今回は、レンタカー返却時に身に覚えのない擦り傷などに対して、修理代を請求された際の対処を詳しく解説します。レンタカーの契約内容や補償制度、レンタル前の車両確認の重要性などトラブルを防ぐ方法を紹介します。

レンタカーの契約と保険

以下では、某大手レンタカー会社の契約と保険について、解説します。
 
レンタカーの基本的な保険は「対人、対物、車両、人身補償」です。対物補償は自己負担額として5万円、車両補償では乗用車の場合に5万円程度が「免責額」として設定されていることが多いようです。
 
また、ノンオペレーションチャージ（NOC）という、事故や故障などで車両に修理や清掃が必要となった場合の営業補償があります。これは、予定の店舗に自走で返却された場合は2万円程度、自走できず予定の店舗に返却されなかった場合は5万円程度の負担が発生します。
 
各社で金額は異なり、A社の場合は、免責補償制度として24時間あたり1100円の追加金が必要です。NOCの支払い免除も追加した場合には、24時間あたり550円が必要となり、合計で24時間1650円で自己負担額が免除される制度が設定されています。
 

レンタカーの保険が適用されるかどうか

レンタカーで事故を起こした場合、必ずしも保険が適用されるわけではないでしょう。
 
必要な手続きが不足していたり、使用者に落ち度があったりした場合など、貸渡約款の違反や保険約款の免責事項に該当すれば適用されないケースもあるようです。適用されないケースとして、下記が挙げられます。

同様に、自己負担額や保証限度額を超えた損害は、利用者負担となるため注意が必要です。
 
A社の場合、相手の有無や傷やへこみの大きさに関係なく「事故扱い」となります。所定の手続きをしていなかった場合、保険や補填の適応外となる可能性があるため、たとえ小さな傷でも見つけ次第レンタカー会社へ連絡しましょう。
 

レンタル前に「写真・動画撮影」

レンタカーを借りる前に、店舗スタッフと車両のチェックを行います。車両に傷がないか、目立たない場所や裏側などもしっかりと確認し、気になる部分があればささいなことでも指摘しておきましょう。
 
また、その際に車全体の写真だけでなく気になる箇所の写真や動画を撮っておくようにします。身に覚えのない傷を請求された場合に証拠として提出可能です。
 
「神経質な客だと思われそう」と遠慮される人もいるかもしれません。しかし、トラブルを避けるためにも写真や動画で残しておくことを推奨します。まわりを気にせずしっかりと撮影しておきましょう。
 

請求に異議を唱える場合のポイント

全国の消費生活センターに、多数のレンタカーに関する相談が寄せられているようです。そのなかでも「身に覚えのない傷の修理代を請求された」と、レンタカー返却時の修理代に関する内容が数多く寄せられているようです。
 
各社の保険内容によって基準は異なりますが、レンタカーでは基本的に傷ができてしまった場合の修理費用は、借りた人の全額負担となります。そのため、知らないうちにできてしまった傷も借りた人が支払わなければならないでしょう。
 
請求に異議を唱える前に、レンタル前に撮影しておいた写真や動画で確認し、使用前に付いている傷なのかどうかを確認してください。写真や動画で傷が確認できた場合には、自分がつけた傷ではないことを伝えましょう。
 
傷がついてしまった場合は「車両補償」扱いになるため、免責金額までの支払いが必要です。
 

自己負担をゼロにするなら手厚い保険を選ぼう

駐車場に停めている間に他者から傷をつけられる可能性や、未舗装路で傷が付いてしまう可能性もあります。軽微な傷での自己負担をゼロにしたい場合には「免責補償」や「NOC補填」が付いた手厚い保険を選んでおくと、安心して乗ることができるでしょう。
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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