バスケ日本代表の「ニューカマー」注目は204cmの高校生ビッグマンダイブも3Pもできる期待の原石

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バスケ日本代表の「ニューカマー」注目は204cmの高校生ビッグマンダイブも3Pもできる期待の原石

11月20日(水) 9:55

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新生ホーバスジャパンのキーマン(後編)

◆前編>>「八村・河村・渡邊の不在」をどうする?

前編コラムで紹介した脇真大(琉球ゴールデンキングス/SG/22歳)や中村拓人(広島ドラゴンフライズ/PG/23歳)以外にも、今回のFIBAアジアカップ予選2試合で出番があった場合、どれほどのプレーを見せてくれるのか注視したい選手はいる。

たとえば、三遠ネオフェニックスの 大浦颯太(おおくら・そうた/PG/26歳) と大阪エヴェッサの 牧隼利(まき・はやと/SG/26歳) は、ホーバスHCからは両ガードポジションでプレーする「コンボガード」を指示されているという。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

高校生で唯一選ばれた18歳の渡邉伶音photo by AFLO

高校生で唯一選ばれた18歳の渡邉伶音photo by AFLO



三遠での大浦は、今回の代表候補にも選出された佐々木隆成のバックアップを務めているが、にもかかわらず今シーズンはB1リーグで7位の3P試投数(平均6.1本)を記録し、成功率も38.8%と高確率、平均得点もふたケタ(10.7)を挙げている。

一方、今季から大阪へ移籍した牧は、琉球ゴールデンキングス時代からボールハンドラーを任されるなど万能さが光る。琉球では出場時間に恵まれなかったものの、2017年にはU17ワールドカップの日本代表メンバーとして八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐ平均得点(10.3)をマークしている。

ホーバスHCは「1期目」でもSGの西田優大(シーホース三河)をコンボガードとして起用しているが、パリ五輪での課題を踏まえて、大浦や牧といったコンボガードを組み込むことで「ボールと人が動く」スタイルをあらためて探っていくのだろうか。

そして、 渡邉伶音(わたなべ・れおん/C/18歳) にも触れたい。今回唯一、高校生(福岡大大濠)ながら代表候補に名を連ねた204cmのビッグマンは、アンダーカテゴリー時代から知られた存在。昨シーズンは特別指定選手制度を使ってB2のライジングゼファー福岡でもプレーしている。

【ホーバスHC「ロサンゼルスを狙える」】現状での渡邉が「原石の範疇を出ない」ことは否めない。体重は97kgしかなく(同じ身長の長崎ヴェルカの川真田紘也は110kg)、線の細さを今後解消していくことは必須だ。肝要なのは、この18歳の原石を磨き続けることで、3年後、4年後にどんな光を放つ石となるかだ。

渡邉は3Pを得意としており、2対2の場面で自身がスクリーンをかけたところから中に切れ込む「ダイブ」もできれば、逆に外へ出て3Pを打つ「ポップ」の動きもできる。このふたつを精度高くできるようになれば、相手ディフェンスは守りにくくなるし、日本のオフェンスに多くの得点機を作り出すことができる。

渡邉は少年期に所属していたチームのコーチから、元NBAダラス・マーベリックスのダーク・ノビツキーの動画を見せてもらっていたという。213cmの長身ながらアウトサイドの技量に傑出したドイツ人は「史上最高のPFのひとり」。そんな選手のプレーを見ていたことも、渡邉のプレースタイルに影響を与えていたと推察できる。

また、日本代表には同じく「ダイブ」も「ポップ」もできるジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)がいる。パリ五輪でも大活躍したホーキンソンを間近で見ることで、学ぶことも多いだろう。

渡邉はホーバスHCから「ロサンゼルスを狙える」という言葉をもらったという。それ以来、「2028年には絶対に出るんだ」という気持ちを強くしながら励んできた。

ホーバスHCは「鍛冶職人が鉄を叩き続けることで、さらに強い日本刀となる」というアナロジーを用いて、選手を鍛え上げることの重要性を説く。ホーバスHCの指導のもと、河村や無名の存在から代表スターターに成長した吉井裕鷹(三遠)のように、渡邉も3年後、4年後に花を開かせて「代表の重要なパズルのピース」となっているかもしれない。

【激しい椅子の争奪戦が再び始まった】代表ニューカマーでいえば、昨シーズンのポストシーズンMVPで3Pを速射できる広島ドラゴンフライズの 山崎稜(やまざき・りょう/SG/32歳) や、今シーズンは新天地で45.7%と高確率の3Pを決めている長崎の 山口颯斗(やまぐち・はやと/SF/26歳) なども興味深い。

もっとも、現段階でこうした選手たちがどこまで生き残っていけるかは、材料が少なくわからない。体制「1期目」のように、ホーバスHCは今後もタイプの異なるさまざまな選手を招集しながら、彼のゲームに適した選手を探し続けていくと予想される。

「代表は何回も呼んでもらえる場ではないと思っています。少ないチャンスをどれだけ自分のものにできるか。短い期間ではありますが、トムさんがやりたいバスケットボールを早く理解して、そのなかで周りとコミュニケーションを取れるかが大事になってきます。いただいたチャンスをしっかりと自分でつかんで、目指している場所に立ちたいと思います」

昨季のBリーグでの活躍が認められて招集された中村拓人(広島)には、代表候補になっただけで浮ついたところはまったくなかった。ほかの多くの新顔たちも、それは同様であろう。

現状、八村や河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)のような特別な才能の不在を穴埋めできる選手がすぐに現れるわけではないことは、言うまでもない。だが、それを言っていても始まらない。選ばれた選手たちは、少ない椅子を激しく争っていかねばならない。

競争を通じて選手を鍛え上げるホーバスHCの「2期目」が、正式に始まった。



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