八木勇征、共演の中村海人にシンパシーを感じる「どこでも一緒に行ける!みたいな人と出会えた」<矢野くんの普通の日々>

八木勇征/撮影/梁瀬玉実

八木勇征、共演の中村海人にシンパシーを感じる「どこでも一緒に行ける!みたいな人と出会えた」<矢野くんの普通の日々>

11月19日(火) 8:30

八木勇征
【撮りおろし16枚】透明感がスゴすぎる…儚げな表情の八木勇征

11月15日公開の映画「矢野くんの普通の日々」。ケガまみれの超不運男子・矢野くんのピュアラブストーリーとなっている。本作で普通の高校生活を送れない矢野くんを演じるのが、今回が単独初主演映画となった八木勇征。矢野くんのケガが気になって仕方がないクラスメイトの心配性なヒロイン・吉田清子(池端杏慈)との初恋を描く物語で体当たりのケガアクションに挑んでいる。ピュアや心優しい矢野くんに共感できるという八木に撮影裏エピソードを聞いた。

■演じた矢野くんに感情移入した

――原作のコミックを元々、読んでいたそうですね。

僕普段から漫画を読むんですが、「矢野くんの普通の日々」はSNSで話題になっていたので、気になって調べました。1巻の表紙を見たら、真っ赤なカバーでケガだらけの矢野くんがドーンといて。インパクトあるビジュアルに引かれました。

読んでみたら、すぐにケガをしてしまう特異体質の矢野くんがケガをしない普通の日常を求める話で、僕たちにとっては普通の日常って、本当は全然当たり前じゃないんだなという気づきがありましたね。

――原作の魅力をどんなところで感じましたか。

矢野くんがケガをした時に血が出るシーンがあって、そこに色気や妖艶さを感じました。原作だとケガをしたときにヒロインの吉田さんと目が合って、ドキッとする描写があるんです。そこから恋が始まるということがもうキラキラ系の少女漫画とはベクトルが違う、今までにない漫画で面白いなと思いました。

――映像化された作品をご覧になった感想はいかがでしたか。

コメディの要素もあって、笑える部分もたくさんありますし、ハッピーな気持ちになれる作品だなと思いました。自分が演じた矢野くんに感情移入してしまいましたね。矢野くんは、人を傷つけないために、距離をとってしまって、自分が求めていた青春の日々とは遠ざかってしまうような人。矢野くんが幸せそうな顔をしていると、不思議とうれしい気持ちになるんです。

■矢野くんに共感できたのは「100%の感情で喜ぶこと」

――『HiGH&LOW THE WORST』でも八木さんとタッグを組んだ小川プロデューサーが「ほわっとした所や人当たりがいいけど、どこかつかみどころがなかったりする所が矢野くんにぴったり」とキャスティングされたそうですが、矢野くんに近い部分はありましたか?

ちょっとポヤッとしている部分…あるかもしれないです。1番共感できた所は、うれしかった出来事に対して、100%の感情で喜ぶところです。悲しい時も落ち込むし、僕もふり幅が大きくて、0か100かみたいな所があります(笑)。

――矢野くんを演じるにあたって心がけていたことはありますか?

矢野くんは僕と10歳離れているんで、高校生らしくとにかくフレッシュに見えることを大切にしていました。クランクインした日に吉田さんと交換日記のシーンを撮った時は、新城毅彦監督から、「目線の感じが落ち着きすぎているから、高校生ではなく、大人に見える」とアドバイスをいただきました。矢野くんの性格上、まだ吉田さんとの距離感が縮まってない時だったので、余計に大人びた矢野くんになってしまったんです。

矢野くんは物静かな子ではあるけど、自分の気持ちに対して嘘がなく、本当にピュアで100%の感情で動いていることを大切に演じることを意識しました。

――本当にピュアでまっすぐな矢野くんそのものでした。

共演者には吉田さん役の池端さんをはじめ、現役高校生の子が 2、3人ぐらいいたおかげで、一緒に撮影をするうちマインド的にも同い年のように演じることができました。日常を描くシーンでも矢野くんにとっては、友達とファミレスに行くことでさえ、普通ではない特別な出来事なので、1つ1つの出来事に対して、全力で感動していました。

■ケガをするシーンの動きは殺陣のように決まっていた

――矢野くんといえば、眼帯に包帯まみれのビジュアルが特徴的。ケガをするシーンもたくさんありましたが、撮影はいかがでしたか?

アクション指導のトレーナーさんが『HiGH&LOW』シリーズでお世話になった方でした。その時は殴る、蹴るというパッと見て、分かりやすいアクションの指導をしてもらっていたんですけど、今回は特殊でした。

ケガをするシーンは動きがすごくクイックにして、反応もすごく大げさにしました。危なっかしくて、「何が起こっちゃうんだろう」ってハラハラしてもらえるリアルさを追求して、どうしたら、派手なケガに見えるか、アクションチームの方と相談しながら撮影しました。

――アクションのように動きが決まっていたんですね。

ここでつまずいて、ここで頭をぶつけるなど、動きは殺陣のように決まっていて、一連の流れを何回もしていると、ちょっとケガをする動きに慣れることもありました。でも、本当にケガをしないギリギリのラインを狙っていました。1番大変だったのは、ケガメイクを施すメイクさんと、衣装を汚さなくてはいけない衣装さんだったと思います。

――ケガをした時の矢野くんの妖艶な魅力は、出せたと思いますか。

リアルな感じの痛々しさを出しながら、ケガをしてもキラキラしている実写版ならではの矢野くんになったと思います。もちろんポップで、コミカルなかわいさもすごくあるので、原作ファンの方が観たら、新しい『矢野くんの普通の日々』だなと感じてもらえる作品になったと思います。


■共演した中村海人とは「一緒にいて居心地が良かった」

――矢野くんを取り巻くクラスメイトとの青春の物語も大事な要素として描かれますが、クラスメイト役の共演者の皆さんを座長として引っ張っていくことはできましたか。

クランクインは、引っ張っていかなきゃという気持ちはありましたけど、ムードメーカーは羽柴役のうみちゃん(中村海人)でした。口数が多くなく、自分の軸をしっかり持っていて、真面目でストイックなタイプなんです。2人で話していた時に、「僕がちゃんと支えるよ」って言ってくれました。

作品を良くするためにそう言ってくれて、うれしかったですね。うみちゃんは97年生まれで僕と同い年なので、それだけでシンパシーを感じていました。好きなものの話からしょうもない話もできるし、気を遣わずいられるので、一緒にいて居心地が良かったです。この人とだったら、どこでも一緒に行ける!みたいな人と出会えて良かったです。

――矢野くんは、“超不運体質”ですが、八木さんは何体質ですか?

これは自分で言うと嫌味に聞こえてしまうかもしれないんですが…、子供の頃から良い意味でも、悪い意味でも、目立ってしまうタイプでした。

クラスで、みんなで先生にちょっと怒られるようなことをしたら、なぜか僕だけバレることもしょっちゅうでした。今はこういう仕事をしていて、フィーチャーしてもらえるのはありがたいことなので、今後も失っちゃいけない体質だと思っています。

――矢野くんの小さくて壮大な夢は、「普通の学校生活を送ること」ですが、八木さんの今の壮大な夢は?

日本だけでなく海外でも活躍できるように、いろいろや音楽や役にたくさんチャレンジしていきたいです。

取材・文/福田恵子
撮影/梁瀬玉実
ヘアメイク/福田翠
スタイリスト/中瀬拓外



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