業力などが必須となるでしょう。
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 第18期 有価証券報告書
株式会社ストライク 第27期 有価証券報告書
フロンティア・マネジメント株式会社 第17期 有価証券報告書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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