11月19日(火) 8:20
「全国通訳案内士」とは、国内唯一の語学系国家資格で、外国人向けに通訳案内をする専門家です。
そもそも通訳は、特定の資格がなくても従事できます。しかし「全国通訳案内士」を名乗ることができるのは、観光庁が実施している国家試験「全国通訳案内士試験」に合格した人のみです。
日本政府観光局によると、2024年4月1日現在の言語別延登録者数は2万7590人とされているようです。
全国通訳案内士は、旅行会社と契約して仕事をするほか、フリーで働いている人も少なくありません。そのような場合は、派遣会社や知り合いの紹介などで仕事を得るケースもあるようです。
全国通訳案内士の仕事は、次のように多岐にわたります。
●外国人の国内観光ツアーに同行する
●日本企業に視察や研修に来た外国人を案内する
●空港やホテルへ観光客を送迎する
全国通訳案内士は、試験で外国語のほか、日本の歴史や地理・文化・通訳案内の実務などに関する知識も問われるとされています。観光の通訳として高い能力をもっていることが証明されるため、国際会議のような難易度の高い業務を任されることもあるようです。
ほかにも、観光庁が主催するインバウンド受け入れ態勢強化のための研修会に講師として参加するといった業務を行っている人もいます。
観光庁は、インバウンド対応のために全国通訳案内士を幅広く活用することを推進しており、今後ますます需要が高まっていくことも考えられるでしょう。
国土交通省観光庁が2023年に行った「通訳案内士に対するアンケート調査 集計結果まとめ」によると、全国通訳案内士の仕事をしている人の見込み年収は、表1のようになります。
表1
年収 | 割合 |
---|---|
1万円未満 | 11.8% |
1万円~10万円未満 | 16.0% |
10万円~50万円未満 | 22.9% |
50万円~100万円未満 | 14.6% |
100万円~200万円未満 | 15.3% |
200万円~300万円未満 | 8.4% |
300万円~400万円未満 | 5.0% |
400万円~500万円未満 | 3.5% |
500万円~1000万円未満 | 2.2% |
1000万円以上 | 0% |
※国土交通省観光庁「通訳案内士に対するアンケート調査 集計結果まとめ」を基に筆者作成
アンケートによると、全国通訳案内士の資格取得者で、専業で通訳案内士として働いているのはわずか7.6%で、未就業が51.1%、兼業が41.3%と、資格取得をしたものの仕事に就いていない人が半数以上となっています。
なお、1日1案件あたりの平均報酬は、1万5000円~2万円未満がもっとも多く、次いで2万円~3万円となっています。
全国通訳案内士は、観光庁が行っている資格試験に合格した人だけが名乗ることができるインバウンドに対応できる知識をもった通訳案内士です。
全国通訳案内士は専業で従事している人の割合が少ない傾向にあるため、年収は1万円未満~500万円以上の人までさまざまです。とはいえ、観光庁もインバウンドの受け入れ態勢を整えるために全国通訳案内士の活用を推奨しており、今後も訪日外国人が増えてくるようであれば、需要の高まりとともに年収が上がっていくことも考えられるでしょう。
日本政府観光局全国通訳案内士試験概要
国土交通省観光庁通訳案内士に対するアンケート調査 集計結果まとめ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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