11月20日(水) 2:40
マイナ保険証の利用にはいくつかのメリットがありますが、その1つに「初診料と再診料が安くなる」というものがあります。具体的にどれくらい安くなるのかは、図表1の通りです。
図表1
厚生労働省 マイナ保険証の利用促進等について を基に筆者作成
現行の健康保険証を使うよりも初診料が20円、再診料が10円安くなります。なお、患者負担分として実際に支払うのは、この金額の1~3割です。
2024年12月2日以降、現行の健康保険証は新たに発行されなくなり、マイナ保険証を中心とした仕組みに移行します。それでは、図表1で示した金額はどのように変わるのでしょうか?
厚生労働省保険局医療課が公表している資料「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて」によると、2024年12月以降は図表1で示した金額差はなくなる見込みです。マイナ保険証を利用しない場合であっても、初診料と再診料ともに「10円」となります。
そのため、2024年12月以降に医療費を安くする目的でマイナ保険証に乗り換える必要はないでしょう。マイナ保険証を利用しない人は、現行の健康保険証や後記する「資格確認書」を利用して受診できます。
医療費が安くなるメリットはなくなりますが、それ以外にマイナ保険証を利用するメリットとして、厚生労働省は次の4つを挙げています。
・データに基づくより良い医療が受けられる
・手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
・マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる
・医療現場で働く人の負担を軽減できる
マイナ保険証を導入する大きな目的は、医療に関する情報をマイナンバーカードに紐づけて一元管理することです。マイナ保険証を提示するだけで過去の処方箋や診断などの情報が分かるため、スムーズな医療を受けられます。
また、医療に関する情報がすべてマイナ保険証に紐づけられるため、高額療養費の支給申請や確定申告時の医療費控除の金額計算も簡単にできるようになります。多くの手続きがマイナ保険証1つで済ませられるため、医療現場で働く人の負担軽減も期待できます。
メリットがある一方で、マイナ保険証には、システム上のトラブルが起こる可能性など批判的な見方もされています。そのため、できればマイナ保険証を作りたくないという人もいるでしょう。
マイナ保険証を使わない場合は、2024年12月2日以降に発行される「資格確認書」を利用して受診することができます。また、現行の健康保険証もその時点から最長1年間は利用可能です。マイナ保険証を使わない人は、これらの方法で医療機関を受診してください。
マイナ保険証を利用することで初診料と再診料が安くなるのは、2024年11月までです。2024年12月2日以降はマイナ保険証を利用する場合も、利用しない場合も、初診料と再診料がともに「10円」となります。
マイナ保険証には多くのメリットがありますが、批判点も提出されているのは確かです。もしもマイナ保険証を使いたくない場合は、資格確認書などを利用して受診するようにしましょう。
厚生労働省 ご存じですか? カンタン! 便利! マイナンバーカードの保険証利用
厚生労働省 マイナ保険証の利用促進等について
厚生労働省 医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
「マイナンバーカード」は、結局作らなくて正解? 今からでも作るべき?