11月15日から11月17日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週も、話題のアニメーション『ロボット・ドリームズ』(公開中)が先週に続いて1位を死守。先週2位のフレンチ・アニマライズ・スリラー『動物界』(公開中)も4位に残る大健闘を見せたが、初登場の3作品のラインナップがバラエティに富んでいるのも見逃せない。本国ドイツで大ヒットした感動のヒューマン・ムービー『ぼくとパパ、約束の週末』(公開中)、予測不能なコリアン・サスペンス『対外秘』(公開中)など、幅広いジャンルの良作が多いことを印象づける結果となった。
【写真を見る】実話を基に描かれる親子の心温まるロードムービーが初登場2位!
■【ミニシアターランキングトップ5】(11月15日~11月17日)
1位『ロボット・ドリームズ』(先週1位→)
2位『ぼくとパパ、約束の週末』(NEW)
3位『アット・ザ・ベンチ』(NEW)
4位『動物界』(先週2位↓)
5位『対外秘』(NEW)
今週2位に飛び込んできた『ぼくとパパ、約束の週末』は、本国ドイツで100万人の人々の感動を呼び起こした大ヒット作。幼少期に自閉症と診断された10歳の少年・ジェイソン(セシリオ・アンドレセン)は、独自のルールとルーテインがあるため、学校でもトラブル続き。クラスメイトに大好きなサッカーチームを聞かれても答えることができなかったため、56チームすべてのチームの試合を直接見て、好きなチームを決めたいと家族に話す。そんな息子の願いをかなえるため、父親のミルコ(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)は多忙な仕事の合間を縫い、週末ごとにドイツ中のスタジアムを一緒にめぐる旅を始めるが…。そんな2人の旅がどんな結果をもたらすのか? 少年と父親の実話に基づく感動作が日本でも多くの人々の心をじわじわほっこりさせているようだ。
続く3位の『アット・ザ・ベンチ』(公開中)は、映像監督・写真家として活動し、『ぼくのお日さま』(24)の奥山大史監督の実兄としても知られる奥山由之が、川沿いのベンチをめぐるささやかな5つのエピソードを紡いだオムニバス短編集。どこにでも転がっていそうな恋人たちのやりとりや姉妹喧嘩などが映しだされるが、演じているのが広瀬すずや仲野太賀、岸井ゆきのや岡山天音、今田美桜や森七菜だったりするから、親しみやすい内容なのに、リアルとフィクションが混ざり合った不思議な味わいに。そのなんとも言えない感触と思わずクスッと笑ってしまう微笑ましいテイストが、演者と同年代の人たちを中心とした観客から支持されているに違いない。
そして第5位に食い込んできたのが、あの『悪人伝』(19)のイ・ウォンテ監督が国家を揺るがす権力闘争を描くポリティカル・サスペンス『対外秘』。1990年代の韓国・釜山を舞台に、ある文書をめぐる政治家たちの激しい攻防戦が描かれている。予測不能な展開と骨太なタッチ、一瞬も息が抜けない緊張感が目の肥えたサスペンス・ファンを魅了しているのだろう。
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ! 11月22日(金)に“映画の父”ことフランスのリュミエール兄弟の選りすぐりの映像で構成した『リュミエール! リュミエール!』、イタリアの名匠ナンニ・モレッティ監督がチネチッタ撮影所を舞台に描く映画をめぐるヒューマン・コメディ『チネチッタで会いましょう』が公開。映画ファンにはたまらない新しい週が幕を開ける。
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト
【関連記事】
・
映画『ロボット・ドリームズ』を徹底レビュー!「悔しみノート」の梨うまいが、過去の思い出と共に歩む“大人な人生”の豊かさについて語る
・
名曲が彩る友情ストーリー!アース・ウィンド&ファイアー「セプテンバー」と『ロボット・ドリームズ』の親和性に迫る
・
「訓練後、役者が“鳥語”で話すようになっていた」『動物界』で新鋭監督が描いた“自己発見”というテーマ
・
チョ・ジヌン&キム・ムヨル&イ・ウォンテ監督が選挙たすき姿で『対外秘』ジャパンプレミアに登場!90年代釜山の再現、体重の増減など制作秘話明かす